通販を始めて半年。商品をポリ袋に入れて、緩衝材で包んで、段ボールに詰めて送る毎日です。ある日、商工会議所のセミナー資料に「容器包装リサイクル法」の文字を見つけて、手が止まりました。うちも、リサイクルの費用を払う側なのでしょうか。
意外なのは、容器包装リサイクル法が大手メーカーだけのものではないところです。つまり、商品を袋や箱に入れて売る事業者は、広く対象になりえます。ただし、商業・サービス業が中心の会社なら、従業員が5人以下で、しかも年間売上が7,000万円以下のとき、リサイクルの義務から外れます。条件は「または」ではなく「かつ」です。
この記事では、その線引きを2026年10月時点の条文にそって整理します。仮の通販3社を線に当てはめて、段ボールの扱いと、対象になったときの動き方まで書きました。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
容器包装リサイクル法の先に結論:従業員「5人以下」かつ売上「7,000万円以下」なら、義務はありません
対象の法律は、正式には「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」です。ここでは容器包装リサイクル法と呼びます。
この法律で事業者に求められるのは、使った容器包装の量に応じて、再商品化、つまりリサイクルをすることです。自分でやる方法のほか、国が指定した法人と契約して、その法人に任せる方法があります(法律の第14条)。
まず、免除の線は、施行令で決まっています。
- 商業・サービス業が主な事業の場合:常時使用する従業員が5人以下、かつ年間売上が7,000万円以下
- それ以外(製造業など)の場合:従業員が20人以下、かつ年間売上が2億4,000万円以下
つまり、両方の条件を満たしたときだけ、義務の対象から外れます。どちらか一方でも超えれば、対象です。
ここでいう売上は、通販の売上だけではありません。その会社がしているすべての事業の売上の合計です(施行令第3条)。
容器包装リサイクル法の仮の例:通販3社を線に当てはめる
ここからは仮の話です。実在の会社ではありません。雑貨を仕入れて売る通販の会社を3つ並べます。主な事業は商業なので、線は「5人・7,000万円」です。
- 11社目:従業員3人、年間売上5,000万円。どちらも基準以内なので、義務はありません
- 22社目:従業員4人、年間売上9,000万円。従業員は基準以内でも、売上が7,000万円を超えているので、対象です
- 33社目:従業員7人、年間売上5,000万円。売上は基準以内でも、従業員が5人を超えているので、対象です
特に、2社目は、「小さな会社だから大丈夫」と思いやすい形です。人数が少なくても、売上が伸びれば線をまたぎます。
では、売上の合計は、こんな具合に数えます。仮に、通販が4,000万円、通販とは別の制作の仕事が4,000万円なら、合計は8,000万円です。通販だけを見て「7,000万円以下だ」と判断すると、ずれます。
条文は、事業年度ごとの売上高で見る書き方になっています。売上が伸びた年は、線をまたぐ可能性があります。どの年度の数字で判断するかなど、細かい扱いは、後で書く窓口に確認してください。
どの梱包材が容器包装リサイクル法の対象?段ボールは別あつかい
対象になる容器包装は、商品が使われたり、商品から取り外されたりしたら、不要になるものです(法律の第2条)。そのため、通販の梱包材は、これにあたるものが多いです。
リサイクルの義務の対象は、施行規則で次の4つの区分に分かれています。
- ガラス製の容器
- 紙製の容器包装(段ボール製と飲料用の紙パックなどは除く)
- ペットボトル(飲料やしょうゆなどを入れるもの)
- プラスチック製の容器包装
通販の梱包材にあてはめると
通販で使う物にあてはめると、たとえば次のとおりです。
- 商品を入れるポリ袋、気泡入りの緩衝材:プラスチック製の包装
- 商品の紙箱、紙の包装紙、紙袋:紙製の容器包装
- 配送用の段ボール箱:義務の区分には入りません
一方、段ボールは、4つの区分に入っていません。経済産業省のページには、段ボールなどは容器包装廃棄物に含まれるものの、市町村が分別収集した時点で有価物になるため、リサイクル義務の対象外、と説明されています。
素材が混ざっている物は、施行規則の書き方が「主として紙製」「主としてプラスチック製」です。何でできているかが多いほうで見ます。なお、迷う物は、窓口に聞くのが近道です。
対象になったら:手順と、やらなかったときの流れ
自社が対象だとわかったら、動きは次の順番です。
- 1従業員数と、事業年度の売上高の合計を確認する
- 2使った容器包装の量を、紙製とプラスチック製などの種類ごとに集める(経済産業省のページには、委託料は前年度の量をもとに算出すると書かれています)
- 3再商品化の方法を決める。自分でやる、または国が指定した法人(日本容器包装リサイクル協会)に委託して料金を払う
- 4帳簿をつけて、保存する。紙製(段ボールを除く)やプラスチック製の包装を使う事業者は、帳簿を1年ごとに閉鎖して、閉鎖後5年間の保存が必要です(施行規則)
窓口は、全国の商工会議所・商工会、指定法人、経済産業省と案内されています。
容器包装リサイクル法をやらなかったときの流れ
やらなかった場合も、いきなり罰金ではありません。法律の流れは、次のとおりです。
- 1正当な理由なく再商品化をしない特定事業者に、国が「やりなさい」と勧告する(第20条)
- 2勧告に従わなければ、その旨を公表することができる
- 3それでも従わなければ、命令することができる
- 4命令に違反したら、100万円以下の罰金(第46条)
つまり、罰金の前に、勧告と公表と命令があります。ただ、公表されると、取引先の目に触れるおそれがあります。営業の信用に関わる点は、頭に入れておきたいところです。
例外と迷いやすい点
ただし、例外と迷いやすい点があります。
- 条文は変わることがあります。この記事は、2026年10月時点で確認できる法律・施行令・施行規則にもとづきます
- 日本から輸出する商品に使う容器包装は、条文上、義務の対象から除かれています(第11条・第13条)。海外向けの発送が多い会社は、国内向けの分と分けて数えます
- 梱包を他社に作ってもらう場合は、素材や構造、自社の商標の使用などを実質的に指示した事業者が、原則として義務者になるとされています(滋賀県の解説)
- リサイクルマークなどの識別表示は、別の法律(資源有効利用促進法)のルールです。滋賀県の解説では、識別表示は小規模事業者にも義務があるとされています。対象の範囲や例外があるので、迷ったら窓口に聞きます
- 従業員の数え方(パート・アルバイト・役員をどう扱うか)と、売上の税込・税抜は、この記事では確認できていません。迷う場合は、窓口に聞きます
義務がなくても、梱包の見直しは「努める」ことになっています
容器包装リサイクル法の免除の会社も、まったく関係がないわけではありません。法律の第4条は、事業者と消費者に、容器包装の過剰な使用を抑えるなどして、容器包装廃棄物の排出を抑えるよう努めなければならない、と書いています。ただし、「努める」という書き方で、守るべき水準の数字は決められていません。
SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に近い取り組みです。義務の有無にかかわらず、まず数えて、見直せるところから手をつけます。
では、見直しのチェックリストは、次の5つです。
- 商品に対して大きすぎる箱を使っていないか
- ポリ袋を二重にしていないか
- 緩衝材は、割れ物とそうでない物で、使い分けられないか
- 1か月の発送件数と、使った梱包材の数を記録しているか
- 納品先のお店から「簡易包装でよい」と言われている商品はないか
見直した結果を、サイトや見積書で「環境にやさしい梱包です」と書く場合は、根拠を確認してからにします。書き方の注意は、こちらの記事に整理しています。
「環境にやさしい」と書く前に。営業文面を守る3つの確認【保存版】
今日からできる最初の一歩
そのため、3つだけ、やってみてください。
- 1従業員数と、直近の事業年度の全事業の売上高を、紙に書く。線との距離がわかります
- 2梱包材の購入履歴(袋、緩衝材、紙箱、段ボール)を1年分集める。まずは数量だけで十分です
- 3線に近い、または超えている場合は、商工会議所か商工会に聞く
実は、売上が線に近づくのは、営業が効いている証拠です。義務が増える前に、発送1件あたりの梱包の手間と費用を数えておきます。次に値付けや送料を決めるとき、そのまま材料になります。営業の数字と同じで、梱包も数えた会社から強くなります。
対象になるかどうかの最終判断は、窓口や、顧問の専門家にご確認ください。
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情報サイトのトップ:ENERGY BANK(系統用蓄電池の情報サイト)
運営元:コミッターズ
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参考(外部サイト):e-Gov法令検索、e-Gov法令検索(2)、e-Gov法令検索(3)、経済産業省、経済産業省(2)、自治体
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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