経営者が入る「会」を探すと、必ず名前が挙がる2つの組織があります。商工会議所青年部(YEG)とBNI。どちらも全国規模で、経営者が集まる点は同じです。でも中身は大きく違います。片方は「商工会議所という地域の経済団体の一部」であり、会費が公表されている代わりに年齢の上限がある。もう片方は「紹介を回すためだけに設計された民間の仕組み」で、年齢制限はない代わりに費用が公式非公開。会に求めるものの置き場所が、最初から違うのです。
この記事では、YEGとBNIを「位置づけ」「会費」「入会条件」「活動の中身」の4つの軸で比べ、最後に「それぞれ、どんな経営者に向いているか」まで整理します。
まず両者の素性を押さえる
YEGは、全国各地の商工会議所に設置された青年部です。日本YEGのパンフレットによると、470の商工会議所に青年部があり、そのうち415の青年部が日本YEGに加盟しています(2021年4月時点)。独立した交流会ではなく商工会議所の活動の一部で、同パンフレットは「YEG会員は商工会議所の一員」と位置づけています。会員は、商工会議所の会員事業所の経営者や後継者などが中心です。
BNIは、1985年にアイヴァン・マイズナー博士が創設した、紹介(リファーラル)に特化した世界的な組織です。理念は「Givers Gain®(与える者は与えられる)」。日本では401チャプター・13,074人(2025年9月〜2026年9月の統計)で、リファーラルは年間114万件超、会員間の売上は約1,454億円超と公表されています。世界では11,800を超えるチャプターに355,000人以上のメンバーがいます。会員は数十人規模の「チャプター」と呼ばれるチームに所属し、週1回の定例会で紹介を持ち寄ります。

違い1:位置づけ——地域の経済団体の一部か、紹介のためだけの組織か
YEGの活動は、商工会議所という地域の経済団体の中にあります。例会での交流だけでなく、委員会活動や地域の行事・事業への参加を通じて、地域の経済界や行政との接点が生まれるのが特徴です。人脈づくりと同時に、「地域での信用」を積む場でもあります。会費で得られるのは、同じ地域の若手経営者・後継者との継続的な関係、商工会議所を通じた接点、全国組織を通じた他地域の青年部との交流です。
BNIは、紹介に一点特化した組織です。学びや地域との関わりもありますが、中心にあるのは「メンバー同士が互いの顧客を紹介し合う」仕組みそのもの。チャプターという単位も、紹介が効率よく回るように設計されています。
違い2:会費——金額が見える(ただし二段構え)か、公式非公開か
YEGの会費は、各地の青年部が定めるため全国一律ではありません。公式資料で金額を確認できた郡山YEG(福島県)の令和7年度の例では、加入金10,000円(入会時のみ)に年会費36,000円(4月入会の場合。10月入会なら18,000円)で、4月入会の初年度は合計46,000円になります。ただし、この金額に所属する商工会議所の会費は含まれません。YEGに入るには商工会議所の会員であることが前提で、その会費は別にかかります(金額は商工会議所ごとに異なります)。つまりYEGの費用は「青年部の会費+商工会議所の会費」の二段構えです。
BNIの費用は、公式には非公開で、見学後に案内される形です。構成は世界共通で、初回のみの登録費と、年会費に相当するプログラム利用料(1年・2年・5年の支払い区分あり)です。第三者メディアの解説記事では、2024年時点の基準として登録料33,000円・年会費171,600円(いずれも税込)という数字も紹介されていますが、これは公式発表ではないため、検討時は必ず見学の場で最新の金額を確認してください(Honors「BNIの入会金と年会費の実態を詳しく解説」、2024年時点の情報として確認)。
交流会や経営者団体への参加についての相談は、令和の総合商社で受け付けています。 お問い合わせページからご相談ください。
比べると、YEGは「青年部ぶんの金額は先に読めるが、総額は商工会議所の会費と合わせて自分で計算する必要がある」、BNIは「総額の枠組み自体、見学しないと分からない」という違いがあります。
違い3:入会条件——年齢と所属の条件か、1業種1名の枠か
YEGの入会条件は、青年部ごとに定められます。郡山YEGの令和7年度入会案内では、郡山商工会議所の会員事業所の経営者またはその後継者および従業員で、満20〜45歳であることが条件です。入会は4月・10月の年2回で、理事会が諾否を決めます。年齢の上限は45歳で、JC(青年会議所)の40歳より少し長く在籍できます。「若手経営者・後継者の会」という色がはっきりした条件です(条件は青年部ごとに異なる場合があります)。
BNIに、年齢の制限はありません。条件は、事業を営んでいることと、所属したいチャプターで自分の業種の枠が空いていることです。「1チャプター・1業種1名」が原則で、同じ専門分野の競合は同じチャプターに入れません。その代わり、チャプター内では自分の業種の「唯一の窓口」になれます。入会前には見学が可能で、見学は2回まで。ビジター参加費は通常3,000円前後です(チャプターによって異なります)。
違い4:活動の中身——委員会と地域の事業か、週1回の紹介の定例会か
YEGの活動は、例会に加えて委員会や地域の行事への参加が前提になります。時間のコストは会費以上に大きく、年度の途中で退会しても会費の返金はない青年部もあります(郡山YEGの案内)。入会時期が年2回に限られる青年部では、タイミングを逃すと半年待つこともあります。その代わり、同じ地域の同世代の経営者と長く顔を合わせ続ける関係と、商工会議所を通じた地域での信用が残ります。
BNIの定例会は週1回、早朝開催が中心です。定例会への出席は強く求められ、紹介は毎週の定例会で報告され、誰が誰に何件紹介したかが数字で見える形で運用されます。1年間続ければ50回前後、同じメンバーと顔を合わせる計算です。関係が深まる速度は速い反面、毎週の時間拘束は経営者にとって無視できない負担になります。
言い換えれば、YEGは「地域の活動に時間を出す」会、BNIは「毎週の定例会に時間を出す」会です。出ていく時間の性質が違います。
どんな経営者に向いているか
交流会や経営者団体への参加についての相談は、令和の総合商社で受け付けています。 お問い合わせページからご相談ください。
YEGが向いているのは、次のような経営者です。
- 地元の商工会議所の会員で、年齢条件(郡山YEGの例では満20〜45歳)を満たす経営者・後継者
- 地域の経済界で、名前と信用を作りたい
- 全国の青年部との交流にも興味がある
- 委員会や地域の事業に時間を割ける
BNIが向いているのは、次のような経営者です。
- 紹介による案件獲得を、仕組みとして本気で回したい
- 毎週決まった時間にコミットできる生活リズムがある
- 同業のいない「枠」を押さえて、地域の相談窓口になりたい
- 年齢を問わず、人脈づくりを事業の成果に直結させたい
経営者にとって、会選びの判断軸は「会費の高い安い」ではありません。YEGの二段構えの総額と委員会活動の時間、BNIの費用総額と毎週の拘束時間。どちらも「お金+時間」のコストがかかります。そのコストを、地域での信用づくりに投じるのか、紹介による案件獲得に投じるのか。自社のいまの課題に合う方を選ぶのが実務的です。両方に所属して使い分けている経営者も珍しくありません。

筆者の見方
YEGとBNIは、どちらも「経営者の集まり」ですが、会に求めるものの置き場所が違います。YEGは地域の経済団体の中に入っていくことで、信用と同世代のネットワークを積む場。BNIは、紹介という一点に絞って、時間と成果を数字で測る場です。どちらが優れているかではなく、自社の事業が「地域に根を張る段階」なのか「紹介の回路を太くする段階」なのかで、効き方が変わります。
筆者自身はBNIのBRIDGETチャプターで活動しています。毎週の定例会は確かに負荷がありますが、その負荷が紹介の実績と「この人たちのために動こう」という気持ちを生んでいる実感があります。一方で、地域密着で商売をする経営者であれば、商工会議所とYEGの回路が効く場面も多いはずです。検討する方は、YEGは地元の青年部の入会案内と商工会議所の会費を合わせた総額で、BNIは見学の場で現行の費用総額を確認してから判断するのが確実です。
経営者交流会の全体像や、BNIの会費の考え方については、みんなの企業新聞の記事でも整理しています。あわせてご覧ください。
筆者が活動するBNI・BRIDGETチャプターについて
筆者は、BNIのBRIDGETチャプターで活動しています。BRIDGETチャプターの定例会は、毎週火曜日の夜19時から開催しています。紹介の仕組みを実際に見てみたい方は、見学も可能です(見学は2回まで)。興味がある方は、川口までお気軽にお問い合わせください。
出典
- 郡山YEG「令和7年度 入会案内」https://koriyama.yeg.jp/wp/wp-content/uploads/2025/04/R7nyukai.pdf(2026年11月4日確認)
- 日本YEG パンフレット(青年部の設置数・加盟数)https://yeg.jp/wp-content/uploads/2024/02/YEG_panf.pdf(2026年11月4日確認)
- 日本YEG「会費細則」https://yeg.jp/35memorial/pdf/rule_18.pdf(2026年11月4日確認)
- 東京商工会議所 プレスリリース(2021年6月28日。商工会議所の会費の参考)
- BNIジャパン 公式サイト(日本の統計:401チャプター・13,074人、リファーラル114万件超)https://bni.jp/ja/index(2026年11月5日確認)
- BNIジャパン 公式FAQ(見学2回まで・ビジター参加費・費用は見学後に案内)https://bni.jp/ja/faq(2026年11月5日確認)
- Honors「BNIの入会金と年会費の実態を詳しく解説」(登録料33,000円・年会費171,600円は2024年時点の第三者記事の記載)https://honors.jp/column/4011/(2026年11月5日確認)
※YEGの会費・入会条件は青年部ごとに異なります。本記事の金額は郡山YEGの令和7年度の公式資料に基づくもので、ほかの青年部の金額は異なります。また、YEGへの入会には所属する商工会議所の会費が別途必要です。BNIの費用は公式には非公開です。いずれも入会前に、最新の案内でご確認ください。
あわせて、みんなの企業新聞の記事「商工会議所青年部(YEG)の会費はいくらか|郡山YEGの公式金額と、商工会議所の会費が別にかかる仕組み」もご覧ください。
徳億会とは?
徳億会は、株式会社いかしあい隊が運営する月例の経営者交流会です。着席型の食事会の形式で、「徳を積み重ねる本物の経営者の集い」を掲げています。徳億会会員の費用は、入会金110,000円・月会費36,300円・年会費435,600円(いずれも税込、公式表記)。ビジター参加の費用は回によって異なるため、最新の案内は株式会社いかしあい隊の公式サイトでご確認ください。
ATM会とは?
ATM会は、徳億会と同じく株式会社いかしあい隊が運営する月例の経営者交流会です。立食型の形式で、名前は「A=明るく、T=楽しく、M=前向きに」に由来します。いかしあい隊会員の費用は、入会金55,000円・月会費11,000円・年会費132,000円(いずれも税込、公式表記)。ビジター参加の費用は回によって異なるため、最新の案内は株式会社いかしあい隊の公式サイトでご確認ください。
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