生命保険の満期のお知らせが届きました。口座には、まとまった満期保険金が入ります。うれしい反面、「満期保険金の税金は、どうなるのだろう」と手が止まる社長は、多いはずです。
じつは、満期保険金の税金は、保険の名前では決まりません。決め手は、保険料を負担した人と、保険金の受取人が、同じ人かどうかです。同じなら所得税、違えば贈与税です。しかも、死亡保険金のときとは、見る人の数が違います。
この記事では、国税庁のタックスアンサーをもとに、満期保険金の税金の基本を整理します。令和8年4月1日現在の内容です。どの保険に入るべきかは、書きません。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
満期保険金の税金、先に結論
答えは、次の4つです。
- 保険料の負担者と受取人が同じ人:所得税です。一時金なら一時所得、年金なら雑所得になります。
- 保険料の負担者と受取人が別の人:贈与税です。
- 一時所得の金額は、受け取った保険金の総額から、払い込んだ保険料を引き、さらに特別控除額50万円を引いた額です。課税の対象は、その2分の1です。
- 解約で受け取る場合も、国税庁のページは、満期とまとめて説明しています。
なお、これは一般的な説明です。具体的な契約は、保険会社や顧問税理士に確認してください。
満期保険金の税金は「保険料の負担者」と受取人で決まる
国税庁のタックスアンサー(番号1755)の表には、列が2つあります。保険料の負担者と、保険金受取人です。同じ人なら所得税、別の人なら贈与税、と書かれています。
一方、死亡保険金のタックスアンサー(番号1750)の表には、列が3つあります。被保険者、保険料の負担者、保険金受取人です。そのため、死亡保険金は、所得税、相続税、贈与税の3つに分かれます。満期保険金は、被保険者の列がありません。ここが、最初の違いです。
死亡保険金の3つの組み合わせと並べると
まず、死亡保険金の表を、言葉にして並べます。
- 保険料の負担者と受取人が同じ人:所得税です。一時金なら一時所得になります。
- 被保険者と保険料の負担者が同じ人:相続税です。受取人が相続人なら、相続により取得したものとみなされます。
- 被保険者、負担者、受取人が全員別の人:贈与税です。
これに対して、満期保険金のページの対象税目は、所得税と贈与税です。つまり、相続税は出てきません。だから、満期のときは、保険料の負担者と受取人だけを見れば足ります。
名義の契約者ではなく、保険料の負担者を見ます
さらに、国税庁の表には、「契約者」とは書かれていません。書かれているのは、「保険料の負担者」です。
たとえば、親が保険料を払い続けてきて、満期保険金を子が受け取るとします(仮の例です)。この場合は、負担者と受取人が別の人です。そのため、贈与税の対象になります。
一方、社長が自分のお金で保険料を払い、満期保険金も自分で受け取るなら、同じ人です。この場合は、所得税になります。
なお、筆者の読みでは、名義だけでなく、実際に誰のお金で保険料を払ってきたかも確かめる場面です。通帳や引き落とし口座の記録を見ておきましょう。迷うときは、税務署や税理士に確認してください。
満期保険金の税金、一時金で受け取ると一時所得になる
満期保険金を一時金で受け取ると、一時所得です。なお、国税庁のページが説明しているのは、ほかに一時所得がない場合の計算です。
受取総額を出す
払込保険料を引く
50万円を引く
2分の1にする
つまり、手順は、次のとおりです。まず、受け取った保険金の総額を出します。次に、そこから、すでに払い込んだ保険料または掛金の額を引きます。さらに、特別控除額50万円を引いた額が、一時所得の金額です。最後に、その金額を2分の1にした額が、課税の対象になります。
ところで、別のサイトのコツコツおかね村のコラム「お金の置き場所を選ぶチェック項目(預貯金・保険・投資)」では、保険について「保険料の払込総額と、解約したときに戻る金額を、契約の前に確かめます」と書かれています。
出典:コツコツおかね村「お金の置き場所を選ぶチェック項目(預貯金・保険・投資)」
払い込んだ保険料の総額は、この計算の入口です。そのため、保険証券や、保険料の払込の記録を、先に手元にそろえておきます。
保険期間が5年以下なら、源泉分離課税の場合があります
ただし、例外があります。国税庁によると、一時払養老保険などで、保険期間などが5年以下のものは、源泉分離課税が適用されます。また、保険期間などが5年超で、5年以内に解約されたものも、同じです。
この場合は、源泉徴収だけで、課税関係が終わります。なお、詳しい扱いは、タックスアンサーのコード1520「金融類似商品と税金」に書かれています。
満期保険金の税金、年金で受け取ると雑所得になる
次に、満期保険金を年金で受け取る場合です。満期保険金の税金は、このときは公的年金等以外の雑所得になります。
まず、雑所得の金額は、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を引いた額です。また、年金を受け取るときは、原則として所得税が源泉徴収されます。
負担者と受取人が別のときは、権利に贈与税がかかります
一方、保険料の負担者と受取人が別の人で、年金で受け取るときは、話が変わります。国税庁によると、その年金を受け取る権利に対して、贈与税が課税されます。
さらに、毎年受け取る年金の所得税は、年金の収入金額を、非課税部分と課税部分に振り分けて計算します。実際に贈与税の納税額が生じなかった場合も、この方法で計算する、とされています。計算が入り組むため、この場面は、早めに税理士へ相談するのが安全です。
満期保険金の税金で、見落としやすい点
最後に、見落としやすい点を整理します。
- 満期だけでなく、解約で受け取る場合も、国税庁のページは、まとめて説明しています。
- 一時所得の計算は、ほかに一時所得がない場合のものです。
- 払い込んだ保険料の総額を、先に確かめます。
- 受取人が負担者と別なら、受け取る前に相談します。
まず、1つ目です。満期の通知を待つ間は、「満期だけの話」と思いがちです。ただし、途中で解約して受け取る場合も、同じ考え方で見ます。そのため、解約を考えたときにも、この記事の手順が使えます。
次に、2つ目と3つ目です。一時所得の計算は、ほかに一時所得がないことが前提です。また、払込保険料の総額が分からなければ、計算が始まりません。そこで、書類は早めにそろえます。
特に、4つ目が大事です。贈与税になるかどうかは、保険料の負担者で決まります。受け取る前に確かめておくと、慌てずに済みます。
満期保険金の税金、今日からできる最初の一歩
難しい作業ではありません。次の4つで足ります。
- 1まず、保険証券を出して、契約者、被保険者、受取人を紙に書き出す
- 2次に、保険料を実際に払ってきた人を、引き落とし口座で確かめる
- 3さらに、払い込んだ保険料の総額を、記録から出す
- 4最後に、負担者と受取人が別なら、受け取る前に、税理士か税務署に聞く
満期で入るお金は、資金繰りの上では、まとまった収入です。そのため、入る月を資金繰り表に書き入れておくと、営業の仕込みに回せる額が見えます。売上が落ちた年の備えは、こちらの記事にあります。
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筆者の記事:川口忠大のnote
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