経営者交流会を調べ始めると、必ず名前が挙がる2つの会があります。一つは、ノルマも出席義務もない「ゆるさ」を売りにして全国2,000社超に広がったNIC(ネクストイノベーション経営者倶楽部)。もう一つは、週1回の定例会と厳密な紹介の仕組みで、日本だけでも1万3,000人を超える会員を抱えるBNI。どちらも「経営者の集まり」ですが、中身の設計は正反対と言っていいほど違います。
この記事では、NICとBNIを「頻度」「義務」「紹介の仕組み」「費用構造」の4つの軸で比べ、最後に「それぞれ、どんな経営者に向いているか」まで整理します。優劣の話ではありません。設計の違いを知ることが、会選びの失敗を減らす一番の近道だからです。
まず両者の素性を押さえる
NICは、交流会の運営を手がけるコネクタービジョン株式会社が展開する経営者交流会です。拠点は東京・大阪・愛知(名古屋)・横浜など全国6拠点で、会員は全体で2,000社を超えると案内されています。最大の東京は約1,700社で、NIC1〜NIC8などのグループに分かれて月13回開催。名古屋は約180社で月2回、大阪は約130社で月1回、横浜は約70〜80名の規模です(2026年11月時点の公開情報)。完全紹介制・完全会員制で、参加できるのは法人・個人事業主の代表者、またはそれに相当する決裁権を持つ人です。
会員同士の連絡の場として、Facebookには会員限定のプライベートグループ(メンバー183名、2019年8月開設)もあり、例会の外でもつながりが続く設計になっています。
BNIは、1985年にアイヴァン・マイズナー博士が創設した、紹介(リファーラル)に特化した世界的な組織です。理念は「Givers Gain®(与える者は与えられる)」。日本では401チャプター・13,074人(2025年9月〜2026年9月の統計)、世界では11,800を超えるチャプターに355,000人以上のメンバーがいます。会員は「チャプター」と呼ばれる数十人規模のチームに所属し、そのチャプターの中で互いのビジネスを紹介し合います。

違い1:頻度——月1〜2回ペースか、毎週か
NICの例会は、拠点ごとに月1回〜月2回が基本です(東京はグループ数が多いため月13回の開催枠がありますが、1人の会員が毎回出る前提ではありません)。自分の予定に合わせて参加する、という距離感です。
BNIの定例会は週1回、早朝開催が中心です。1年間休まず参加すれば、それだけで50回前後、同じメンバーと顔を合わせることになります。頻度の差は、そのまま「関係が深まる速度」と「拘束の強さ」の差です。
違い2:義務——「なし」が設計か、厳密なルールか
NICの最大の特徴は、出席義務も紹介ノルマもないことです。主催者の一人、NIC横浜の中島寛和さんは「交流会は仲良くなることが目的でいい。ビジネスは後からついてくる」と語っています。まず人として仲良くなり、信頼ができた先に仕事の相談が生まれる、という順序を会の設計にしています。
BNIは逆です。定例会への出席は強く求められ、欠席が続けばメンバー資格に影響します。紹介(リファーラル)は毎週の定例会で報告され、誰が誰に何件紹介したかが数字で見える形で運用されます。「与える者は与えられる」という理念を、感覚ではなく仕組みと記録で回しているのがBNIです。
言い換えれば、NICは「義務がないからこそ長く続けられる」設計、BNIは「義務があるからこそ成果が測れる」設計です。
違い3:紹介の仕組み——自然発生か、1業種1名の枠か
交流会や経営者団体への参加についての相談は、令和の総合商社で受け付けています。 お問い合わせページからご相談ください。
NICの紹介は自然発生型です。ノルマがない代わりに、紹介が生まれるかどうかは関係の深さ次第。拠点によりますが同業者が複数いることもあり得る、開かれた構造です。
BNIは「1チャプター・1業種1名」が原則です。同じ専門分野の競合は同じチャプターに入れません。その代わり、チャプター内では自分の業種の「唯一の窓口」になれるため、メンバー同士が案件の相談先として真っ先に思い浮かべる存在になりやすい。紹介は各メンバーの実績として集計され、日本全体では年間114万件を超えるリファーラルが生まれていると公表されています(2025年9月〜2026年9月の統計)。
違い4:費用構造——拠点ごとに違うか、世界共通の枠組みか
NICの会費(入会金・年会費)は、拠点ごとに運営形態が異なるため、一律の金額は公式に公開されていません。フランチャイズ形式で各地の主催者が運営する拠点もあり、費用は拠点ごとに要確認です。参考までに、NIC大阪のビジター参加は1回12,000円(飲食代込み、メンバーは無料)と案内されています(コネクターギルド掲載のイベント情報、2026年11月時点)。
BNIの費用も公式には非公開で、見学後に案内される形です。構成は世界共通で、初回のみの登録費と、年会費に相当するプログラム利用料(1年・2年・5年の支払い区分あり)。ビジター参加費は通常3,000円前後で、見学は2回まで可能です(BNIジャパン公式FAQ)。第三者メディアの解説記事では、2024年時点の基準として登録料33,000円・年会費171,600円(いずれも税込)という数字も紹介されていますが、これは公式発表ではないため、検討時は必ず見学の場で最新の金額を確認してください(Honors「BNIの入会金と年会費の実態を詳しく解説」、2024年時点の情報として確認)。
共通しているのは「公式に金額を出していない」点です。ただし構造は対照的で、NICは拠点ごとの裁量が大きく、BNIは世界共通の枠組みの中で金額だけが見学後に開示される、という違いがあります。
どんな経営者に向いているか
交流会や経営者団体への参加についての相談は、令和の総合商社で受け付けています。 お問い合わせページからご相談ください。
NICが向いているのは、次のような経営者です。
- ノルマや義務に縛られず、自分のペースで人脈を広げたい
- 仕事の前に「人として付き合える関係」を作りたい
- 中長期で信頼できる相談相手や協業先を探している
- 東京・大阪・名古屋・横浜のいずれかに活動拠点がある
BNIが向いているのは、次のような経営者です。
- 紹介による案件獲得を、仕組みとして本気で回したい
- 毎週決まった時間にコミットできる生活リズムがある
- 同業が入っていない「枠」を押さえて、地域の窓口になりたい
- 成果を数字で測りながら人脈づくりをしたい
経営者にとって交流会のコストは、会費だけではありません。毎週の早朝2時間も、月1回の夜の3時間も、事業の時間から差し引かれます。だからこそ判断軸は「会費の高い安い」ではなく、「その設計が自社のいまの課題——案件獲得なのか、相談相手なのか、地域の情報回路なのか——に合っているか」です。紹介の件数を求めるならBNIの仕組みが効きますし、長く付き合える経営者仲間の土台を作りたいなら、NICの「ゆるさ」は弱点ではなく設計そのものです。両方に所属して使い分けている経営者も珍しくありません。

筆者の見方
NICとBNIは、どちらも「信頼を先に置く」という点では同じ思想を持っています。違うのは、その信頼をどう作るかです。NICは「義務をなくして、関係の自然な熟成に任せる」道を選び、BNIは「毎週の接触と紹介の記録で、信頼を可視化する」道を選んだ。筆者には、どちらが正解という話には聞こえません。
筆者自身はBNIのBRIDGETチャプターで活動しています。毎週の定例会は確かに負荷がありますが、その負荷が「この人たちのために動こう」という気持ちと紹介の実績を生んでいる実感があります。一方で、事業のフェーズが変われば、求める会の形も変わるはずです。創業直後で案件が急務なら型の強い会、事業が回り始めて「長く付き合える仲間」が欲しくなったら型のゆるい会。会選びは一度決めたら終わりではなく、事業の段階ごとに点検するものだと考えています。
経営者交流会の全体像や、BNIの会費の考え方については、みんなの企業新聞の記事でも整理しています。あわせてご覧ください。
筆者が活動するBNI・BRIDGETチャプターについて
筆者は、BNIのBRIDGETチャプターで活動しています。BRIDGETチャプターの定例会は、毎週火曜日の夜19時から開催しています。紹介の仕組みを実際に見てみたい方は、見学も可能です(見学は2回まで)。興味がある方は、川口までお気軽にお問い合わせください。
出典
- コネクタービジョン株式会社 公式サイト(NICの拠点・会員数)https://connector-vision.com/(2026年11月5日確認)
- コネクターギルド「NIC大阪 主催者インタビュー(桐山宏一さん)」「NIC横浜 主催者インタビュー(中島寛和さん)」(2026年11月5日確認)
- Facebookグループ「NICネクストイノベーション経営者倶楽部」(会員限定・メンバー183名)https://www.facebook.com/groups/596159110911164/(2026年11月5日確認)
- BNIジャパン 公式サイト(日本の統計:401チャプター・13,074人)https://bni.jp/ja/index(2026年11月5日確認)
- BNIジャパン 公式FAQ(見学2回まで・ビジター参加費・費用は見学後に案内)https://bni.jp/ja/faq(2026年11月5日確認)
- Honors「BNIの入会金と年会費の実態を詳しく解説」(登録料33,000円・年会費171,600円は2024年時点の第三者記事の記載)https://honors.jp/column/4011/(2026年11月5日確認)
※NICの会費は拠点ごとに異なり一律の公式公開がないため、本記事では金額を掲載していません。BNIの費用も公式には非公開です。いずれも、参加前に各拠点・チャプターの最新案内でご確認ください。
あわせて、みんなの企業新聞の記事「紹介以外で商談を増やす方法」もご覧ください。
徳億会とは?
徳億会は、株式会社いかしあい隊が運営する月例の経営者交流会です。着席型の食事会の形式で、「徳を積み重ねる本物の経営者の集い」を掲げています。徳億会会員の費用は、入会金110,000円・月会費36,300円・年会費435,600円(いずれも税込、公式表記)。ビジター参加の費用は回によって異なるため、最新の案内は株式会社いかしあい隊の公式サイトでご確認ください。
ATM会とは?
ATM会は、徳億会と同じく株式会社いかしあい隊が運営する月例の経営者交流会です。立食型の形式で、名前は「A=明るく、T=楽しく、M=前向きに」に由来します。いかしあい隊会員の費用は、入会金55,000円・月会費11,000円・年会費132,000円(いずれも税込、公式表記)。ビジター参加の費用は回によって異なるため、最新の案内は株式会社いかしあい隊の公式サイトでご確認ください。
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