年末の売り場では、中身の見えない福袋が並びます。福袋の表示は、その見えなさの中で、買い手が頼れる数少ない材料です。
ただし、危ないのは中身そのものより、合計金額の書き方です。さらに、根拠の残らない合計は、あとで店の側も説明できません。
この記事では、中身と景品の区別と、合計金額の根拠の残し方と、写真の見せ方を整理します。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
福袋の表示、先に結論
答えは、中身は商品そのもので、合計金額は内訳の足し算が根拠になる、です。点検の要点は、次のとおりです。
- 福袋の中身は、景品ではなく、対価を払って買う商品そのものです
- 合計金額は、中身の一つひとつの販売価格を足した内訳が根拠です
- 根拠の内訳表は、売る前に作り、売ったあとも残します
つまり、福袋の勝負は、中身の豪華さより先に、合計の根拠です。次に、景品との区別から説明します。
福袋の表示で、中身は景品とどう違う?
まず、景品は、自分の商品の取引に付随して、相手方に提供するものです。たとえば、購入者全員に付けるおまけが、その形です。
また、福袋の中身は、買い手が代金を払って受け取る商品そのものです。そのため、中身に景品の上限の物差しは当てはまりません。
一方で、中身の見せ方には、表示の物差しが当てはまります。さらに、合計金額の書き方は、その中心です。
中身
おまけ
合計金額
おまけや抽選を足すと、話が分かれます
別のサイトのポチっと雑貨店長のコラム「ネットショップの景品の上限は?5つの型を比較」では、同じプレゼントでも企画の形によって、出せる景品の上限が変わると書かれています。
出典:ポチっと雑貨店長「ネットショップの景品の上限は?5つの型を比較」
つまり、福袋に購入特典のおまけを足すと、その部分は景品の話になります。そのため、中身の値段の話と、おまけの上限の話を分けて点検します。
また、抽選で当たる要素を足す企画も、別の物差しで読みます。なお、企画を足す前に、どの部分が商品で、どの部分が景品かを紙に分けます。
福袋の表示で、合計金額はどう書く?
まず、合計金額は、中身の一つひとつを、ふだん自店で売っている価格で数えます。たとえば、仮の例として、五千円で売る福袋に一万円相当と書くなら、その一万円の内訳が先に要ります。
また、単品で売っていない品は、数え方の根拠が弱くなります。そのため、似た品の価格で埋めた合計は、そのまま書きません。
さらに、合計の隣には、数え方の材料を置きます。たとえば、中身の品名と数量と、単品の価格の一覧です。
なお、福袋の表示では、合計の大きさより、合計の作り方が読まれます。実は、買い手は、中身が見えない分、合計の作り方で店を判断します。
中身に幅がある企画は、いちばん小さい組み合わせで数えます
さらに、福袋では、中身の組み合わせに幅を持たせる企画があります。たとえば、色や柄が選べない品や、数種類の中から入る品が変わる形です。
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また、この形では、合計金額の数え方が分かれます。そのため、合計は、どの組み合わせでも下回らない側の金額で数えます。
一方で、いちばん豪華な組み合わせの合計だけを表に出す書き方は、ほかの袋との差を説明できません。つまり、幅のある企画ほど、合計の置き場所は下の側です。
なお、組み合わせが変わる理由も、表に添えます。実は、理由の書かれていない幅は、買い手には中身のばらつきに見えます。
そのうえで、袋ごとに中身が違う企画では、点検も袋の種類ごとに行います。一方で、企画全体を一つの内訳表で済ませる書き方では、種類ごとのずれが見えません。
根拠は、あとから求められる場合があります
まず、景品表示法第5条では、品質や内容について実際のものより著しく優良であると示す表示と、価格などの取引条件について著しく有利であると誤認される表示が、禁止の対象です。
また、同法第7条では、表示が優良誤認に当たるかを判断するために、裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとされています。
つまり、内訳表は、売るための飾りではなく、説明を求められたときの材料です。そのため、内訳表は、福袋を組み立てる場面で作ります。
なお、点検では、合計の数字と内訳表を並べて読みます。実は、合計だけが先に作られ、内訳が追いつかない企画が多くなります。
福袋の表示で、売る前に見る確認4項目は?
確認する項目は、次の4つです。
- 中身の品目ごとに、単品の販売価格と販売した記録があるか
- 合計金額が、その単品価格の足し算と合っているか
- 写真や説明が、実際の中身の姿とずれていないか
- おまけや抽選を足した部分が、景品の話として分かれているか
ここで大事なのは、写真の見せ方です。一つの豪華な品だけを大きく写し、全体がその姿であるように見せる書き方は、内容の誤認につながります。
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なお、点検は福袋を組み立てる前にも行います。実は、袋を閉じたあとでは、内訳の確かめ直しができません。そのため、最初の読み直しでは、合計の根拠を最初に探します。
また、数量に限りがある企画では、その書き方も点検の対象です。たとえば、用意した数より多く売る前提の文や、売り切れたあとも残る文は、表示全体の読み方を変えます。
さらに、通販の福袋では、ページの文が売り切れのあとも残ります。そのため、販売の区切りと、ページの文の区切りをそろえます。
なお、福袋の表示の点検表は、店頭と通販で分けて残します。実は、同じ福袋でも、読まれる場所で目立つ言葉が変わります。
建設会社向けの詰め合わせも、同じ点検で読めます
年末は、取引先への手土産に、詰め合わせを選ぶ場面もあります。たとえば、現場への差し入れの詰め合わせでも、合計の見せ方は同じ物差しで読まれます。
また、法人向けの贈答では、受け取った側が内訳を確かめる場面があります。さらに、その場面では、品目と数量の紙が残っているかが効いてきます。
そのため、贈る側の詰め合わせでも、内訳の紙を添えます。一方で、豪華さの言葉だけでは、相手の社内での説明ができません。
福袋の表示、今日の最初の一歩
最初の一歩は、福袋の中身の内訳表を作ることです。まず、品目ごとに、単品の販売価格と数量を書きます。
次に、その足し算と、表に出す合計金額を比べます。そして、合わない部分は、表に出す前に直します。
さらに、点検した内訳表は、そのまま残しておきます。実は、次の年末に、前の企画と今回の企画を比べる材料になります。
よくある質問
ここでは、福袋の表示でよく聞かれる質問に答えます。
中身が見えない福袋は、合計金額を書いてはいけないのか、と聞かれます。答えは、書くこと自体ではなく、根拠のない合計が問題です。内訳の足し算で説明できる合計は、材料になります。
売れ残りの品を福袋に入れると、合計はどう数えるのか、と聞かれます。答えは、ふだん売っている価格が根拠です。売ったことのない価格では数えません。
福袋の中身に、景品の上限は当てはまるのか、と聞かれます。答えは、中身は商品そのもので、上限の話ではありません。当てはまるのは、別に足すおまけの部分です。
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