紹介制で、月1回集まって、紹介のノルマはない。条件だけを並べれば、真誓会(しんせいかい)とNIC(ネクストイノベーション経営者倶楽部)はよく似た経営者交流会に見えます。ところが、会費の見え方も、入口の締め方も、運営の形もまるで違います。真誓会は会費を公式に公開し、決済権と審査で入口を締める。NICは会費を拠点ごとに委ね、「まず仲良くなる」ゆるさを貫く。同じ「ノルマなし」でも、設計思想は対照的です。
この記事では、真誓会とNICを「会費」「入会条件」「運営」「紹介の扱い」の4つの軸で比べ、最後に「それぞれ、どんな経営者に向いているか」まで整理します。優劣の話ではありません。設計の違いを知ることが、会選びの失敗を減らす近道だからです。
まず両者の素性を押さえる
真誓会は、一般社団法人中小企業相互扶助協会が運営する経営者会で、設立は2021年、発祥は東京・池袋です。国内98エリア・海外5エリア(公式トップの「2026年11月現在」表記)に広がり、各エリアが月1回の定例会を開きます。会員数は公式SNSの表記で「4,000人以上」です(媒体によって表記に幅があります)。理念は「相互扶助」。定例会では全員が90秒の自己紹介を行い、「今ビジネスで必要としていること」を伝え合う独自の仕組み「相扶(そうふ)」を共有します。会員区分はゲスト/準会員/正会員の3つです。
NICは、交流会の運営を手がけるコネクタービジョン株式会社が展開する経営者交流会です。拠点は東京・大阪・愛知(名古屋)・横浜など全国6拠点で、会員は全体で2,000社を超えると案内されています。最大の東京は約1,700社で、NIC1〜NIC8などのグループに分かれて月13回開催。名古屋は約180社で月2回、大阪は約130社で月1回、横浜は約70〜80名の規模です(2026年11月時点の公開情報)。完全紹介制・完全会員制で、出席義務も紹介ノルマもないのが特徴です。
成り立ちで見ると、2021年に生まれてエリア代表者の自律運営で急拡大した真誓会と、株式会社の拠点展開で2,000社超まで広がったNIC、という対比になります。

違い1:会費——公式に金額が読めるか、拠点ごとに要確認か
真誓会の会費は、公式に公開されています。2026年10月に改定があり、現行は入会金24,000円/年会費35,000円です。更新料は正会員35,000円/準会員59,000円で、支払った入会金・年会費は原則として返還されません。定例会の参加費はエリアごとに決まる形で5,000〜10,000円前後、ゲスト参加費については公式の一律公開がありません。なお、ウェブ上には旧料金(入会金22,000円/年会費33,000円)のままの記事も多く残っているため、検討時は現行額で確認が必要です。
NICの会費(入会金・年会費)は、拠点ごとに運営形態が異なるため、一律の金額は公式に公開されていません。フランチャイズ形式で各地の主催者が運営する拠点もあり、費用は拠点ごとに要確認です。参考までに、NIC大阪のビジター参加は1回12,000円(飲食代込み、メンバーは無料)と案内されています(コネクターギルド掲載のイベント情報、2026年11月時点)。
つまり、入会前に金額の全体像を読みやすいのは真誓会で、NICは紹介を受けた拠点に直接確かめる前提の会です。
違い2:入会条件——決済権と審査で締めるか、紹介で迎えるか
真誓会の入会条件は、公式に明記されています。①売買両方の決済権を有する経営者(代表または取締役)であること、②会員より紹介を受けていること。この2つを満たしたうえで、入会審査があります。ゲスト参加は会員の紹介による1回のみで、2回目のゲスト参加はできません。「まず見てから考える」余地が小さい代わりに、場にいる全員が決裁権者であることが担保される設計です。
交流会や経営者団体への参加についての相談は、令和の総合商社で受け付けています。 お問い合わせページからご相談ください。
NICも完全紹介制で、参加できるのは法人・個人事業主の代表者、またはそれに相当する決裁権を持つ人です。ただし入口の運用は拠点の主催者に委ねられる部分が大きく、初めて参加する場合は、事前に主催者とオンラインで情報交換をして、会の考え方を理解してから参加する流れが一般的です。拠点によっては、ネットワークビジネスや営業代行、金融商品販売、投資系、生命保険など、営業目的の参加を不可としています(NIC大阪のビジター条件。2026年11月時点)。
違い3:運営——エリアの自律運営か、拠点主催者の運営か
真誓会のエリアは、各地の代表者が主催し、「独立した非営利的運営」と公式に説明されています。本部は一般社団法人ですが、定例会の運び方や空気はエリアごとに差が出やすい構造です。元会員の体験談でも「エリア運営は現地任せで本部のサポートが薄い」「エリアの解散が公表されない」といった、運営の不透明さを指摘する声があります。一方で、定例会での90秒自己紹介を通じて仕事の依頼につながった、士業とつながれた、といった会員の声もあります。
NICも、拠点ごとに主催者がいて、例会の進め方や雰囲気は拠点ごとに異なります。大阪ではテーブルごとの自己紹介とディスカッション、メンバー間で実現した仕事の成果事例の共有をしてから懇親会に入る、といった進め方です。会員同士の連絡の場として、Facebookには会員限定のプライベートグループ(メンバー183名、2019年8月開設)もあり、例会の外でもつながりが続く設計になっています。
両者に共通するのは、「本部が一律に統制する会」ではないという点です。所属するエリア・拠点の主催者で体験が大きく変わるため、入会前のゲスト参加・ビジター参加で「自分の所属先」の空気を確かめる意味が大きくなります。
違い4:紹介の扱い——「相扶」の目標があるか、完全に自然発生か
どちらも、出席義務も紹介ノルマもありません。違いは、その先に「目標」があるかどうかです。
真誓会では、「相扶」を各会員が月1つ以上実施することが、公式に”目標”として示されています。ノルマではないものの、定例会で全員が困りごとを大・中・小の3つに分けて口にする仕組みがあるため、「助ける側に回ること」が会の文化として目に見える形になっています。
NICには、そうした目標もありません。主催者の一人、NIC横浜の中島寛和さんは「交流会は仲良くなることが目的でいい。ビジネスは後からついてくる」と語っています。紹介は、信頼関係が深まった先に自然に生まれるもの、という位置づけです。
交流会や経営者団体への参加についての相談は、令和の総合商社で受け付けています。 お問い合わせページからご相談ください。
言い換えれば、真誓会は「目標で助け合いの空気を保つ」設計、NICは「目標すら置かず、関係の熟成に任せる」設計です。
どんな経営者に向いているか
真誓会が向いているのは、次のような経営者です。
- 会費や条件を、入会前に数字で確認してから決めたい
- 「今困っていること」を具体的に相談し、助け合う関係が欲しい
- 決裁権を持つ経営者同士の場で動きたい
- 自分のエリアに根ざした活動をしたい
NICが向いているのは、次のような経営者です。
- ノルマや義務に縛られず、自分のペースで人脈を広げたい
- 仕事の前に「人として付き合える関係」を作りたい
- 東京・大阪・名古屋・横浜のいずれかに活動拠点がある
- 中長期で信頼できる相談相手や協業先を探している
経営者にとって交流会のコストは、会費だけではありません。月1回とはいえ、定例会の参加費や移動、二次会まで含めた総額と時間で見る必要があります。そのうえで判断軸は「会費の高い安い」ではなく、「入口の形と、会に求めるものが合っているか」です。困りごとを解決する回路が欲しいなら真誓会の相扶が効きますし、長く付き合える経営者仲間の土台を作りたいなら、NICの「ゆるさ」は弱点ではなく設計そのものです。

筆者の見方
真誓会とNICの違いを一言で言えば、「理念と審査で場の質を保つ会」と「ゆるさで場の居心地を保つ会」です。どちらも紹介制で義務を課さない点は共通しています。違うのは情報の出し方と入口の形で、真誓会は条件と会費を先に全部見せ、その代わり審査を通す。NICは会費を拠点に委ね、まずは紹介で入って、関係の中で確かめていく。経営者にとっては、「入る前に全部読みたい」のか「入ってから確かめたい」のか、自分の判断の癖に合う方を選ぶのが実務的だと考えます。
筆者もBNIのBRIDGETチャプターで活動していますが、BNIは週1回の定例会と1業種1名制という、また別の設計の会です。真誓会・NICと並べてみると、「月1回か週1回か」「条件を先に全部見せるか、拠点に委ねるか」という軸で、交流会の設計の違いが見えてきます。
経営者交流会の全体像や他の会との違いは、みんなの企業新聞の記事でも整理しています。あわせてご覧ください。
筆者が活動するBNI・BRIDGETチャプターについて
筆者は、BNIのBRIDGETチャプターで活動しています。BRIDGETチャプターの定例会は、毎週火曜日の夜19時から開催しています。紹介の仕組みを実際に見てみたい方は、見学も可能です(見学は2回まで)。興味がある方は、川口までお気軽にお問い合わせください。
出典
- 真誓会 公式サイト(エリア数・理念・相扶)https://sofu-shinseikai.or.jp/(2026年11月5日確認)
- 一般社団法人中小企業相互扶助協会 会社概要 https://sofu-shinseikai.or.jp/company.php(2026年11月5日確認)
- 真誓会 利用規約(会費:2026年10月改定後の現行額)https://sofu-shinseikai.or.jp/terms.php(2026年11月5日確認)
- 会員・元会員のnote体験談、第三者レビュー(真誓会の評判、両面)(2026年11月5日確認)
- コネクタービジョン株式会社 公式サイト(NICの拠点・会員数)https://connector-vision.com/(2026年11月5日確認)
- コネクターギルド「NIC大阪 主催者インタビュー(桐山宏一さん)」「NIC横浜 主催者インタビュー(中島寛和さん)」(2026年11月5日確認)
- コネクターギルド 大阪府のビジネス交流会・経営者交流会一覧(NIC大阪 例会のビジター条件)(2026年11月5日確認)
- Facebookグループ「NICネクストイノベーション経営者倶楽部」(会員限定・メンバー183名)https://www.facebook.com/groups/596159110911164/(2026年11月5日確認)
※会費・参加条件は改定されることがあります。特に真誓会は2026年10月に会費改定があったため、検討時は各会の最新案内でご確認ください。NICの会費は拠点ごとに異なり一律の公式公開がないため、本記事では金額を掲載していません。
あわせて、みんなの企業新聞の記事「BNIの会費はいくらか|入会金・メンバーシップ費の内訳と費用の考え方」もご覧ください。
徳億会とは?
徳億会は、株式会社いかしあい隊が運営する月例の経営者交流会です。着席型の食事会の形式で、「徳を積み重ねる本物の経営者の集い」を掲げています。徳億会会員の費用は、入会金110,000円・月会費36,300円・年会費435,600円(いずれも税込、公式表記)。ビジター参加の費用は回によって異なるため、最新の案内は株式会社いかしあい隊の公式サイトでご確認ください。
ATM会とは?
ATM会は、徳億会と同じく株式会社いかしあい隊が運営する月例の経営者交流会です。立食型の形式で、名前は「A=明るく、T=楽しく、M=前向きに」に由来します。いかしあい隊会員の費用は、入会金55,000円・月会費11,000円・年会費132,000円(いずれも税込、公式表記)。ビジター参加の費用は回によって異なるため、最新の案内は株式会社いかしあい隊の公式サイトでご確認ください。
交流会への参加・見学に興味のある方は、こちらからお問い合わせください。内容を確認のうえ、ご案内します。