「地球にやさしい」「エコな商品」「SDGsに貢献」。つい書きたくなる言葉です。でも、根拠がないまま書くと、景品表示法に引っかかるおそれがあります。実態以上によく見せる「SDGsウォッシュ」と呼ばれる問題です。ロゴを使うときの許可の考え方は、SDGsロゴの記事で解説しています。
先に結論:「何が」「どれだけ」を書けるか
- 商品やサービスを、実際よりも著しく優れているように見せる表示は、景品表示法の優良誤認表示にあたるおそれがあります。
- 「環境にやさしい」のようなふわっとした言葉は、何がどうやさしいのか、根拠を示しにくい表現です。
- 表示の根拠を、求められたら出せる状態にしておくことが大切です。
NGな書き方と、OKな書き方
- NG:「地球にやさしい、エコ商品です」(何が?どれくらい?が不明)
- OK:「パッケージの紙を、再生紙に変更しました(2026年4月出荷分から)」(事実・範囲・時期が具体的)
- NG:「SDGsに完全対応」(「完全」を証明するのは、ほぼ不可能)
- OK:「目標12に関連し、梱包材の削減に取り組んでいます」(取り組みの範囲を限定)
ポイントは、言えること(事実)だけを、範囲を絞って書くことです。控えめな表現のほうが、信頼されます。
- 1何を・どの範囲で・いつからやっているかを書き出す
- 2数字や記録(仕入れ伝票、証明書など)の根拠を残す
- 3「一部」「当社の〇〇商品に限る」など、範囲を明記する
- 4取り組みが変わったら、表示も更新する
- 数値(再生紙の配合率、削減した量)
- 時期の明記(○年○月から)
- 範囲の限定(この商品、この工程)
- 環境にやさしい、地球にやさしい
- SDGsに完全対応
- 業界No.1のエコ(根拠なし)
自分では事実のつもりでも、受け手に誤解を与えることがあります。表示を公開する前に、第三者(顧問の専門家など)に一度見てもらうと安心です。表示の細かい基準は、消費者庁などの公式情報も確認してください。
表示が問題になると、どうなる?
景品表示法で、優良誤認表示と判断されると、消費者庁から措置命令(表示をやめる、お知らせを出すなどの命令)を受けたり、課徴金(売上額の3%が目安とされます)の対象になったりすることがあります。小さな会社でも、ネット通販や自社サイトで商品を売っていれば、対象になり得ます。
また、消費者庁から「その表示の根拠を示す資料を出してください」と求められた場合は、原則として15日以内に出す必要があるとされています。根拠を出せないと、その表示は不当な表示とみなされることがあります。「根拠は、書く前に確保する」のが基本です。
ふわっとした言葉の、言い換え例
- 「エコな商品」→「パッケージの紙を再生紙に変更しました(2026年4月出荷分から)」
- 「環境にやさしい」→「配送の箱を小さくして、トラックの便数を減らしています」
- 「サステナブルな取り組み」→「規格外の野菜を、加工品の原料として使っています」
- 「カーボンニュートラル」→ 何をどの範囲で減らしたのかを、数字と期間で書く
言い換えのコツは、「名詞」で語らず、「行動」で語ることです。
写真やイラストも「表示」のうち
文字だけでなく、森や地球のイラスト、緑色のデザインも、見る人に「環境に良い」という印象を与えます。文章が控えめでも、イメージ全体で誤解を与えていないか、見直しましょう。
認証マークは、範囲まで書く
エコマークなどの第三者の認証を取っている場合は、認証の名称と、どの商品・どの部分が対象かを、あわせて書きます。認証を取っていないのに、似たマークを自作するのは避けましょう。環境省が公開している環境表示のガイドラインも参考になります。
よくある質問
Q. 他の会社も同じ表現を使っているけど?
A. 他社が使っているかどうかは関係ありません。自社の表示の根拠が必要です。
Q. まだ達成していない「目標」を書いてもいい?
A. 「目標です」「予定です」と、実績とはっきり区別して書けば、誤解を避けやすくなります。達成した後は、実績として書き直しましょう。
Q. 一部の素材だけが環境配慮型のときは?
A. 「パッケージの紙のみ再生紙」のように、範囲を限定して書きます。商品全体が環境に良いような書き方は避けましょう。
公開前の「5分チェック」
サイトや商品ページ、パッケージ、SNSに「環境」「エコ」「サステナブル」といった言葉を出す前に、次の5つを順に見てください。
- 何が?:商品全体か、包装だけか、一部の工程だけか
- どれだけ?:数字(%、グラム、枚数)で言えるか
- いつから?:始めた時期や、対象の出荷分が書けるか
- 証拠は?:仕入れ伝票、仕様書、第三者の証明など、見せられる資料があるか
- 誰が見ても同じ意味か?:「エコ」「自然」など、人によって受け取り方が違う言葉になっていないか
1つでも詰まったら、その言葉は一度外して、言える範囲の事実だけに書き換えましょう。
よくある「つい書いてしまう」パターン
- 商品の一部(ふたの素材など)だけを理由に、商品全体を「環境配慮型」と書く
- 取り組みを始めたばかりなのに、「SDGs達成に貢献」と大きく書く
- 他社と比べて「業界一エコ」と書く(比べた根拠がない)
- 国連のロゴを並べて、何をしているかは書かない
どれも悪気なく起きます。だからこそ、書く前に5分チェックを習慣にするのが、いちばん安上がりな対策です。ロゴの扱いについては、同じコーナーのロゴの使い方の記事も参考にしてください。
ウォッシュにならない、伝え方の3原則
- 数字や根拠があることだけを書く
- 「環境にやさしい」のような、あいまいな言葉を避ける
- できていないことも、正直に書く
たとえば「リサイクル素材を〇%使用」のように、具体的に書くほうが、読む人にも安心してもらえます。
小さな会社こそ、正直さが武器になります
大きな会社に比べて、できることは限られます。でも、「まだここまで」「次はここをやります」と正直に書く姿勢は、むしろ信頼につながります。配りものの経費の分け方は、ノベルティの記事で整理しています。
まとめ:控えめで具体的なSDGsが、いちばん強い
SDGsは、書いた言葉よりも、実際にやったことが評価されます。「何を、どれだけ、いつから」を具体的に書く。それだけで、信頼性が上がり、リスクも減ります。
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。