仕入れの相談はこの人、販売の相談は別の人、代理店の話はまた別の人。気づけば、社長が一人で全部の窓口になっていませんか。
困りごとの原因は、相談先が多いことではありません。話が一か所に集まらず、つなぎ役が社長一人になっていることです。
この記事では、窓口を一つにする3つの利点と、社内で今日からできる整理の型、窓口を選ぶときの質問をお渡しします。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
相談先がバラバラだと、何が起きるか
起きることは3つあります。
1つ目は、同じ説明を何度もすることです。会社の状況、商品、お客さまの層を、相談先ごとに最初から話します。1回30分でも、5か所なら2時間半です。
2つ目は、決めたことが他に伝わらないことです。仕入れを変えたのに、販売の相談先は古い前提で提案してくる。代理店に渡す資料に、新しい商品が入っていない。こうしたずれは、社長の頭の中でしかつながっていないから起きます。
3つ目は、判断が遅れることです。相談先ごとに意見が違うと、最後に決めるのは社長です。しかも比べる材料が揃っていません。

窓口が一つに決まっていると、人は続けられる
野村證券の宮崎支店の新人時代、私は筆ペンで、取引してくれた方などへ、毎日手紙を3〜5枚書いていました。朝いちばんに上司へ実物を見せる決まりです。件数はごまかせても、手紙はごまかせません。見せる先が決まっていることが、ごまかしの利かない仕組みでした。
寮には、1つ上の先輩を朝5時に起こして、日経新聞で気になった記事の考察を話す風習もありました。話す先が決まっていると、考えは言葉になります。
窓口を一つにする利点は、同じ構造です。3つあります。
1つ目は、説明が1回で済むこと。2つ目は、抜けや漏れが減ること。全体を見ている人がいれば、「その話は、先月決めた仕入れの変更とぶつかりますよ」と気づけます。3つ目は、判断の筋が通ること。意見が割れても、同じ材料で比べられます。
仕入れ・販売・代理店の相談が一本になると、具体的にはこう変わります。仕入れ先から在庫の状況が分かれば、営業の目標に落とせます。売る側から「この商品は説明に時間がかかる」という声が返れば、仕入れの選び方が変わります。代理店に渡す資料も、最新の商品で作れます。情報が一周するので、判断が一つずつ前に進みます。
まず社内で、相談ノートを一冊作る
外に窓口を求める前に、社内の整理が先です。ノートでもシートでも構いません。相談ごとを4つに分けて書きます。
- 1仕入れ(何を、どこから、どう変えたいか)
- 2販売(誰に、どう売るか。代理店を使うか)
- 3人と契約(採用、委託、取引先との約束事)
- 4お金(資金繰り、経費、税金の相談)
それぞれに、次の3つを一行ずつ書きます。
- 何に困っているか
- 誰に聞いたか、何と言われたか
- いつまでに決めるか
これだけで、頭の中にあった「ぼんやりした不安」が、決める順番のついた一覧に変わります。
記入例です。「販売。新しい取引先を増やしたい。知人に聞いたところ、先に売りたい相手を絞ったほうがよいと言われた。今月末までに、売りたい相手を一行で決める」。ここまで書くと、次にやることが見えます。
ノートは、週に1回、10分だけ見直します。決めたことには日付を入れ、決めなかったことには「保留」と書きます。保留も、立派な記録です。
ノートができると、外部に相談するときの最初の一言も決まります。
「最初に、全体の状況を3分で説明させてください。仕入れ、販売、人、お金の順に話します」
この一言があるだけで、相手は全体を前提に考えやすくなります。ノートを見せながら話せば、同じ説明を何度も繰り返す手間も減ります。窓口を一つにする準備は、社内の整理から始まります。

令和の総合商社の発想
私たちコミッターズが運営する「令和の総合商社」は、「あらゆる商いを、ひとつの窓口から」という考え方で作ったサイトです。0〜10人の小さな会社の経営者が、あちこち探さなくても、一か所で入口が見つかる場所を目指しています。
サイトはビルのフロアに見立てています。地下1階は農産・水産で、お米やお茶などを扱います(ショップは準備中です)。1階はモノ商材、7階はサービスで、営業支援や代理店開拓、研修コンサルがあります。節税、人事、契約、海外、SDGsなどの解説コラムも並んでいます。
全体の入口はこちらです。
どこから読めばよいか迷う方には、サイトの歩き方を案内するページがあります。
「令和の総合商社」の歩き方。小さな会社の「困った」を、フロアごとに探せます
どちらも、経営の土台を整える読み物としてお使いください。税務や労務の個別の判断は、税理士・社会保険労務士など専門家へご相談ください。窓口を一つにするとは、専門家を減らすことではなく、専門家との間をつなぐ人を決めることです。
窓口を選ぶときの5つの質問
社内で窓口を決めるときも、外に窓口を求めるときも、同じ質問が使えます。
- 1最初に、全体の状況を聞いてくれるか
- 2自分でできる範囲と、できない範囲を、はっきり言うか
- 3できないことは「できない」と言い、他の専門家につなぐか
- 4連絡の窓口が、一人に決まっているか
- 5話した内容を、次回に覚えているか
2番と3番が特に大切です。何でも引き受けると言う窓口より、できることとできないことを区切る窓口のほうが、後で困りません。
窓口の役割は、聞く、整理する、つなぐの3つです。最後に決めるのは社長です。丸投げにすると、窓口が一つになった分だけ、依存が強くなります。月に一度、自分が下した判断とその理由を見返す習慣をつけておくと、丸投げにならずに済みます。

一人で抱えない、が営業の力になる
窓口を一つにすると、社長の時間が空きます。空いた時間は、営業に使えます。お客さまに会う、相手を絞る、代理店に渡す資料を磨く。社長にしかできない仕事に戻れます。
私は起業後、副業の営業マンを約300人集めました。実際に動いたのは約10人でした。人数を集めた後に必要なのは、動いてくれる人からの質問や報告を受け止める、一つの窓口です。
今週やることは3つです。
- 1相談ノートを4分類で作る
- 2相談中のことを、一行ずつ書き出す
- 3全体を見てくれる相手を、一人決める
営業は、才能や学歴やコネがなくても、量と設計で変えられます。窓口を一つにするのも、その設計のひとつです。
コミッターズは、代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社です。本気で販路を作りたい経営者の方には、60分の無料相談で設計図をお出しします。
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。