海外に売りたい。そう決めて、海外の代理店を探し始めたのに、話が前に進まない。そんな状態が続いていませんか。
原因は、探し方ではありません。国内で売り方の型ができていないまま、海外の相手に預けようとしていることです。国内で動かない売り方は、海外でも動きません。
この記事では、国内の代理店で型をつくってから海外へ広げる順番と、そのまま使える型の4点セット、候補への声のかけ方をお渡しします。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
先に海外へ行くと、何が起きやすいか
海外の代理店との連絡は、言葉も時差も距離もあります。反応が返るまでに時間がかかります。
すると、うまくいかなかったときに、原因が分かりません。商品なのか、売り方なのか、相手なのか、価格なのか。国内なら数日で見える反応が、海外では数か月かかることもあります。直すサイクルが遅いほど、小さな会社の体力は削られます。
だから順番は、国内で型をつくり、直し方を覚えてから、海外へ持っていくのが安全です。これは食品に限らず、日用品、機械、サービスなど、商材や業種を問わず同じです。

国内でつくる型、4点セット
型といっても、難しいものではありません。書き出すのは4つです。
- 1売る相手を、一行で(業種、規模、困りごと)
- 2説明の資料を、1枚で(何を、誰に、なぜいま必要か)
- 3代理店に渡すもの(資料、よくある質問と答え、サンプルなど)
- 4成果の決め方(何をもって成果とするか、連絡の頻度)
1つ目は、相手を絞る作業です。私の営業の転機は、営業する相手を、資産を持つ方やオーナー社長に絞ったことでした。行動量は落とさず、向ける先だけを変えました。相手が絞れていないと、代理店は誰に売ればよいか分からず、動けません。
3つ目は、代理店が迷ったときに開く、辞書のようなものです。質問に答えを返せる状態にしておくと、連絡の往復が減ります。
4つ目は、後でもめない土台です。商談の数なのか、見積もりの数なのか、契約の数なのか。決めておかないと、頑張ったのに評価されない、という不満が生まれます。

国内の代理店で、少数から試す
型ができたら、国内の代理店候補に試してもらいます。いきなり大勢に声をかけず、数社に絞ります。期間も、たとえば3か月と区切ります。
声のかけ方の例です。「御社のお客さまに、〇〇の困りごとを持つ方がいらっしゃいましたら、1枚の資料でご紹介いただけませんか。まず3か月、無理のない範囲で試させてください」
見るのは、売上より動きです。会った数、2回目の話に進んだ数、質問の内容。そして、動いた代理店と動かなかった代理店の違いです。
私は起業してから、副業の営業マンを約300人集めました。実際に動いたのは約10人でした。人数を集めることはできても、全員が動くわけではありません。動いた人と動かなかった人の違いを見ると、渡すものの何が足りなかったかが分かります。海外に行く前に、この違いを国内で見ておくのです。
試す期間が終わったら、振り返りは3つの問いだけで十分です。
- 動いた代理店は、どこがほかと違ったか
- 質問が多かったのは、どの部分か
- 資料のどこを直せば、質問が減るか
答えを、1枚の資料と質問集に反映します。この作業を国内で2周ほど回すと、海外の相手に渡すものが、見違えるほど整います。
海外代理店を探す、5つの順番
型ができて、国内で動きを確かめてから、海外へ進みます。順番は次のとおりです。
- 1国内で型をつくり、直し方を覚える
- 2型を、海外向けに直す
- 3候補を、条件で絞る
- 4小さく、期間を区切って試す
- 5試した結果で型を直し、広げる
2番目の「海外向けに直す」では、言語、数量の単位、規格、梱包、必要な書類などを確認します。輸出先の規制や表示のルールは国ごとに違います。早い段階で、輸出先の条件を調べておきます。
3番目の候補の絞り方は、3つの条件で十分です。似た商材をすでに扱っているか。売りたい相手と、すでに接点があるか。連絡が早く、質問が具体的か。探す入口は、展示会、商社、現地の業界団体、すでに取引のあるお客さまからの紹介などです。
候補が2〜3社に絞れたら、契約の前に5つの質問をします。
- 似た商材を、いま扱っているか
- 売りたい相手との接点が、すでにあるか
- 質問への返事は、早いか
- 成果の決め方に、合意できるか
- 期間を区切って試す提案に、乗ってくれるか
5つのうち、4つ目と5つ目が合わない相手とは、無理に進めません。合意できない条件を抱えたまま始めると、成果を測る前に動きが止まりがちです。始める前に確認しておけば、お互いの時間を無駄にせずに済みます。
最初の連絡は、短くします。「御社の取扱商品を拝見し、〇〇の分野で相性が良いと考えています。まず小さな数量で、お試しいただける形をご提案したいです」。大きな契約を求めず、小さく試す提案から入ります。
書類とお金は、先に最初の確認だけしておく
海外に売り始めると、書類とお金の話も出てきます。ここでは入口だけ触れます。
国税庁の案内では、国内からの輸出として行う商品の販売などは、消費税が免除される(免税、消費税0円)取引です。免税を受けるには、輸出取引であることを証明する書類の保存が必要で、保存期間は7年間とされています。令和8年10月1日以後は、代金を現金などで受け取る場合に、輸入の事実を証する書類も保存が必要になると案内されています。仕入れ時の消費税が戻ることもありますが、その前提も証拠書類の保存です。また、海外の事業者へ払う広告やクラウドなどのサービス料について、消費税の扱いに疑問が出ることがあります。
これらの解説記事は、令和の総合商社の海外コーナーにあります。経営の土台を整える読み物として、手が空いたときに読んでみてください。
国内で代理店を使うときの考え方や、契約の型の話は、代理店のコーナーにあります。
取引の内容によって必要な書類は変わります。個別の判断は、税理士など専門家へご相談ください。

今週やること
- 14点セットの1つ目、売る相手を一行で書く
- 2説明の資料を1枚にまとめる
- 3国内の代理店候補を数社、リストにする
私たちコミッターズの海外進出の支援は、食品をはじめ、商材や業種を問いません。ただ、どの商材でも、土台は同じです。国内で型をつくってから、海外へ進む。この順番を守れば、小さな会社でも失敗の傷を小さくできます。
営業は、才能や学歴やコネがなくても、量と設計で変えられます。海外への広げ方も、設計で決まります。
コミッターズは、代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社です。本気で販路を作りたい経営者の方には、60分の無料相談で設計図をお出しします。
参考(外部サイト):国税庁
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。