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2026.10.24

海外の取引先に「原産地証明書を出して」と言われたら。EPAで相手の関税が下がるのは、協定ごとの証明を出せたときだけ

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海外の取引先から、英語のメールが届きます。「次の注文から、原産地証明書をつけてもらえますか」。社長は検索して、商工会議所で何かをもらうらしいと知り、とりあえず申請書を取り寄せます。ところが、届いた書類を見た相手から「これでは関税が下がりません」と返事が来る。輸出を始めたばかりの会社で、わりとよく起きるすれ違いです。

原因は、原産地証明書に2種類あることです。ひとつは、ただ「日本製です」と示す一般の証明書。もうひとつは、日本と相手国の経済連携協定(EPA)を使って、相手国の輸入の関税を下げるための証明です。しかも後者は、協定によって「誰が、どの形で証明するか」が違います。商工会議所の書類が要らない協定もあります。

この記事では、2026年10月時点の税関・経済産業省・外務省の資料をもとに、2種類の違い、協定ごとの証明の仕方、輸出する側が残しておく書類を整理します。食品に限らず、雑貨、工具、機械部品、化粧品、衣料など、商材や業種を問わず、日本で作った物を海外に売る会社に関係する話です。

野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。

先に結論:相手が欲しいのは、たいてい「関税が下がるほう」です

外務省のEPAセミナー資料では、2種類を次のように分けています。

一般の証明書を出しても、相手国の関税は下がりません。取引先が「関税を下げたい」と言っているなら、EPA用の証明が必要です。最初の返信で「EPAを使いたいということですか。どの協定ですか」と聞き返すだけで、二度手間がかなり減ります。

もうひとつ大事なのは、EPAで得をするのは、まず相手の輸入者だという点です。関税を払うのは輸入する側なので、日本の会社の手元のお金は直接は変わりません。それでも、ここを整えておくと、相手にとっては同じ商品が安く仕入れられることになります。営業の材料として、かなり使える話です。

証明のしかたは3通り。協定ごとに決まっています

EPA用の証明には、大きく分けて次の3つの方式があります。

  1. 1第三者証明:日本商工会議所に申請して、原産地証明書を発給してもらいます
  2. 2認定輸出者:経済産業大臣の認定を受けた輸出者が、自分で原産地を申告します
  3. 3自己申告:輸出者や生産者(協定によっては輸入者)が、原産品だという申告書を自分で作ります

税関がまとめた一覧(2025年1月現在)では、協定ごとの使い分けはおおむね次のとおりです。

自己申告の協定では、税関への事前の届出や登録は要らないと、税関の資料に書かれています。つまり、ヨーロッパやイギリスの取引先から「原産地の申告を」と頼まれたら、商工会議所の窓口に行く前に、自分で申告書を作る形かどうかを確かめるのが先です。

時期の話もひとつ。経済産業省は、第三者証明の原産地証明書を、紙ではなくPDFで発給する切り替えを進めています。2026年8月3日からは日ペルー協定、2026年9月7日からは日アセアン協定のタイ向けがPDF発給になりました。相手国での輸入の手続きは、その国の税関に確認するよう案内されています。

EPAの特恵関税を使う手順を、HSコードの特定から証明書の準備まで順に確かめたいときは、「貿易条件と関税の基礎は?輸出入の用語を質問で整理」という記事があります。経済産業省が5つの手順に整理した内容と、HSコードが関税率や原産地規則などを調べる手がかりになることが、質問と答えの形で説明されています。

出典:ひとっ飛び輸出部「貿易条件と関税の基礎は?輸出入の用語を質問で整理」

仮の例:キッチン用品メーカーに、欧州から問い合わせが来たら

従業員5人の金属製キッチン用品メーカー(仮の例)に、ヨーロッパの雑貨店から問い合わせが来たとします。

このメーカーがやることを、順番に並べるとこうなります。

  1. 1商品のHSコード(品目の分類番号)を確かめる
  2. 2日EU協定で、その品目が「原産品」と言える条件を確かめる
  3. 3材料と部品の一覧を作り、どこで作られた物かを書き出す
  4. 4条件を満たすと確認できたら、協定で決まった形で原産品申告書を作る
  5. 5申告書の写しと、確認に使った資料を保存する

ここで「原産品」の条件を少しだけ。税関の資料では、大きく次の3つに分かれています。

「日本の工場で作ったから日本製」と、いつも言えるとは限りません。たとえば海外から買った部品を、日本で箱に詰め替えただけの場合は、品目別の規則を満たさないことがあります。

ただし:申告したら「あとから確認される」前提で

自己申告は手軽ですが、そのぶん責任は輸出する側に残ります。税関の資料が示す注意点は次のとおりです。

税関は「輸出する貨物の原産性をよくご確認ください」と呼びかけています。実際に、確認の結果、原産品と認められなかった例があるためです。認められないと、相手が下がるはずだった関税をあとから払うことになり、取引の信頼に響きます。

迷ったときの相談先として、経済産業省には、EPAの利用(輸出)の相談を受け付ける「EPA相談デスク」が案内されています。品目別の規則の読み方は、自己判断で決めずに確認するのが安全です。

なお、EPAの証明と、日本で消費税をゼロにする輸出免税の書類は、まったく別の話です。輸出免税の証拠書類の順番は、こちらの記事にまとめています。

海外に売りたい小さな会社が、販路探しより先に整える免税と証拠書類の順番

今日からできる最初の一歩:主力商品1つで「関税が下がる国」を調べる

いきなり全商品を調べる必要はありません。売れ筋の商品を1つ選んで、次の3つだけ確かめてみてください。

これがわかると、海外の商談で「この国向けなら、EPAを使えば輸入の関税が下がる可能性があります」と言えるようになります。値引きをしなくても、相手の仕入れの負担を軽くできる話なので、価格交渉の前に出せる材料になります。

海外の販売先を探す前に、国内で売り方の型を固めておく考え方は、こちらの記事にあります。

海外代理店は国内で型をつくってから。小さな会社が探す順番5つと型の4点セット

協定ごとの規則や手続きは改正されることがあります。実際に使うときは、税関の原産地規則のページ、日本商工会議所、経済産業省の案内で最新の内容を確認してください。

運営元:コミッターズ

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参考(外部サイト):税関、税関(2)、税関(3)、経済産業省、経済産業省(2)、官公庁

※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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