商品ページの説明文と写真は、小さな店にとって、仕入れよりも後回しになりがちな仕事です。そこで、商品説明文のMuse活用が気になっている店主も多いはずです。
先に答えを言うと、下書きまでは任せて構いません。ただし、公開してよいかを決めるのは店主です。AIが間違った説明を書いても、載せた店が表示規制の対象になりうる仕組みだからです。
この記事では、Metaの公式発表と報道で確認できたことと、消費者庁などの公的ページで確認できたことを、質問と答えの形で整理します。また、筆者の使い方も少しだけ書きます。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
商品説明文のMuse活用は、日本で始められる?確認できた事実
Museは、MetaのパーソナルAIエージェントです。Metaは、2026年10月23日(日本時間)から日本での提供を始めたと発表しました。iOS、Android、muse.aiで使えます。
多くの基本機能は無料で、さらに活用したい人向けにサブスクリプションプランもあります。ただし、料金の中身は変わることがあるため、公式ページで確認してください。
一方で、日本ですべての新機能が使えるわけではありません。たとえば、アバターの「Muse Realtime Avatar」やMuse独自のメールアドレスは、日本での提供状況を別途案内するとされています。
また、メールの送信や商品の購入など重要な操作の前には、Museが本人に確認すると、Metaは説明しています。つまり、勝手に進める作りにはなっていません。
写真を見せるだけで、商品説明文のMuse活用は完結しますか?
答えは、完結しません。理由を順に説明します。
写真から分かることと、分からないこと
Museシリーズの第一弾の「Muse Spark」は、テキストと画像を統合的に処理するモデルだと、ITmediaが報じています。発表は2026年4月8日(米国時間)でした。さらに同じ記事は、店の棚を撮影して商品を比べる使い方も紹介しています。
つまり、写真を見て特徴を言葉にする作業は、得意分野に入りそうです。ただし、Museのアプリがどのモデルで動くかは、公式の案内で確認してください。
とはいえ、写真に写るのは見た目だけです。まず、素材の混用率、サイズ、重さ、原産国、取り扱いの注意は、写真から読み取れません。
個人情報保護委員会は、生成AIの応答に不正確な内容が含まれることがあると注意喚起しています。個人情報について書かれた文ですが、商品説明文にも同じ考え方が当てはまります。
下書きを頼むときの5手順
筆者がすすめる手順は、次のとおりです。
- 1仕入れ先の資料やタグから、素材・サイズ・重さ・原産国・注意書きをそろえる
- 2写真と一緒に、その事実だけをMuseに渡す
- 3「書いてあること以外は足さない」と条件をつける
- 4下書きの数字と固有名詞を、元の資料と見比べる
- 5見比べ終えた店主が、公開を決める
なお、筆者はMuseに作業を任せるときも、下書きを見せてもらい、承認してから送信や投稿をする決まりにしています。商品ページも同じ扱いが向いています。
資料をそろえる
事実だけ渡す
条件をつける
元の資料と見比べる
店主が公開を決める
AIが書いた説明が実物と違ったら、責任は誰にある?
モノ商材の仕入れや売り方についての相談は、令和の総合商社で受け付けています。 お問い合わせページからご相談ください。
景品表示法は、商品の品質について、実際のものよりも著しく優れていると示す表示を禁止しています。これが優良誤認表示です。消費者庁の例では、カシミヤの混用率が80%程度のセーターに、カシミヤのみの商品だと示す表示をした場合が挙げられています。
注意したいのは、故意でなくても対象になる点です。消費者庁は、誤って表示してしまった場合であっても、優良誤認表示に当たれば規制されると説明しています。
また、消費者庁のよくある質問には、製造業者の誤った説明に基づいて小売業者がチラシを作った例があります。内容を決めたのは小売店なので、過失があるかどうかにかかわらず、小売店が表示規制の対象になると答えています。
AIの下書きを載せる場合も、載せると決めるのは店です。これは筆者の読みですが、同じ考え方で備えるのが安全です。
さらに、効果や性能の言葉には、根拠資料が要ります。景品表示法第7条第2項により、消費者庁長官から根拠の提出を求められ、合理的な根拠が示せないと、不当表示とみなされることがあります。そのため、「丈夫」「疲れにくい」のような言葉が下書きに増えていないか、確かめてください。
商品写真をMuseで作ったり、直したりしてもいい?
答えは、直し方しだいです。
Muse Imageでできること
Metaは2026年7月7日(米国時間)、画像生成モデル「Muse Image」をMeta AIに導入したと発表しました。Impress Watchの報道によると、Meta AIアプリとウェブ版のmeta.aiから使えます。写真に写り込んだ人を消すなど、編集にも対応します。
基本の利用は無料で、多くの画像を作りたい場合は有料サブスクリプションもあるそうです。ただし、InstagramとWhatsAppの関連機能は、日本では未提供と書かれています。
一方、Museのアプリで画像の生成や編集がどこまでできるか、日本での提供範囲はどうかは、この記事では確認できませんでした。公式の案内で確かめてください。
直してよい範囲と、いけない範囲
次に、線引きです。筆者の考えを書きます。
- 背景の余計な物を消す、明るさを整える:商品そのものは実物のまま
- 傷、汚れ、色、サイズ感、付属品を変える:実物と違う写真になる
消費者庁のよくある質問には、容器にオレンジの写真を載せ、商品名を「オレンジドリンク」にしたのに果汁を使っていない飲料の例があります。つまり、写真も、表示の中身として見られることが分かります。
筆者の運用では、画像や素材づくりはChatGPTの担当で、Museには実行と管理を任せています。ただし、商品写真づくりをMuseに任せた経験は、筆者にはありません。
また、他店の写真や説明文を読み込ませて、似せるように頼む使い方も避けてください。文化庁は、令和6年3月15日に「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめています。判断に迷うときは、文化庁のページや専門家に確認します。
Museに入れていい情報と、入れない情報の線引きは?
入れてよいのは、すでに公開している商品情報と、これから商品ページに載せる文章です。
入れないのは、次のものです。
- お客様の氏名、住所、電話番号、注文履歴
- 取引先との契約書や、仕入れ値の一覧
- 他社から預かった未公開の資料
個人情報保護委員会は、個人データを本人の同意なく生成AIに入力し、応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、個人情報保護法に違反する可能性があると述べています。
モノ商材の仕入れや売り方についての相談は、令和の総合商社で受け付けています。 お問い合わせページからご相談ください。
なお、MuseとのやりとりをMetaのAIモデルの学習に使わせない設定(オプトアウト)が可能だと、Metaは案内しています。ただし、設定をしても入れてよい情報が増えるわけではありません。
モノ商材の仕入れや売り方についての相談は、令和の総合商社で受け付けています。 お問い合わせページからご相談ください。
商品説明文のMuse活用でよくある質問
「無料のままで足りますか」と聞かれます。答えは、基本機能は無料ですが、画像を多く作る場合は有料プランが関わる可能性がある、です。上限や価格は、公式で確認してください。
次に、「型番だけ渡して、書かせてもいいですか」という質問です。型番だけでは素材もサイズも分かりません。足りない部分をAIが推測で埋めるおそれがあるため、仕入れ先の資料を渡してください。
さらに、「Museが勝手に商品ページを更新しませんか」と聞かれることもあります。重要な操作の前には本人に確認すると、Metaは説明しています。ただし、商品ページの更新が対象かは書かれていません。筆者は、下書きを見て承認するまで、公開しない決まりにしています。
商品説明文のMuse活用、今日からできる最初の一歩
まず、いちばん売りたい商品を1点選んでください。次に、次の5項目を紙にまとめます。
- 素材または成分
- サイズと重さ
- 原産国
- 返品の条件
- 「丈夫」などの言葉の根拠資料
返品の条件は、AIの下書きに任せない項目です。別のサイトのポチっと雑貨店長(ニコニコデスク)のコラム「ネットショップの返品特約の書き方、年末商戦前の5手順」では、返品の対象を「どの商品に当てはまるかが読んだ人に分かる形」にすると書かれています。
出典:ポチっと雑貨店長「ネットショップの返品特約の書き方、年末商戦前の5手順」
この紙を、Museに渡す資料にします。説明文の下書きが早くなれば、浮いた時間を取引先や卸先への連絡に回せます。
配る相手を決めてから動く話は、こちらの記事にあります。
ノベルティ数百個より、配る相手を決めた1人。名刺1000枚で学んだこと
Museについて気になることは、遠慮なく聞いてください。
ほかのコラムも、あわせてどうぞ
お金の学び(ウハウハ高等学校):ウハウハ高等学校の新着コラム
営業・販路のコラム:コミッターズ コラム
筆者の記事:川口忠大のnote
蓄電池を知る(ENERGY BANK):系統用蓄電池の低圧・高圧比較|法人が費用と接続条件で選ぶ方法
導入先を比べる:系統用蓄電池メーカー比較|法人が製品・導入支援・保守を同じ条件で見る方法
お金の面を読む:系統用蓄電池の充電コストを読む|調達契約と託送料金
情報サイトのトップ:ENERGY BANK(系統用蓄電池の情報サイト)
運営元:コミッターズ
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参考(外部サイト):about.fb.com、www.itmedia.co.jp、www.watch.impress.co.jp、消費者庁、消費者庁(2)、消費者庁(3)
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
会社の現場の工夫や取り組みは、みんなの企業新聞の記事「経営者マッチングアプリとは|できることと限界」でも紹介しています。あわせてご覧ください。