事務所の天井で、蛍光灯が1本だけチカチカしています。替えの蛍光管を買おうと、ネットで調べます。すると、「蛍光灯は2027年で禁止」という見出しが目に入ります。社長は天井を見上げて、少し青くなります。「全部で16本あるけど、来年中に全部替えないと違法なの?」
結論からいうと、使い続けることは禁止されていません。蛍光灯の禁止が止めるのは、蛍光ランプの製造と輸出入です。また、環境省の案内でも、蛍光ランプの使用・販売・購入は禁止されないと書かれています。蛍光灯の禁止によって、2027年1月1日に事務所の照明が違法になる、という話ではありません。
蛍光灯の禁止で作られなくなる以上、替えの蛍光管はだんだん手に入りにくくなります。この記事では、種類ごとの期限、事務所でLEDに交換する順番、使い終わった蛍光管の捨て方を整理します。2026年10月時点の環境省・経済産業省の公表内容をもとにしています。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
蛍光灯の禁止は「作ること」と「輸出入」です
もとになっているのは、水銀に関する水俣条約です。2023年の締約国会議で、一般照明用の蛍光ランプの段階的な廃止が決まりました。これを受けて、日本では2024年12月に水銀による環境の汚染の防止に関する法律の施行令が改正されました。その結果、一般照明用の蛍光ランプはすべて、製造が原則禁止される「特定水銀使用製品」になりました。なお、輸出入は、外為法で規制されます。
種類ごとの期限
では、環境省のページに並ぶ期限は、次のとおりです。
- 電球形蛍光ランプ:2026年1月1日(30ワットを超えるものは2027年1月1日)
- コンパクト形蛍光ランプ:2027年1月1日
- 直管形蛍光ランプ:2028年1月1日(ハロりん酸塩を主成分とする蛍光体を使ったものは2027年1月1日)
- 環形蛍光ランプ:2028年1月1日(同上のものは2027年1月1日)
蛍光灯の禁止が「2027年末までに」とまとめて言われるのには、理由があります。いちばん遅い直管形・環形の一般的な品が、2028年1月1日に止まるからです。つまり、電球形はもう止まっています。事務所に多い直管形は、種類によって2027年か2028年の初めに止まります。
禁止のあとも使い続けられるか
蛍光灯の禁止が始まったあとも、継続使用や在庫の売買はできます。経済産業省の特設ページが、そう説明しています。そのうえで、使い続ける場合は、在庫切れになる前に必要な数をそろえるよう勧めています。また、計画的にLED照明へ切り替えることも呼びかけています。また、東京都中央区のページにも、在庫品の流通・販売や既存製品の継続使用は可能と書かれています。
蛍光灯の禁止は、自分の事務所のどの蛍光灯に当たるか
天井の蛍光管が、ハロりん酸塩のものか、3波長形のものか。見た目では、なかなか分かりません。また、日本照明工業会の資料でも、両者は蛍光体の種類で区別されていて、外見での見分け方は示されていません。
そこで、確かめる手順は、次のとおりです。
- 1蛍光管の端に印字された品番を、スマホで撮ります(「F」や「EF」で始まるものが多いと、環境省のページにあります)
- 2器具のラベルも撮ります(メーカー名、型番、製造年)
- 3写真を持って、いつもの電器店やメーカーの窓口に聞きます
ちなみに、特殊な用途のランプは、一般照明用とは別の扱いです。色を比べる検査用、低温用、看板用、非常用照明器具や誘導灯用などが当たります。なお、工場や店舗で特殊なランプを使っている場合は、品番を伝えて確認しておくと安心です。
仮の事務所で考える交換の順番
たとえば、従業員5人の事務所で、天井に直管形の蛍光灯が16本あるとします(仮の例)。ただ、全部を一度に替えるのは、お金も段取りも大変です。そこで、次の順番で考えます。
- 1いま点きが悪い器具、10年以上使っていそうな器具を先にする
- 2来客の目に入る場所(入口、打ち合わせ席)を次にする
- 3残りは、替えの蛍光管が切れたタイミングで順に替える
- 4それまでの間に使う替えの蛍光管を、数本だけ確保しておく
仮に、1年目に入口と打ち合わせ席の6本ぶん、2年目に残りの10本ぶん、という具合です。電器店の担当者との会話は、こんな感じになります。
「天井の蛍光灯を、2回に分けてLEDにしたいんです。写真はこれです」
「この器具だと、ランプだけ替えるより器具ごと交換のほうがいいですね。見積もりを2回分で出します」
そのため、ここで大事なのは、自分で判断せず、器具の写真を見せることです。なお、理由は次の見出しで書きます。
ただし:LEDの管だけ差し替えるのは注意
実は、いちばん多い勘違いは、「蛍光管を外して、同じ長さのLEDの管を差せば終わり」というものです。製品評価技術基盤機構は、蛍光灯をLED照明に替える方法を2つ説明しています。器具ごと交換する方法と、器具はそのままでランプだけ替える方法です。ランプだけ替える場合は、器具の点灯方式に合ったLEDランプを選ぶ必要があります。不適切な交換が原因と考えられる事故も、報告されています。さらに、環境省と経済産業省も、交換に工事が必要な場合があるとして、電器店などへの相談を勧めています。
蛍光灯の禁止をうたう勧誘の電話
もう一つの注意は、勧誘の電話です。環境省のページには、不審な電話への注意があります。環境省を名乗って、LED交換のアンケートなどを求める電話が確認されています。関係が確認できない電話には、事業所の情報を伝えないでください。契約や支払いも、しないよう呼びかけられています。「来年から蛍光灯は違法になります」と急がせる話があるかもしれません。ここまで読んだ社長なら、少し落ち着いて聞けるはずです。また、勧誘や契約のトラブルは、消費者ホットラインの188に相談できます。
使い終わった蛍光管の捨て方
使い終わった蛍光管の捨て方も、会社と家庭で違います。環境省のページでは、オフィスや工場から出るものは廃棄物処理法などの関連法令に従って処理するよう案内しています。兵庫県西宮市のページでは、事業所の廃蛍光管などは「水銀使用製品産業廃棄物」として扱うとされています。次の点を守るよう求めています(2017年10月1日施行のルール)。
- 割れないよう専用の容器を用意し、蛍光管だけを入れて保管する
- 委託契約書とマニフェストに「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれることを書く
- その品目の許可を受けた処理業者に任せる
もちろん、家庭ごみの日に、事務所の蛍光管をこっそり出すのはやめておきます。交換を電器店に頼むときは、外した蛍光管の引き取りも聞いておきます。見積もりの段階で聞くと、話が早いです。
助成制度と、器具ごと買い替えるときの経費
なお、中央区のように、事業所のLED導入に助成制度を用意している自治体もあります。条件や受付時期は、自治体ごとに違います。発注の前に、事務所のある自治体のページを確認しておきます。また、器具ごと買い替えるときの経費の考え方は、こちらの記事が参考になります。
35万円のパソコン、買ったら全額経費?令和8年4月から変わった「40万円未満」のルール
蛍光灯の禁止に備える、今日からの一歩:天井を数えて、写真を1枚
まずは今日、事務所の蛍光灯の本数を数えて、品番と器具のラベルを1枚ずつ撮ってみてください。数えてみると、給湯室やトイレに電球形の蛍光ランプが残っていた、ということもあります。
さらに、この「数えて、写真を撮って、相談する」は、営業の現場でもそのまま使えます。照明や設備を扱う会社なら、お客さんの天井の本数を一緒に数えるところから始められます。交換の計画づくりも、手伝えます。つまり、売り込む前に数を数える人は、だいたい信用されます。
なお、SDGsコーナー全体の歩き方は、こちらにまとめています。
「SDGsコーナー」の歩き方。SDGsで事業がどう変わるかと、事業に合う取り組みの選び方
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お金の学び(ウハウハ高等学校):家の屋根の太陽光は、電気をいくらで売れる?2026年度の住宅用の買取価格
営業・販路のコラム:コミッターズ コラム
筆者の記事:川口忠大のnote
蓄電池を知る(ENERGY BANK):系統用蓄電池メーカー比較|法人が製品・導入支援・保守を同じ条件で見る方法
導入先を比べる:系統用蓄電池の低圧・高圧比較|法人が費用と接続条件で選ぶ方法
お金の面を読む:系統用蓄電池の充電コストを読む|調達契約と託送料金
情報サイトのトップ:ENERGY BANK(系統用蓄電池の情報サイト)
運営元:コミッターズ
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参考(外部サイト):環境省、経済産業省、経済産業省(2)、自治体、官公庁、www.nishi.or.jp
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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