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2026.10.19

仕入れた商品は「売れるまで」経費にならない。売れ残り在庫のホントのルール

#仕入れ#商材・仕入れ#在庫#売上原価#棚卸し
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商品を100万円分仕入れた。「100万円使ったから、100万円が経費でしょ?」。実は、仕入れたお金が、そのまま経費になるわけではありません。商品を扱う会社が、最初にぶつかる壁です。

先に結論:経費になるのは「売れた分の原価」

数字で見る:お米を仕入れた場合

お米を1,000円×100袋、合計10万円で仕入れました。期末までに60袋が売れて、40袋が残りました。

つまり、仕入れに10万円使っても、この期の経費になるのは6万円です。残りの4万円は、来期に売れたときに、経費になります。

「売れ残ったから、値下げした/捨てた」はどうなる?

在庫が売れ残って、価値が下がったとき。気持ちとしては「損したから、経費にしたい」ですよね。ところが、在庫の評価損(価値が下がった分を、帳簿上で減らすこと)は、認められる場面が限られています。「売れなさそうだから」だけでは、原則として難しいのが一般的です。

一方で、実際に廃棄した場合は、廃棄した事実があれば、その損失を経費にできます。ただし、「捨てた」と言うだけでは足りません。

記録が残っていれば説明できる
  • 廃棄した日付と数量
  • 廃棄前の写真
  • どの方法で処分したか(業者・自社など)
説明が難しくなる
  • 「捨てました」という口頭の説明だけ
  • 在庫の数が、帳簿と実際で合っていない
  • 廃棄したのか、持ち帰ったのかが不明
  1. 1期末に、実際の在庫の数を数える(棚卸)
  2. 2数量 × 仕入れ単価で、在庫の金額を出す
  3. 3売れ残りで処分したものは、日付・数量・写真を残す
  4. 4帳簿の数字と、実際の数を照らし合わせる
社長が持ち帰った分は?

在庫から、社長が自宅用に持ち出した分は、「会社の売り物を使った」ことになります。農産・水産フロアの記事(売り物を家で食べたら?)も、あわせて読んでみてください。会社の商品を社長が家で使うときの話は、自家消費の記事にあります。

期末の「棚卸し」を、実際にやってみる

  1. 1決算日(または直前)に、売り場と倉庫の商品を数える
  2. 2品目ごとに「数量」と「仕入れの単価」をメモする
  3. 3数量×単価で、期末在庫の金額を出す
  4. 4「期首在庫+当期の仕入れ−期末在庫」で、経費にする額(売上原価)を確認する

式に数字を入れてみましょう。前の期から4万円の在庫を引き継ぎ、今期は20万円を仕入れ、期末に5万円の在庫が残ったとします。

4万円+20万円−5万円=19万円。これが、今期の経費になる売上原価です。仕入れが20万円でも、経費は19万円。残りの5万円は、来期に持ち越す「在庫」です。

在庫の「値段のつけ方」にも種類がある

同じ商品を、100円と110円の2回に分けて仕入れた場合、残った在庫をどちらの単価で数えるかで金額が変わります。評価の方法にはいくつかありますが、届出をしていなければ「最終仕入原価法」(最後に仕入れた単価で数える方法)になるのが一般的です。この例なら、残った在庫はすべて110円で計算します。

方法を変えたいときは、税務署での手続きが必要です。小さな会社では、一度決めたら毎年同じ方法で続けるのが基本です。

数えにくいもの:梱包資材など

ダンボールや袋などの梱包材は、毎年だいたい同じ量を買って使い切るなら、買ったときに経費にして、期末に数えない処理が認められる取り扱いがあります(毎年同じ方法で続けていることが前提です)。ただし、期末に大量に残っているときや、1年分以上をまとめ買いしたときは、別に考える必要があります。

よくある質問

Q. 在庫が少しだけなら、数えなくていい?
A. 決算日に在庫があるなら、金額が小さくても数えて記録しておきましょう。「数えた記録がある」こと自体が、あとで説明するときの強みになります。

Q. 賞味期限が切れて、捨てた分は?
A. 廃棄の日付・数量・理由を書き、できれば写真も残しておくと、損失として説明しやすくなります。

在庫は「何か月分」持っているか、1つの数字で見る

在庫が多すぎるか少なすぎるかは、在庫月数というざっくりした目安で見られます。

何か月分が正解、という決まりはありません(商品の種類や、仕入れの最小ロットによって変わります)。大切なのは、お金が在庫に変わって、しばらく戻ってこないことに気づくことです。在庫は資産ですが、現金ではないので、支払いには使えません。

棚卸しは、決算のときだけでなくてもいい

税金の計算のための棚卸しは、決算期末に行うのが基本です。ただ、月末や四半期末に、売れ筋の数だけでも数えておくと、帳簿とのズレに早く気づけます。数が合わない原因は、たいてい「持ち出し」「破損」「記録漏れ」のどれかです。小さな会社なら、数える作業は10分で終わる量のはず。月末のルーティンにしてみてください。

在庫を見直す、年に1回の習慣

決算の前に、倉庫や棚の在庫を一度すべて数えましょう。数え直すと、「帳簿上はあるのに実物がない」「動かないまま古くなっている商品」が見つかることがあります。

仕入れすぎは、現金を寝かせます

在庫は、お金が商品に姿を変えて棚に眠っている状態です。節税のために買い込むと、手元の現金が減って、資金繰りが苦しくなることもあります。「売れる量だけ仕入れる」が、結局いちばん強い経営です。パソコンなどの買い物の扱いは、少額減価償却資産の記事で整理しています。

まとめ:在庫は「数える」ことから始まる

在庫のルールの基本は、「売れた分だけが経費、残りは資産」。期末に実際の数を数えて、記録を残す。この地味な作業が、経費の正しさを支えます。細かい扱いは、決算のときに顧問の税理士さんと確認しましょう。

※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士などの専門家にご相談ください。

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