現場の仕事納めの日に開く忘年会は、乾杯の勢いのまま料理が進みます。ところが、お開きが近づくと、大皿の料理がまとまって残ります。食べ残しの持ち帰りは、この場面で幹事が迷う扱いです。頼めばいつでも包んでもらえる、という話ではありません。
実は、持ち帰りの扱いは、国が整理したばかりのテーマです。消費者庁と厚生労働省は、2024年12月に食べ残し持ち帰り促進ガイドラインを策定しました。考え方の中心は、店と客の双方の合意と、持ち帰った先の管理は客の側が担うという線引きです。
この記事では、食べ残しの持ち帰りを、店との合意の取り方と、向く料理の見分け方と、持ち帰った先での扱いに分けて整理します。なお、環境省の手引き(令和8年4月版)と、消費者庁の案内にそって書きます。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
食べ残しの持ち帰り、先に結論
まず、結論です。食べ残しの持ち帰りは、食べきる工夫をした上での、最後の受け皿です。持ち帰れるかどうかは、店との合意で決まります。さらに、持ち帰った先の保存と食べ方は、持ち帰る人の自己責任です。
- はじめに、食べきれる量を頼み、3010運動で食べきりを呼びかけます
- 次に、残った料理は、店に相談してから持ち帰りの扱いを決めます
- 最後に、持ち帰った料理は、置き場所と食べる速さに気をつけて扱います
3010運動は、乾杯後30分は席で料理を楽しみ、お開き10分前にもう一度席で料理を楽しむ呼びかけです。つまり、順番は、食べきりが先で、持ち帰りはそのあとです。
また、消費者庁は、令和7年12月から令和8年1月まで、食べきりの全国共同キャンペーンを行うと案内しています。年末の宴会が増える時期に合わせた呼びかけです。そのため、今年の忘年会は、店選びの段階から食べきりを意識する季節になっています。
幹事のひと言は短く置きます
幹事のひと言は、乾杯の前に短く置きます。たとえば、次のような言い方です。
「初めのうちは席で料理を楽しみましょう。残った料理は、帰りに店へ相談してから扱いを決めます」
長い説明は要りません。言い方を短くしておくと、取引先を招く席でも角が立ちません。なお、食べられない物がある人へ、無理に勧める場面にはしません。
食べ残しの持ち帰りは、店との合意から始まります
では、合意の中身を見ます。ガイドラインの概要では、店の側は、衛生面の注意事項を説明し、清潔な容器や器具を提供することが示されています。一方で、客の側は、持ち帰る際と持ち帰った後の食品の管理の責任は、基本的に消費者にあることを理解するよう求められています。
つまり、食べ残しの持ち帰りは、店の好意だけでも、客の希望だけでも成り立ちません。店が対象の料理と注意を伝え、客が扱い方を引き受ける、この組み合わせが合意です。なお、合意の形は店ごとに違います。案内の紙を渡す店もあれば、口頭で伝える店もあります。
店選びの目印はモッテコの表示です
次に、店選びです。飲食店での食べ残しを自己責任の範囲で持ち帰る行為は、モッテコと呼ばれています。環境省の手引きでは、取り組む店はロゴを店頭などに掲示することがある、と案内されています。そのため、予約の前に、店の入り口や案内のページで表示を見ることが目印になります。
さらに、予約の電話では、持ち帰りができるかだけを聞かないことが大切です。対象になる料理の範囲と、容器の用意があるかも一緒に聞きます。たとえば、建設会社の忘年会では、取引先を招く席もあります。合意の取り方が決まっている店なら、当日に席で慌てません。
なお、環境省の手引きでは、モッテコで実際に持ち帰られる食べ残しは、250gが目安の量として紹介されています。大きな宴会でも、持ち帰りで動く量はこのくらいです。つまり、持ち帰りは、注文の頼みすぎを帳消しにする仕組みではありません。
現場の忘年会で残りやすい場面
たとえば、建設会社の忘年会を思い浮かべます。これは仮の例です。現場から直行する人が多く、昼にしっかり食べた人と、ほとんど食べていない人が同じ席に着きます。食べる量の差が大きい席ほど、コースの量は誰かに寄せて決めるしかありません。
残りやすいのは、後半に出る揚げ物と、締めのご飯物です。前半は乾杯とあいさつで手が止まり、後半は話が弾んで箸が止まります。そのため、幹事は、後半の料理が出る前に、量の追加をいったん止める役を引き受けます。
さらに、席の工夫も効きます。大皿は、近い人同士で取り分ける役を決めておきます。取り分けの役が決まっている席では、皿の残り具合が目に入ります。一方で、誰も触らない皿は、最後まで誰の目にも止まりません。締めの料理は、席の様子を見てから店へ伝える形にします。先に全部を頼み切らないことが、残りを小さくする段取りです。
食べ残しの持ち帰りに向く料理と向かない料理
次に、料理の見分け方です。ガイドラインの概要では、持ち帰りに適するかどうかは、十分に加熱されていることなどをもとに、店が判断すると示されています。判断は店の側にあります。客の側で、これは大丈夫だと決める場面ではありません。
一方で、向く料理でも、扱いを誤ると食べられなくなります。向かない料理は、店が応じないことも含めて、持ち帰りの対象から外します。つまり、見分け方の主役は店であり、幹事の仕事は、店の判断を席に伝えることです。
持ち帰った先での扱い方です
では、持ち帰った先です。ガイドラインの概要では、温度が高いところに置かないこと、速やかに食べること、異臭などを感じた場合は食べないことが示されています。冬の忘年会でも、暖房の効いた部屋に置きっぱなしにする扱いは避けます。
また、二次会へ持ち込む扱いも避けます。置く時間が読めない場所では、衛生の線引きが崩れます。さらに、現場事務所や詰所へ持ち帰る場合は、その日のうちに冷蔵庫へ入れ、翌日へ回さない段取りにします。
なお、食べるときは、中心部まで十分に加熱します。少しでも怪しいと感じたら、食べない判断を先に置きます。つまり、持ち帰った先での扱いは、もったいない気持ちより、衛生の物差しを優先する場面です。
食べ残しの持ち帰り、今日からできる最初の一歩
まず、今年の忘年会の店に、予約の電話で聞くことを足します。持ち帰りができるか、対象の料理は何か、容器の用意があるか、の聞き方です。次に、当日の案内に、食べきりの呼びかけを短く入れます。
別のサイトのちょいエコ部のコラム「事業系食品ロスは増えた?2024年度の推計を5つの質問で読む」では、自社で確かめることとして「1週間か1か月、捨てた量と理由を記録する」ことが挙げられています。
出典:ちょいエコ部「事業系食品ロスは増えた?2024年度の推計を5つの質問で読む」
この記録の考え方は、忘年会でも同じです。残った料理の種類と、持ち帰ったかどうかを、日付つきで短く残します。国の目標では、事業系の食品ロスを2030年度までに60%減らすことが置かれています。小さな会社の記録は、その目標へ向けた足元の材料になります。
ただし、やったこと以上の言い方はしません。減らした量を測っていないのに、減らしたと書く盛り方は避けます。盛った書き方の注意は、こちらの記事にあります。
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運営元:コミッターズ
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