事業を引き継いだ直後は、販路の心配が先に立ちます。先代の取引先との関係は続くのか、新しい売り先をどう作るのか。展示会に出たい、ECを始めたいと思っても、最初の一歩にはお金がかかります。
その「承継後の販路開拓」に使える東京都の助成金が、東京都中小企業振興公社の「事業承継を契機とした成長支援事業(販路開拓コース)」です。第2回の申請締切は2026年11月12日(木)16:00で、残り日数はわずかです。対象に当てはまる会社は、まず要項の確認から始めてください。制度の案内は東京都中小企業振興公社の公式ページにまとまっています。
先に結論
この助成金は、事業承継を契機に新しい販路開拓に取り組む都内の中小企業(個人事業者を含む)を支える制度です。助成限度額は300万円、助成率は対象経費の3分の2以内。申請は電子申請のJグランツのみで、締切は11月12日(木)16:00です。
ポイントは3つあります。1つ目は、対象の商品が新製品や新サービスに限らず、既存の製品・サービスでもよいこと。2つ目は、展示会の出展費やECサイトの制作費のように、販路を広げる費用そのものが対象になること。3つ目は、締切まで日が浅く、申請の準備を急ぐ必要があることです。

対象になる会社
対象は、令和3年4月1日から申請日の前日までの間に事業承継し、事業承継を契機として新規事業展開に取り組む都内中小企業です。個人事業者も含まれます。
承継の形は、同じ法人での代表権の移転(後継者が代表に就任し、先代が退任する形)、M&Aによる事業譲渡、M&Aによる株式譲渡、個人事業主の代替わり(後継者が開業し、先代が廃業して事業用資産を引き継ぐ形)が想定されています。
なお、承継時期の判定には基準日の細かい定めがあります。「自分の承継が対象の期間に入るか」は、第2回募集要項で必ず確認してください。
対象の経費と、対象にならない経費
新規事業の始め方は、無料の「新規事業診断」で自分のタイプに合う進め方を確認できます。
対象になるのは、販路開拓に直接関わる4つの経費です。市場調査費(マーケット調査など)、専門家指導費、販売促進費(リスティング広告、雑誌記事の掲載、チラシの作成など)、展示会出展費です。対象の取り組みの例として、初めての展示会・フェアへの出展や、海外販売のためのECサイト制作が挙げられています。経費の区分は公式ページの案内でも確認できます。
一方で、製品・サービスの開発や改良にかかる経費と、会社を整備するための物品購入の経費は対象外です。「モノを作る・買う」費用ではなく、「売り先を広げる」費用のための助成金、と捉えると線引きが分かりやすくなります。
いくら出るか
助成率は対象経費の3分の2以内、上限は300万円(千円未満は切り捨て)です。次の表は、あくまで計算の例です。

対象経費が450万円なら助成金は最大300万円で上限に届きます。300万円の経費なら最大200万円、150万円の経費なら最大100万円です。助成の対象になる期間は、交付決定日から最大1年間です。
申請の進め方
申請はJグランツによる電子申請のみです。申請にはGビズIDプライムが必要です。IDを持っていない会社は、取得の時間も見込んで動いてください。
新規事業の始め方は、無料の「新規事業診断」で自分のタイプに合う進め方を確認できます。
注意点として、この制度の一般コースとの併願はできません。どちらのコースで出すかは、先に決める必要があります。制度そのものへの問い合わせは、事業承継を契機とした成長支援事業事務局(TEL 03-4446-4650、受付は9:00〜16:30、土日祝・年末年始を除く)へ。問い合わせは申請する事業者本人が行う決まりです。
商社から見た使いどころ
承継後の会社が販路でつまずくのは、商品がないからではなく、売り先との接点が先代の代で止まっているからです。展示会への初出展、ECの立ち上げ、チラシや広告での販売促進は、どれも「新しい接点」を作る動きです。この助成金は、その動きにかかる費用の3分の2を後押しします。
進め方のコツは、経費を1つに絞らないことです。たとえば、展示会出展費で場を作り、販売促進費で来場者への案内を厚くし、市場調査費で出展後の反応を確かめる。販路の作り方は、販路の比べ方は仕組みから。代理店・フランチャイズ・取次ぎの違いでも整理しています。承継直後の販路づくりに迷う場合は、令和の総合商社でも相談を受け付けています。詳しくはお問い合わせページからご連絡ください。
締切までの最初の一歩
締切は11月12日(木)16:00です。残りの日でやることは、順番に3つだけです。まず募集要項で、自分の承継が対象に入るかを確認する。次に、展示会・EC・販売促進の中から、今回の取り組みと経費を決める。最後に、GビズIDプライムの有無を確認して、Jグランツで申請を進める。この順番なら、締切直前の慌ただしさを減らせます。
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同じ制度は、ウハウハ高等学校でも紹介しています。【11月12日締切】代替わりした後継者の販路開拓に最大300万円(ウハウハ高等学校・のれん分け科)。
同じ東京都中小企業振興公社の制度では、設備投資を支える躍進的事業推進のための設備投資支援事業 第14回や、経営の工夫を支える経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業も記事にしています。新しく事業を始める方向けには、新規事業の始め方はタイプで違う。合う進め方と補助金・助成金の入口もあわせてどうぞ。
会社の現場の工夫や取り組みは、みんなの企業新聞でも紹介しています。経営の相手探しを考えるときは、経営者マッチングサイトの選び方|失敗しない確認点と目的別の使い分けも参考になります。
出典:東京都中小企業振興公社「事業承継を契機とした成長支援事業(販路開拓コース)」、同「第2回募集要項」、Jグランツ、GビズID(いずれも2026年11月7日確認)。制度の内容は変更される場合があります。申請の前に、必ず公式ページと募集要項で最新の内容を確認してください。