現場の片付けで、隅に残材がたまります。木の端材、コンクリートの破片、養生シートの切れ端です。産業廃棄物の分け方が分からないまま、全部を同じ山にしていませんか。その山は、あとで困る山です。
まず、廃棄物処理法の考え方は、シンプルです。法令で定める20種類に当たる事業のごみが、産業廃棄物です。一方で、それ以外のごみは、一般廃棄物として扱われます。つまり、出た場所ではなく、種類で分ける考え方です。
この記事では、建設の現場で出る残材・廃材の分け方を整理します。さらに、処分を頼むときのマニフェストの基本も書きます。小さな工務店の社長が、現場で判断できる形にまとめました。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
産業廃棄物の分け方、先に結論
結論から言うと、分け方は、種類から入ります。まず、現場の残材は、産業廃棄物になるものが多いです。次に、事務所のごみには、事業系一般廃棄物になるものもあります。そのため、現場と事務所を分けて考えることが大切です。
また、処分の責任の置き場所も決まっています。建設工事では、元請業者が排出事業者になると、東京都環境局の資料に書かれています。つまり、下請けに任せたから終わり、とはなりません。
なお、弁当がらなどの扱いは、自治体で違う場合があります。具体的な扱いは、現場のある自治体に確認する形が安全です。
建設の残材・廃材は、なぜ産業廃棄物が多い?
まず、根拠は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第2条です。この条文で、産業廃棄物の範囲が決まります。次に、東京都環境局の資料では、産業廃棄物は、法令で定める20種類と説明されています。
さらに、種類の中には、業種で線が引かれるものがあります。たとえば、木くずと紙くずと繊維くずは、建設業に係るものが産業廃棄物に入ります。一方で、廃プラスチック類や金属くずは、幅広い事業活動で産業廃棄物に入ります。
産業廃棄物の分け方を間違えると、頼める業者も変わります。そのため、同じ木でも、出どころで扱いが変わります。工事で出た木の端材は、木くずとして扱います。一方、事務所の木製家具は、事業系一般廃棄物の例に挙がります。つまり、材質だけでは決まらない点が、ややこしい点です。
土は、廃棄物とは別の扱いです
ここで、土の話を分けておきます。国土交通省の説明では、建設発生土は、廃棄物処理法に規定する廃棄物には該当しません。一方で、建設工事で出る建設汚泥は、産業廃棄物に該当します。
つまり、見た目が似ていても、扱いは分かれます。残土のつもりで泥を出す前に、種類の確認が要ります。特に、泥状のものは、現場で一度立ち止まる対象です。
産業廃棄物の分け方、現場では種類で分ける
では、現場の残材を、種類に当てはめます。まず、コンクリート破片やレンガ破片は、がれき類です。次に、工事の木材の端材は、木くずです。さらに、石膏ボードは、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずの例に挙がります。
また、金属の切れ端は、金属くずです。そして、養生シートなどの合成樹脂は、廃プラスチック類です。このように、材質と出どころで、名前が決まります。
種類を見る
置き場を分ける
契約を見る
票を渡す
まず、置き場を種類ごとに分けます。看板やシートで、置く場所を示します。次に、混ざった山は、作らないようにします。混ざると、あとの分別にも、処分の手間にも響きます。
たとえば、従業員が数人の工務店のリフォーム現場を考えます。これは仮の例です。解体で出た木材と、新しい材料の端材と、養生シートが出ました。この場合、木材は木くず、シートは廃プラスチック類に分けます。
さらに、出す前に、量もメモします。どの種類が、どれくらい出たかを残します。そうすると、処分を頼むときの話が早くなります。
分け方の記録は、一枚に残します
なお、産業廃棄物の分け方は、記録に残すと定着します。現場ごとに、種類と、量と、頼んだ業者を、一枚に書く形です。たとえば、月末にその一枚を見ると、どの種類が多い現場かが分かります。
また、記録があると、新しく入った人にも分け方を伝えられます。口頭だけの決め事は、現場が変わると消えやすいものです。そのため、一枚の記録が、分け方の教材にもなります。
マニフェストは、渡して終わりではない
次に、処分の頼み方です。産業廃棄物の運搬や処分を他人に頼むときは、マニフェストを使います。マニフェストは、排出事業者が処理業者に交付する票です。東京都環境局の資料では、引渡しと同時に、種類や数量などを記載して交付すると説明されています。
また、仕事は、票を渡して終わりではありません。運搬や処分が終わると、写しが戻ってきます。そのため、戻ってきた写しで、頼んだとおりに処理されたかを確認します。さらに、交付した票や戻った写しは、5年間の保存が求められます。
なお、頼む相手も選ぶ必要があります。収集運搬と処分は、それぞれ許可を持つ業者に頼みます。一方で、許可の範囲に入らない種類は、その業者には頼めません。そのため、契約の前に、許可証で事業の範囲を見ます。契約は、書面で交わす形です。
建設工事では、元請が排出事業者です
ここで、建設ならではの点があります。廃棄物処理法第21条の3では、建設工事の場合、元請業者が排出事業者になるとされています。東京都環境局の資料も、同じ点を挙げています。
つまり、小さな工務店が元請の工事では、自社が責任を持つ形です。下請けの現場から出た廃材も、元請として扱いを見ます。反対に、自社が下請けの工事では、元請との取り決めを先に確認します。
産業廃棄物の分け方で迷ったときは?
迷ったときの聞き先は、3つです。まず、現場のある自治体の窓口です。次に、処分を頼む許可業者です。さらに、契約の前なら、元請や発注者との取り決めの確認です。
特に、古い建物の解体では、注意が要ります。石綿を含む疑いのある建材は、ほかの廃材と混ぜません。触る前に、自治体や専門の業者に確認する形が安全です。
別のサイトのちょいエコ部のコラム「会社がSDGsに取り組む最初の手順」では、「取り組む前に電気使用量や社員へのアンケートなどを記録しておくと、あとで結果を比べやすくなります」と書かれています。
この考え方は、廃棄物でも使えます。種類と量を記録しておくと、次の現場の見積りにも、処分の段取りにも役立ちます。
今日からできる最初の一歩
今日できるのは、現場の置き場に、種類の名前を貼ることです。まず、がれき類、木くず、廃プラスチック類、金属くずの4つの場所を作ります。次に、出たものを、その場で分けます。
また、記録と票がそろうと、施主への報告も短くなります。どの廃材を、どの業者に渡したかを、そのまま伝える形です。
さらに、営業の目で見ると、片付けの段取りは、施主への説明にもなります。そのため、分けて、記録して、票で確認する会社は、安心して任せやすい会社です。ほかのテーマは、コーナーの歩き方にまとめています。
「SDGsコーナー」の歩き方。SDGsで事業がどう変わるかと、事業に合う取り組みの選び方
個別の廃棄物の扱いは、現場のある自治体や、許可を持つ処理業者にご確認ください。
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参考(外部サイト):自治体、自治体(2)、国土交通省、環境省
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

