SDGsに取り組んでいますと営業資料に書いたのに、取引先の反応が薄いことはありませんか。
原因は取り組みの少なさではなく、書き方が大きすぎることにあるかもしれません。
この記事では、言い過ぎを防ぐ3つの確認と、そのまま使える言い換え例をお渡しします。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
「環境にやさしい」が営業で危なくなる理由
営業資料やホームページに「環境にやさしい」「地球に優しい」と書くのは、気持ちとしては自然です。ただ、商品やサービスの効果や性能を、実際より優れているように見せる表示は、景品表示法の優良誤認表示にあたるおそれがあります。
消費者庁の資料では、優良誤認表示の疑いがあるとき、事業者は表示の根拠となる資料の提出を求められると説明されています。提出の期限は、求める文書を受け取った日から15日を経過するまでです。根拠を出せなければ、その表示は不当表示とみなされます。
つまり、「やさしい」と書いた時点で、裏付けをすぐ出せる状態にしておく責任が生まれます。対策はむずかしくありません。営業資料に使っている「環境」「安心」「エコ」の言葉ごとに、根拠のファイルを1つずつ作り、同じフォルダにまとめておきます。担当者が替わっても、そのフォルダを見れば答えられる状態にしておくのがコツです。SDGsウォッシュと景品表示法の関係は、令和の総合商社の次の記事で扱っています。根拠のない表示は景品表示法に引っかかるおそれがある、という整理です。
「環境にやさしい」と書く前に。SDGsウォッシュと景品表示法の、ゆるくて怖い関係

書く前の3つの確認
営業文面にSDGsの話を入れる前に、次の3つを自分に聞いてください。
- 1根拠はあるでしょうか。試験結果、仕入れ伝票、第三者の見解など、表示を支える資料が手元にあるかを見ます。消費者庁の資料では、根拠は客観的に実証された内容であること、そして表示した効果や性能と資料の内容が対応していることが求められるとされています。
- 2範囲を絞りましたか。商品全体の話なのか、一部の話なのかを分けます。包装だけ紙に変えたのなら、「包装を紙にしました」と書きます。「全部」「すべて」と書きたくなったら、本当に全部かを一度数えてみてください。
- 3比べる相手を言えますか。「従来より」と書くなら、どの従来品のことか、その場で説明できる状態にします。比べる相手が曖昧な文は、聞き返されたときに止まってしまいます。

言い過ぎを言い換える5つの例
動詞と数字と日付で書くと、言い過ぎはほとんど消えます。以下は型の例です。数字は自社の記録で言える範囲だけ入れてください。
- 「環境にやさしい商品です」を、「包装を○○から紙に変えました。使用量は△△から□□に減りました」に書き換えます。
- 「地球を守る会社です」を、「事務所の電気を、○年○月から再生可能エネルギー由来のプランに切り替えました」に書き換えます。
- 「SDGsに完全対応」を、「働き方の分野に絞り、残業時間の月平均を記録して社内で共有しています」に書き換えます。
- 「安心安全の素材だけを使用」を、「○○と△△の素材を使用しています。検査の結果は資料でお見せできます」に書き換えます。
- 「業界トップのエコ企業」は、比べた根拠を示せないなら、書かないと決めます。
言い換えると、派手さは減ります。その代わり、商談の場で「それはどういうことですか」と聞かれても、資料を出して答えられます。営業で強いのは、聞き返されても崩れない一文です。社内では、資料を外に出す前に「この文の根拠はどのファイルですか」と一言聞き合うルールをつくると、書き手も読み手も楽になります。
SDGsロゴを使うときの線引き
営業資料にロゴを貼りたくなる場面も多いはずです。国連広報センターに掲載されている国連のFAQには、次のように整理されています。
- 営利団体が、プレゼンテーション、社内報、非財務報告や年次報告など、主に自社のSDGs関連の活動を示す用途で使う場合は、許可は不要です。ただしガイドラインに従うことが前提です。
- 資金調達や商業用途で使う場合、印刷出版物に使う場合、参加料が発生するセミナーの案内に使う場合などは、書面による事前の許可が必要です。
- 許可の有無にかかわらず、特定の製品やサービスに対する国連の支持を示唆する使い方は禁止です。国連以外の者が、自社のロゴの一部に組み込むことも認められていません。
商品の販売促進の場面は、「商業用途」や「支持の示唆」に近づきやすいところです。貼る前にガイドラインを読む習慣をつけてください。許可が必要な場合と不要な場合の線引きは、令和の総合商社の次の記事でも読めます。
会社のサイトにSDGsのカラフルなロゴ、貼っていい?「許可なしでOK」と「許可が必要」の線引き
営業は「実物」で見せる
野村證券の宮崎支店で新人だったころ、私は毎日、手紙を3〜5枚書いていました。朝いちばんに、上司に実物を見せる決まりでした。件数はごまかせても、手紙はごまかせません。
表示も同じです。記録、数字、日付という実物で見せられることだけが、営業の強さになります。商談で言い切れない部分が出たら、次のように言ってみてください。
- 「正確には、ここまでが確認できている内容です」
- 「根拠の資料はこちらです。必要でしたらお渡しします」
- 「この点は、まだ取り組み始めたところです。進み具合は来期にお知らせします」
自社で言い切るのが難しいときは、第三者の言葉を借りる方法もあります。社会によいことをしている会社の取り組みを、取材して記事にするメディアがあり、社名とロゴの掲載は無料の入口が用意されています。取材記事は個別の見積もりになります。自社の取り組みを記事にしてみたい方は、コミッターズの無料相談でお話しできます。
今日やる3つのこと
- 1営業資料とホームページから、「やさしい」「守る」「完全」「トップ」の言葉を探します。
- 2見つけた文を、3つの確認にかけて、動詞と数字と日付に書き直します。
- 3ロゴを貼っている場所を洗い出し、ガイドラインと照らします。名刺、パンフレット、商品ページ、展示会のパネルまで、紙とウェブの両方を見てください。

この3つは、1時間あれば一巡できます。直すのは、全部を一度にではなく、いちばん商談で使う資料からで十分です。商談で一番よく開く1枚を直すと、営業担当の話し方まで変わります。
営業の才能や学歴やコネがなくても、書き方の設計だけで信頼は変えられます。SDGsの記事は、令和の総合商社のSDGsコーナーにまとまっています。経営の土台を整える読み物として、手元に置いてください。
表示の適否など個別の判断は、税理士・社会保険労務士など専門家へ。景品表示法の判断は弁護士などにも相談できます。
コミッターズは、代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社です。本気で販路を作りたい経営者の方には、60分の無料相談で設計図をお出しします。
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。