年末のギフトカタログをめくります。すると、紙袋にも、文房具にも、葉っぱの絵と「エコ」の文字が並んでいます。取引先に贈るものを選ぶ社長は、つい手が伸びます。「環境にいいなら、これにしておこうか」。けれど、そのマークは、誰が何を確かめたものなのでしょうか。
実は、消費者庁が行ったアンケートには、気になる結果があります。表示の内容の明確性を聞いた設問で、半数を超える(55.1%)一般消費者が、こう答えたのです。何かしら「エコ」なものだと思う、というものでした。つまり、中身が分からなくても、人は「エコ」と書いてあれば、いいものだと読んでしまいます。買う側の目も、案外ゆるいのです。
この記事は、環境省の環境ラベル等データベースにある「環境表示のここを見よう」がもとです。環境マークを見分ける5つのチェックポイントと、ラベルの3つのタイプを整理します。年末ギフトや事務用品を選ぶとき、そのまま使えます。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
環境マークの見方:形ではなく、「誰が」「どのように」証明しているかを見る
環境省のページ「環境表示のここを見よう」には、5つのチェックポイント(環境表示チェックリスト)が載っています。
- 1あいまいな表現に気をつける
- 2何が環境によいのか、環境表示やマークの意味を調べてみる
- 3「作るところ」から「捨てるところ」まで、全体的な影響を考えているか
- 4「誰が」「どのように」証明しているか見てみる
- 5比べる表現「〇〇よりエコ」の根拠をチェックする
さらに、環境省は、この5つを満たしているものは、環境に配慮されている内容や根拠が適切に情報提供されていると考えられる、としています。
環境マークの見方で、買う側がいちばん使いやすいのは、4番目です。同じページには、第三者認証による環境ラベルの説明もあります。ISOなどの国際規格に基づくラベルです。第三者によって表示の根拠などの確認を受けているため、信頼性が確保されていると考えられる、とされています。
また、消費者庁の調査でも、同じ傾向が出ています。令和8年8月20日に公表された環境ラベルの実態調査では、一般消費者1,000名のアンケートで、約6割(62.2%)が、独立した第三者機関の認証と書かれた環境ラベルを、最も信頼できると答えました。一方、供給事業者の表示を最も信頼できるとした人は、9.6%にとどまりました。
環境マークは3タイプ(環境ラベル)。誰が確認しているかが違います
環境省のデータベースによると、環境ラベルは3つのタイプに分かれています。国際標準化機構(ISO)が、規格を定めています。
- 第三者認証による環境ラベル(ISO 14024):第三者の実施機関が運営し、ライフサイクルを考えた基準をつくり、事業者の申請を審査して、マークの使用を認める
- 事業者の自己宣言による環境主張(ISO 14021):製品の環境改善を、事業者が市場に向けて主張する。宣伝広告にも当てはまり、第三者による判断は入らない
- 環境負荷の定量的データの表示(ISO 14025):合格・不合格の判断はせず、数値のデータだけを示す。判断は購入する側に任される
つまり、環境マークには、第三者が審査したもの、会社が自分で言っているもの、数字だけが並んでいるもの、の3種類があります。
なお、環境省は、この3つのタイプに分類されない環境ラベルもあると書いています。また、紹介している各制度が規格に準拠しているかどうかを、環境省が保証するものではない、とも書いています。
別のサイトのちょいエコ部のコラム「会社のグリーン購入、事務用品の選び方と環境ラベルの見方」では、環境ラベルを見たら、「誰が基準をつくって誰が確認しているのかを見る習慣をつけると、選びやすくなります」と書かれています。
出典:ちょいエコ部「会社のグリーン購入、事務用品の選び方と環境ラベルの見方」
第三者認証の例:エコマーク、FSC、SuMPO EPD
環境省の同じページでは、第三者認証の例として、3つが紹介されています。
- エコマーク:公益財団法人日本環境協会が運営する、日本で唯一のISO 14024規格に準拠した環境ラベル。資源採取から廃棄に至る商品のライフサイクル全体を通じ、環境負荷が少ないことが、客観的な基準に基づいて審査・認証される
- FSCマーク:国際的なNPOであるFSC(森林管理協議会)が運営する制度。適切な森林管理を認証する「FM認証」と、認証された木材が加工・流通の過程でも適切に管理されていることを証明する「CoC認証」の2つで構成される
- SuMPO EPD:一般社団法人サステナブル経営推進機構が運営する、ISO 14025準拠の環境情報開示プログラム。LCAの手法でカーボンフットプリントなどの環境影響を数字にし、第三者の検証を経て公開される
ただし、3つとも「何を認めているか」が違います。まず、エコマークは、商品のライフサイクル全体での環境負荷を見る認証です。次に、FSCは、木材の森林管理と流通を見る認証です。最後に、SuMPO EPDは、先ほどの3タイプでいえば数値を開示するタイプで、合否を決めるものではありません。
たとえば、取引先に贈る木製の小物にFSCのマークがあれば、それは「森林管理と流通の管理」を認めたものです。「この商品は全部が環境にいい」という意味ではない点に注意してください。環境マークの名前を覚えるより、「このマークは、何を、誰が認めているのか」を一度調べるほうが役に立ちます。
環境マークの仮の例:年末ギフトの包装と事務用品を選ぶ手順
たとえば、従業員が数人の会社が、取引先へのギフトの包装と、来年用の事務用品をカタログから選んでいるとします(仮の例)。カタログには、次の3つの表示があったとします。
- 「エコな紙袋」とだけ書かれた紙袋
- 「再生プラスチック使用」と書かれたファイル
- 「エコマーク認定」と書かれたノート
5つのチェックポイントに当てはめる
5つのチェックポイントに当てはめると、こうなります。
- 1「エコな紙袋」は、何がエコなのかが分かりません。販売元に「何がどう環境によいのか」を聞きます
- 2「再生プラスチック使用」は、使用割合と、本体なのか包装なのかを確認します。割合が書かれていなければ、問い合わせます
- 3「エコマーク認定」は、エコマークの公式の商品検索で、認定を受けた商品かどうかを調べます
- 4「〇〇よりエコ」のような比べる表現があれば、何と比べているのかを見ます
- 5迷ったら、環境省の「環境表示チェックツール」を使います。なお、環境省によると、最大4ステップで、表示が適切かどうかを簡易的に自己確認できます
注意したい環境ラベルの4つ
消費者庁は、消費者に向けて、注意したい環境ラベルを4つ挙げています。
- 環境配慮の対象(商品本体か、包装などか)が明確でないもの
- 環境に配慮されている割合や率が明確でないもの
- 環境配慮の効果の裏付けがあるか、第三者認証ラベルであるかが疑わしいもの
- 訴求する環境配慮の内容が明確でないもの
つまり、この4つは、先ほどの紙袋とファイルの例に、そのまま当てはまります。調査には、環境ラベル139種類の数字があります。そのうち、説明が併記されていないなど、環境配慮の内容が外形上明確でないものが、59種類みられたと報告されています。カタログの中に、あいまいな表示は珍しくありません。
ただし:マークがなくても悪いとは限らず、マークがあっても万能ではありません
例外というより、見落としやすい点が3つあります。
1つ目は、環境マークがない商品を、それだけで除外しないことです。環境省は、環境ラベル等の表示が義務付けられているものばかりではない、と書いています。そのため、表示がないからといって、環境負荷の低減に資さない物品・サービスだと決まるわけではありません。そのため、マークがなくても、販売元に確認して、基準を満たしていると分かれば、選んでよいわけです。
第三者認証にも中身の差がある
2つ目は、第三者認証にも、中身の差があり得ることです。消費者庁の調査のヒアリングでは、ある事業者の発言が報告されています。比較的容易に基準をクリアできる第三者認証ラベルだけを取得している、というものです。つまり、「第三者認証」と書いてあれば安心、とは限りません。何を基準にしているのかまで、見ておきたいところです。
グリーン購入法適合の表示
3つ目は、「グリーン購入法適合」の表示です。環境省によると、グリーン購入法には、国による認証制度や適合マークはありません。また、表示の方法は、事業者が自分で宣言する方法と、エコマークなどの第三者認証を使う方法があります。ただし、同じ「適合」の言葉でも、確認の仕方が違うことがあります。
そして、環境省は、環境ラベル等によって提供される情報の内容を、環境省が保証するものではない、とも書いています。最終的には、購入する側が、供給者に個別に確認する、という順番です。
環境マーク、今日からの一歩:毎月買っているもの一つの意味を調べる
いきなり全部を見直す必要はありません。コピー用紙でもファイルでも、毎月買っているものを一つ選びます。パッケージの環境マークの名前を、そのままネットで検索してみてください。具体的には、運営団体は誰か、何を認めているのか、第三者の認証か。この3点が分かれば、次の発注は、ぐっと選びやすくなります。
また、買う側の目を持つと、書く側の目も変わります。自社の提案書やチラシに「環境にやさしい」と書いていないか、という点検です。書く側の注意点は、こちらの記事にまとめています。
「環境にやさしい」と書く前に。営業文面を守る3つの確認【保存版】
営業でも同じです。「うちの商品はいいものです」と言うより、「誰が、どうやって確かめたか」まで話せる会社のほうが、聞く側は安心します。このように、ギフトのカタログを選ぶ目は、取引先に選ばれる目にもなります。
なお、SDGsコーナー全体の歩き方は、こちらにまとめています。
「SDGsコーナー」の歩き方。SDGsで事業がどう変わるかと、事業に合う取り組みの選び方
ほかのコラムも、あわせてどうぞ
お金の学び(ウハウハ高等学校):家の屋根の太陽光は、電気をいくらで売れる?2026年度の住宅用の買取価格
営業・販路のコラム:コミッターズ コラム
筆者の記事:川口忠大のnote
蓄電池を知る(ENERGY BANK):系統用蓄電池メーカー比較|法人が製品・導入支援・保守を同じ条件で見る方法
導入先を比べる:系統用蓄電池の低圧・高圧比較|法人が費用と接続条件で選ぶ方法
お金の面を読む:系統用蓄電池の充電コストを読む|調達契約と託送料金
情報サイトのトップ:ENERGY BANK(系統用蓄電池の情報サイト)
運営元:コミッターズ
令和の総合商社では、有形無形問わずに大手商社が行わないマーケティングで貴社の販路を開拓します。本気で販路を拡大したい方には60分間無料で相談に乗らせていただきます。
参考(外部サイト):環境省、環境省(2)、環境省(3)、環境省(4)、環境省(5)、消費者庁
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
新規事業の始め方で迷ったら、無料の診断から
社会にいい取り組みを事業にするには、始め方の型選びが大切です。無料の「新規事業診断」で、自分のタイプに合う始め方を確認できます。
会社の現場の工夫や取り組みは、みんなの企業新聞の記事「商談の質を上げる方法」でも紹介しています。あわせてご覧ください。