お店のホームページにAIのアバターが出てきて、予約や質問に答えてくれる、そんな場面を、社長なら一度は想像します。そのため、Museのアバター接客にも、期待が集まっています。
ただし、Metaが発表したアバターは、お店の受付係ではありません。実は、使う人が自分のMuseに、顔と声を付ける機能として紹介されています。
この記事では、Museのアバター接客について、発表で分かる3つと、まだ分からない3つを分けます。さらに、サービス業の小さな会社が、いま決められる線引きを整理します。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
Museのアバター接客、先に結論
- まず、Metaの開発者会議(TechCrunchの報道)で、Museのエージェントに顔・体・声を付けて動画チャットする機能が発表されました
- 次に、その機能を動かすモデルは「Muse Realtime Avatar」で、Metaの日本語の発表には「英語のみ」と添えられています
- さらに、日本での提供状況は、Metaが「別途ご案内します」としています
- ただし、事業者が接客に使えるかどうかは、筆者が読んだ2つのページに書かれていません
- つまり、いまできるのは導入ではなく、接客の線引きを先に決めておくことです
なお、「筆者の考え」と書いた部分は、公式の説明ではありません。ご自身の会社に当てはめるときの、たたき台として読んでください。
Museのアバターは、お店の受付係になる?
まず、報道を確認します。TechCrunchの記事によると、Museの利用者は、自分のエージェント用に別のデジタルアバターを作り、リアルタイムで動画チャットできるようになります。エージェントに顔、体、声が付き、会話しながら頼みごとや質問ができる、という説明です。時期は「近いうちに」とされ、日付は示されていません。
つまり、発表の主役は「利用者自身のエージェント」です。一方、お客様が話しかけるお店の受付、という話ではありません。
発表で分かることと、分からないこと
まず、日本語の発表には、「Muse Realtime Avatar(英語のみ)」と書かれています。ただし、注記が機能の対応言語を指すのか、紹介ページの言語を指すのかは、読んだページからは判断できません。
そのうえで、同じ発表には「これらの機能の日本での提供状況については、別途ご案内します」とあります。Museは、2026年10月23日に日本で提供が始まりました。ただし、アバターの提供は、その発表の時点で案内待ちです。
接客でAIに渡す仕事と、人が持つ仕事
次に、サービス業の接客を分けて考えます。なお、ここからは、筆者の考えです。
たとえば、予約の確認や営業時間の案内は、答えが決まっています。一方、料金の相談や苦情は、その場の事情で答えが変わります。そのため、AIのアバターが使えるようになっても、この差は変わりません。
質問を受ける
型で答える
迷ったら止める
人が引き継ぐ
Museのアバター接客を待つ間に決める3つ
アバターの提供を待つ間にできることは、3つあります。
- 1まず、型で答える質問の一覧:営業時間、場所、予約の変更方法など、答えが毎回同じ質問を書き出します
- 2次に、人に渡す合図:料金の値引き、苦情、体調や契約の相談が出たら、人に代わる決まりにします
- 3最後に、AIで答えていると伝える一文:画面の見えるところに書いておきます
3つ目について、総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン」には、関係者への情報提供として、「AIを利用しているという事実及び活用している範囲」を示す、という考え方が書かれています。接客でAIを使うなら、お客様にも同じ配慮が要る、というのが筆者の読みです。
なお、筆者は、AIに数字を先に出させています。また、確認できていない部分は、確認できていないと言わせます。たとえば、あるSNSのメッセージ機能は未接続なので、問い合わせの全体像は未確認、という留保つきで数字を受け取ります。接客のAIにも、分からないことを分からないと言わせる決まりが向いています。
導入すると何が変わるかでサービスを選ぶ考え方は、こちらの記事に整理しています。
「7F サービスフロア」の歩き方。導入すると何が変わるかで選ぶ、サービスの売り場
お客様の顔や声は、どこまでAIに入れていい?
お客様の情報を扱う線引きは、アバターの前に決めておきます。個人情報保護委員会の注意喚起(令和5年6月2日)は、個人情報を含む入力をするときの注意を示しています。生成AIサービスに個人情報を入れるときは、利用目的を達成するために必要な範囲内かを、十分に確認することです。
また、本人の事前の同意なく個人データを入力し、応答の出力以外の目的で扱われると、個人情報保護法に違反するおそれがあります。そのため、提供事業者が機械学習に利用しないかを、確認するよう求めています。
集める情報を絞る、という考え方
別のサイトのおまかせ係長のコラム「予約・請求・問い合わせをオンライン化する手順」では、予約に必要な情報を絞る場面で、「必要のない情報は集めないほうが、管理も説明も楽になります」と書かれています。
出典:おまかせ係長「予約・請求・問い合わせをオンライン化する手順」
これは、AIの接客にもそのまま当てはまります。特に、動画のやり取りは、お客様の顔や声を含みます。そのため、顔や声を個人情報として扱うかどうかは、提供元の規約と公式の説明で確認してから決める、というのが筆者の読みです。
筆者の線引き、入れない3つ
次の3つは、公的な指針ではなく、筆者の線引きです。
- お客様の氏名、連絡先、住所など、個人を特定できる情報
- 予約の履歴や契約の内容など、お客様ごとの記録
- 値引きの限度額など、取引先ごとの非公開の条件
一方、入れてよいのは、営業時間や場所の案内、公開済みのメニューなど、ホームページに書いてある内容までです。
Museのアバター接客でよくある質問
まず、Museのアバターは、日本語でも使えますか、と聞かれます。答えは、確認できていません。Metaの日本語の発表は「英語のみ」と添え、日本での提供状況は別途案内するとしています。公式の案内を待って確かめます。
次に、料金はかかりますかという質問もあります。Metaの発表では、Museの多くの基本的な機能は無料で、さらに活用したい人向けにはサブスクリプションプランもあります。ただし、アバターの料金は、筆者が読んだページには出ていません。
さらに、Museとのやりとりは、AIの学習に使われませんかと聞かれます。Metaは、Museとのやりとりを、MetaのAIモデルの学習に利用させないよう、オプトアウトできると説明しています。お客様の情報を入れる前に、この設定と規約を確かめます。
Museのアバター接客、最初の一歩
まず、お客様からよく聞かれる質問を、5つだけ書き出します。紙でも、メモでも構いません。
次に、その5つのうち、答えがいつも同じものに丸を付けます。つまり、丸が付かなかった質問は、いまのところ人が受ける質問です。
そして、丸が付いた質問の答えを、ホームページに載せます。もちろん、アバターが使えるようになる日が来ても、来なくても、この作業は無駄になりません。
Museについて気になることは、遠慮なく聞いてください。
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運営元:コミッターズ
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参考(外部サイト):about.fb.com、techcrunch.com、個人情報保護委員会、経済産業省
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
会社の現場の工夫や取り組みは、みんなの企業新聞の記事「商談獲得の方法一覧|自社に合う手法の選び方」でも紹介しています。あわせてご覧ください。