気づけば10月です。今年の目標まで、まだ数字が足りないと感じていませんか。
原因は、営業の量ではなく、見ている数字の種類かもしれません。10月は、年内の売上を作り直せる最後の月です。
この記事では、営業の数字を見直す5つの視点を、その場で使える問いと一緒にお渡しします。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
10月に見直す理由は「残りの週数」が見えるから
12月決算の会社なら、10月下旬の時点で、年末まで10週前後です。12月の後半は、取引先も動きにくくなりがちです。実質の勝負は、あと7〜8週と考えると、先延ばしできる余裕はあまりありません。
だからこの時期は、「頑張る」より「見直す」ほうが効きます。見直す視点は、次の5つです。
- 1集めた数ではなく、動いた数を見る
- 2売上の上位と、紹介元を見る
- 3商談の段階ごとの人数を見る
- 4営業の道具を見直す
- 5年末までの週数から逆算する
視点1と2 動いた数と、向ける先
視点1は、「動いた数」です。私は起業後に、副業の営業マンを約300人集めたことがあります。ところが、実際に動いたのは約10人でした。登録した人数は大きく見えますが、売上をつくるのは動いた人だけです。
あなたの会社でも、次の数字を並べてみてください。
- 名刺交換した人数と、その後に2回目の面談に進んだ人数
- 資料請求や問い合わせの件数と、商談に進んだ件数
- 代理店や紹介元として登録した数と、実際に案件を出した数
動かなかった人に、責める連絡は要りません。「今期いちばん動きやすかった案件はどれでしたか」と1通聞くだけで、止まっている原因が見えます。
視点2は、「向ける先」です。売上の上位5社と、紹介してくれた人を書き出します。業種、会社の規模、出会った経路、最初の1件までの日数を、横一列に並べてみてください。野村證券時代の私の転機は、営業する相手を、資産を持つ方やオーナー社長に絞ったことでした。行動量は落とさず、向ける先だけを変えました。上位の顧客に共通する業種や規模が見えたら、残りの週は、そこに似た相手に時間を寄せます。
視点3 商談の段階ごとの人数を見る
商談は、次の段階に分けて数えます。
- 1初回の面談
- 2提案
- 3見積もり
- 4契約
段階ごとに人数を書き、前の段階から次の段階へ進んだ割合を見ます。割合が最も落ちている段階が、見直す場所です。人数の多い段階ではなく、割合が落ちる段階を見るのがポイントです。多い段階をいくら増やしても、落ちる段階が直らなければ、契約の数は増えません。たとえば提案までは進むのに見積もりに進まないなら、提案の中身か、金額を言うタイミングを変えます。
ここで使うのは、自社の過去の数字だけです。他社の平均値を探す必要はありません。件数が少ないときは、割合ではなく、実際に止まった案件の名前を3つ書き出します。止まった理由を、相手の言葉のまま書くのがコツです。そのうえで、止まった3件には、「その後、状況はいかがでしょうか。当時のご提案で、判断しにくかった点があれば教えてください」と1通送ります。返事が来なくても、年内に連絡する理由が1つ増えます。
視点4 営業の道具を見直す
動きを速くする道具が古くなっていないか、確認しましょう。たとえば、商談でよく固まるパソコン、画面共有が重いタブレットなどです。
見直しの問いは3つです。この道具のせいで、商談の準備に何分余計にかかっているかを数えます。この道具のせいで、断った場所や時間がないかを思い出します。この道具が止まった日に、営業は何件止まるかを考えます。答えが出たら、買い替えの優先順位は自然に決まります。
道具を買い替えるときは、税のルールも知っておくと選びやすくなります。令和の総合商社の次の記事に、35万円のパソコンの全額経費の話と、令和8年4月から変わった「40万円未満」のルールがまとまっています。
35万円のパソコン、買ったら全額経費?令和8年4月から変わった「40万円未満」のルール
国税庁の案内では、中小企業者等の少額減価償却資産の特例について、令和8年4月1日以後に取得したものから、取得価額の基準が30万円未満から40万円未満に引き上げられています。年間の合計は300万円が上限で、青色申告をしている中小企業者などが対象です。取得して、事業のために使い始めることが前提です。自社が対象になるかどうかは、税理士に確認してください。

視点5 年末までの週数から逆算する
最後は、逆算です。次の3つの数を紙に書きます。
- 年内に欲しい売上と、いまの差
- 1件あたりの平均の売上
- 年末までの週数
仮の数字で試してみます。差が200万円、1件の平均が40万円なら、必要な契約は5件です。残りが8週なら、週あたり0.6件ほどで、およそ2週に1件のペースです。提案4件に1件が契約になるなら、提案は全部で20件が要ります。
自社の数字で同じ計算をするときは、差を平均の売上で割ると、年内に必要な契約の数が出ます。それを週数で割ると、1週間に必要な契約の数です。さらに、視点3で見た割合で逆にたどれば、1週間に必要な面談の数が分かります。
数字が出たら、今週の予定表に面談を入れてしまいます。野村證券の宮崎支店の新人時代、私は毎日、手紙を3〜5枚書いていました。朝いちばんに上司へ実物を見せる決まりがあると、数をごまかせません。予定に入れた面談も同じで、見える形にした約束は、守りやすくなります。逆算の結果が重く感じても、1週間あたりの面談数にまで落とすと、やることは意外に小さくなります。大きな目標は、今週の予定表の1行にして、はじめて動きます。

今月やることと、10月の5つのチェック
今月やることは、次の3つです。
- 15つの視点のうち、いちばん数字が悪いものを1つ選びます。
- 2その視点の問いに、自社の数字で答えを書き込みます。
- 3来週の予定に、面談を最低でも3件入れます。

起業したばかりのころ、私は交流会で名刺を1000枚以上集めました。売上はほぼゼロでした。数を集めることと、売上をつくることは別の作業です。才能や学歴やコネがなくても、見る数字を変えて行動を設計し直せば、結果は変えられます。
令和の総合商社には、「10月に見直したい小さな会社の5つのチェック(2026年版)」という記事もあります。営業の数字と合わせて、経営の土台を整える読み物として、使ってみてください。
10月に見直したい、小さな会社の5つのチェック(2026年版)
令和の総合商社のトップページには、小さな会社向けの解説記事が並んでいます。
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