源泉徴収票の交付は、年末調整が終わると片付いた気分になる手続きです。実は、精算が済んだあとにも、本人へ渡す作業と、役所へ出す作業が残ります。
まず、渡し忘れが起きやすい相手は、年の途中で退職した人です。在籍している人には給与の場面で渡せますが、退職した人には、送る段取りを別に組む必要があります。
この記事では、源泉徴収票の交付の期限を軸に、渡す相手と出す相手を分けます。さらに、年の途中で退職した人への渡し方と、間違えやすい点も整理します。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
源泉徴収票の交付、先に結論
先に結論です。源泉徴収票の交付は、その年の翌年1月31日までに行います。
対象になるのは、その年の1月から12月までの間に支払の確定した給与です。国税庁の案内では、源泉徴収票を2部作成し、そのうち1部を税務署長に提出し、他の1部を受給者に交付する形が示されています。
つまり、年末調整のゴールは精算ではなく、渡す・出す・残すまでです。なお、期限は渡す作業と出す作業で同じ日に重なります。

渡す相手と出す相手、行き先の分け方
まず、渡す相手は、給与の支払を受けた本人です。税務署への提出の対象になるかどうかとは別に、本人への交付は受給者ごとに行います。
次に、出す相手は市区町村です。給与支払報告書は、本人が住む市区町村の長へ出す書類です。源泉徴収票と似た中身でも、行き先は税務署と市区町村で分かれます。
別のサイトの控除さがし探偵団のコラム「令和8年分の年末調整、流れと必要書類を整理」では、「源泉徴収票を交付する翌年1月末日までなら年末調整をやり直せます」と書かれています。交付の期限が、直せる期限の目印にもなる点が分かります。
出典:控除さがし探偵団「令和8年分の年末調整、流れと必要書類を整理」
また、扱いが変わる点もあります。令和9年1月1日以後に市区町村の長へ給与支払報告書を提出した場合は、その給与について、税務署長へ源泉徴収票を提出したものとみなされます。
ただし、変わるのは税務署へ出す分の扱いです。本人へ渡す分は、従来どおり交付が残ります。そのため、出す作業が軽くなっても、渡す作業は減りません。
さらに、建設会社では、現場ごとに人の出入りが多い会社もあります。退職した人の住所と連絡先が古いままだと、渡す作業そのものが止まります。そのため、退職の場面で住所を確かめる動きを、渡す段取りに入れておきます。
電子で渡す形も、案内の中にあります
また、渡し方には電子の形もあります。給与の支払を受ける人から一定の承諾を得た場合は、書面の交付に代えて、記載すべき事項を電磁的方法により提供する形が認められています。
ただし、相手から請求があるときは、書面により交付する必要があります。電子で渡して終わりではなく、書面を求められたときの出し方まで決めておく形です。
特に、小さな会社では、渡し方が人によって分かれやすくなります。紙で渡す人と電子で渡す人を一覧で分け、承諾を得たかどうかも同じ一覧に書いておきます。
年の途中で退職した人への源泉徴収票の交付
次に、年の途中で退職した人です。この場合の源泉徴収票の交付は、退職後1か月以内が期限になります。
たとえば、年末まで待ってまとめて渡す形では、期限を過ぎます。退職の手続きの中に、源泉徴収票を作って渡す作業まで入れておく形が合います。
また、退職した人の中には、次の勤め先で年末調整を受ける人もいます。その人にとって、源泉徴収票は次の会社へ出す書類です。渡すのが遅れると、相手の年末の手続きまで遅れます。
一方で、退職者分を他の受給者分と合わせて、退職の年の翌年1月31日までに税務署長へ提出する扱いも、案内の中に示されています。提出のまとめ方と、本人への交付の期限は、別の話として分けます。
なお、渡した記録も残します。いつ、どの方法で渡したかを台帳に書いておくと、届いていないという連絡が来たときに、最初の確認が短くなります。
さらに、送り先の住所が変わっている退職者もいます。送る前に、退職の場面で聞いた住所と連絡先が最新のものか、送付の一覧と並べて確かめます。
住所が分からなくなっている場合は、早めに連絡を取ります。期限が近づいてから探し始めると、渡す作業だけでなく、出す作業の確認まで後ろへずれます。そのため、退職者分の一覧は、年末を待たずに作り始める形が合います。
交付で間違えやすい点
まず、番号の書き方です。受給者に交付する源泉徴収票には、受給者等のマイナンバー(個人番号)又は法人番号は記載しないこととされています。
税務署へ出す分には番号を書く場面があるため、同じ書き方で本人へ渡す分まで作ると、余計な番号が入ります。そのため、出す分と渡す分は、作る段階から分けて確認します。
次に、書き直しの場面です。扶養親族が増えた、申告書の出し忘れに気づいた、保険料を支払っていた、といった場合は、交付の前であれば年末調整をやり直せる場合があります。
つまり、渡す前の期間は、直せる期間でもあります。早く渡し切って終わりにせず、問い合わせを受ける窓口と期間を、社内で決めておきます。
また、個別の判断は顧問税理士などの専門家に確認します。特に、退職の時期と支払の確定の時期が重なる人は、扱いを先に聞いておく形が安全です。
さらに、合計表の扱いも点検に入れます。税務署へ出す分には合計表を添える形が案内されていますので、出す書類の束がそろっているかを、期限の前にまとめて見ます。
なお、渡した後の問い合わせ先も決めておきます。金額の見方を聞かれたときに、経理の担当が不在でも、窓口と回答の順番が決まっていると対応が止まりません。

源泉徴収票の交付、今日からできる最初の一歩
今日できる一歩は、渡す相手の一覧を作ることです。
- 1在籍している人と、年の途中で退職した人を分けます
- 2退職した人は、退職後1か月以内の期限で並べます
- 3市区町村へ出す給与支払報告書の分も、同じ一覧に足します
この一覧ができると、年末調整の後工程は、記憶ではなく期限の仕事になります。営業の側は年始の動きに集中でき、経理の側は渡し忘れの連絡に追われません。そのため、源泉徴収票の交付は、年末の締めの作業として先に組み立てておく形が合います。
デザイナーへの支払いで源泉徴収が必要になる場面は、別の記事で整理しています。外注費の源泉の要否を確かめる材料として、あわせて読めます。
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