小さな店の奥に、在庫の山ができていませんか。在庫相談のAI活用が気になる店主も増えています。ただし、AIに何でも渡してよいわけではありません。渡す情報を間違えると、答えの質が落ちるだけでなく、仕入先との関係にも響きます。
先に答えを言うと、AIには下書きと整理を任せて、値段の決定は店主がします。まず、渡すのは集計した数字と店頭の事情だけにします。次に、原価や仕入先の名前、取引条件は入れません。最後に、AIの答えは値札に直接写さず、店主が確かめてから使います。
この記事では、在庫相談のAI活用で渡してよい情報と入れない情報を、雑貨店の例で整理します。また、筆者の使い方も少しだけ書きます。なお、読み終わるころには、相談の前に外しておく列と、残しておく列が分かります。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
在庫相談のAI活用、先に結論
在庫相談のAI活用の結論は、相談の前に情報を分けることです。まず、渡す情報は、商品の名前と分類、在庫の数、売れた期間の集計です。次に、入れない情報は、原価と仕入単価、仕入先の名前、取引条件です。さらに、お客様の名前や連絡先も入れません。そのため、この分け方ができれば、AIの答えは下書きとして使えます。ただし、答えの数字は、店の帳簿と見比べてから使います。
なお、この分け方は、相談のたびに使えます。在庫表を開いたら、まず外す列を決めます。そのため、相談の準備に時間をかけすぎずに済みます。
Museに在庫を相談するとき、何を渡せばよいですか?
Museに在庫を相談するときは、渡す情報を3つに絞ります。まず、商品の名前と分類です。次に、在庫の数と売れた期間の集計です。最後に、店頭の事情です。たとえば、季節の変わり目や、売り場の場所、売れ筋の移り変わりです。これだけでも、AIは値付けの案や、処分の順番の案を出せます。
集計して渡すと、答えが使いやすくなります
たとえば、従業員が少ない雑貨店を考えます。店主は、売れ残っている商品の一覧を、商品の名前と在庫の数、売れた期間だけに絞って渡します。さらに、売り場の様子を一言添えます。その後、Museは、処分の順番と、値付けの考え方を、理由つきで返してきます。つまり、この理由が、店主の判断の材料になります。
また、別のサイトのポチっと雑貨店長のコラム「在庫を持たない雑貨販売の始め方」では、品質や在庫を仕入先に頼る形でも、問い合わせや返品の窓口は販売する側になる、と書かれています。
なお、在庫と現金の流れについては、こちらの記事で整理しています。
売上は立つのに現金が減る会社へ。在庫を週の営業件数に割る4つの手順と3つの数字
売る期間を一緒に渡すと、案が現実的になります
値付けの相談では、売る期間を一緒に渡します。たとえば、年末までに売り切りたいのか、来店が多い週末に合わせたいのかで、案の出し方が変わります。また、対象にする範囲も伝えます。店の全部の商品なのか、売れ残っている商品だけなのかで、処分の順番が変わるからです。なお、期間や範囲は、店の言葉で短く伝えて構いません。長い説明文は要りません。短い条件のほうが、AIの答えも読みやすくなります。
在庫相談のAI活用で、入れない情報はどれですか?
在庫相談のAI活用で入れない情報は、原価と仕入単価、仕入先の名前、取引条件の3つです。たとえば、原価や仕入単価がAIに渡ると、値付けの根拠が外に漏れるおそれがあります。また、仕入先の名前が伝わると、取引の交渉にも影響します。さらに、取引条件は、支払いの時期や値引きの話まで含むため、相談の材料にはしません。特に、お客様の名前や連絡先も、同じ理由で入れません。
個人情報保護委員会は、生成AIの応答に不正確な内容が含まれることがある、と注意喚起しています。入力した個人情報が、学習に使われることがある、とも書かれています。つまり、入れない情報は、相談を送る前に一度止まって考えることが大切です。
一方で、集計した数字は渡して構いません。商品ごとの在庫の数や、売れた期間の合計は、店の外に出ても交渉に響きにくい情報です。線引きは、情報の細かさで決めます。細かい取引の中身は入れず、集計した結果だけを渡します。
在庫を集計する
Museに案を出させる
店主が比べる
値札は店主が決める
筆者は、AIに作業の担当を持たせて使っています。たとえば、集計や下書きを任せて、公開や値段の決定は自分で行います。そのため、この線引きがあると、AIの答えをそのまま信じずに済みます。ただし、AIの答えが間違っていることもあります。なお、数字と固有名詞は、元の資料と見比べます。
AIの答えを、そのまま値札にしてよいですか?
答えは、よくありません。実は、AIは、店の仕入れの事情や、常連のお客様の顔を知りません。つまり、AIの答えは、渡した情報の範囲で作られた案にすぎません。一方、値札は、店の責任で決めるものです。さらに、AIの答えに「通常価格」が入っていたら、とくに注意します。比較対照価格について、実際と異なる表示や、あいまいな表示をすると、不当表示に当たるおそれがある、と消費者庁のページにも書かれています。そのため、値札に写す前に、価格の実績と、売る期間を確かめます。
値札に写す前の確認は3つです
- まず、価格の実績が帳簿と合っている
- 次に、売る期間と対象の範囲が決まっている
- 最後に、AIの文言を、そのまま写していない
この3つがそろえば、AIの答えは下書きとして使えます。なお、1つでも欠けていたら、値札づくりは一度止めます。このように、急いで値札を出すより、確かめてから出すほうが、後で直す手間が減ります。
また、AIが「今だけ」や「限定」といった言葉を作ることもあります。これらの言葉は、期間や数量の根拠がないと、そのままでは使えません。根拠が書けない言葉は、POPや値札に出さずに、下書きの中だけにとどめます。言葉の勢いよりも、確かめられる事実を優先します。
よくある質問
原価を入れると、もっと正確な値付け案が出ますか、と聞かれます。答えは、正確になる面はあっても、勧められません。また、原価が外に漏れると、取引の交渉に響きます。なお、集計した数字と店頭の事情で、十分に案は出せます。
在庫の一覧表をそのまま貼ってよいですか、と聞かれます。答えは、そのまま貼るのは勧められません。まず、仕入先の名前や単価の列を外してから渡します。そのため、外す作業は、相談の前に一度だけ行えば済みます。
Museは、日本の小さな店でも使えますか、と聞かれます。答えは、使えます。Metaは、2026年10月23日から日本での提供を始めたと発表しています。iOSとAndroid、muse.aiで使えます。ただし、すべての新機能が日本で使えるわけではありません。なお、公式の案内で、使う機能を確認します。
在庫相談のAI活用を始める最初の一歩
在庫相談のAI活用を始める最初の一歩は、在庫表の控えを1つ作ることです。まず、控えからは、原価と仕入先の名前、取引条件の列を外します。次に、残すのは、商品の名前と分類、在庫の数、売れた期間の集計です。その後、この控えで、売れ残っている商品を1つ選んで、Museに相談します。最後に、答えが出たら、帳簿と見比べて、値札は店主が決めます。
また、在庫が経費になる時期については、こちらの記事で整理しています。
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Museについて気になることは、遠慮なく聞いてください。
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参考(外部サイト):about.fb.com、個人情報保護委員会、消費者庁、消費者庁(2)
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

