年始の挨拶メールを取引先へ一斉に送る会社は、年末のうちに文面を用意します。その送信前の作業が、年始挨拶メールの確認です。
実は、挨拶だけのメールと、自社の案内を添えたメールでは、法律の扱いが分かれます。案内が入った途端に、広告や宣伝のメールとしての決まりが関係してきます。
この記事では、年始挨拶メールの確認を、特定電子メール法の条文を材料に整理します。あわせて、送信前に見る相手と表示の点検項目もまとめます。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
年始挨拶メールの確認、先に結論
先に結論です。年始挨拶メールの確認は、文面の言葉づかいよりも先に、相手と表示を見ます。見る場所は、次のとおりです。
- 送ってよい相手に当たるかどうかです
- 送信者の名前と、受信を断る連絡先が表示されているかどうかです
- 送信者の情報を偽る形になっていないかどうかです
つまり、挨拶の文面が丁寧でも、相手と表示が外れていると、送る前の点検は終わりません。次に、法律の物差しから説明します。
相手
表示
送信
挨拶だけか、案内が入るかで分かれます
まず、分かれ目です。特定電子メール法は、第2条で、特定電子メールを、営利を目的とする団体や営業を営む個人が、自己や他人の営業につき広告や宣伝を行うための手段として送信する電子メールと定めています。
たとえば、年始の挨拶だけを書いたメールは、広告や宣伝の手段とは言いにくい形です。一方で、自社のサービスの案内や、申し込みページへの誘導を添えたメールは、広告や宣伝の手段に当たる場合があります。
そのため、確認は、文面に案内が入っているかどうかから始めます。案内が入る場合は、次の相手と表示の決まりで見ます。
送ってよい相手は第3条で決まります
次に、相手です。第3条では、送信者は、決められた相手以外の者に対して、特定電子メールの送信をしてはならないと定められています。
決められた相手は、大きく分けて並んでいます。あらかじめ送信を求める旨や同意する旨を通知した者、自己のメールアドレスを送信者へ通知した者、広告や宣伝に係る営業を営む者と取引関係にある者、自己のメールアドレスを公表している団体や営業を営む個人です。
たとえば、名刺でアドレスを知らせてきた取引先は、アドレスを通知した者に当たりえます。また、建設会社の元請けや協力会社は、取引関係にある者に当たりえます。
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さらに、同意を受けた場合は、その同意があったことを証する記録を保存する決まりもあります。記録が残っていない同意は、あとで確かめようがありません。
なお、送らないように求める旨の通知を受けた相手には、その意思に反して送信してはならない決まりです。去年まで送っていた相手でも、断りの連絡があった相手は、宛先から外します。
年始挨拶メールの確認は相手の分け方から
また、宛先の一覧は、年末のうちに分けておきます。分け方は、同意の記録がある相手、名刺などでアドレスを通知してきた相手、取引関係にある相手、公表している相手の順です。
一方で、どの相手にも当たらない宛先が混じっている場合は、その宛先を外してから送ります。宛先の数が多い一斉送信ほど、この分け方が効きます。
そのため、宛先の一覧は、送る当日に作るのではなく、仕事納めの前に分けておく形が合います。

表示の項目は第4条で決まります
次に、表示です。第4条では、送信者は、受信をする者の画面に、決められた事項が正しく表示されるようにしなければならないと定められています。
条文に挙がる事項は、送信者の氏名や名称と、送らないでほしい旨の通知を受けるための電子メールアドレスなどです。あわせて、省令で定める事項として、送信者の住所や、苦情や問い合わせの連絡先なども挙げられています。
つまり、挨拶の文面の末尾にある署名が、そのまま表示の土台になります。会社名だけの署名では、通知を受けるための連絡先が抜ける場合があります。
別のサイトのおまかせ係長のコラム「予約・請求・問い合わせをオンライン化する手順」では、「電子データのまま保存します」と書かれています。
出典:おまかせ係長「予約・請求・問い合わせをオンライン化する手順」
挨拶メールへの返信で、注文や問い合わせが届く場合もあります。その返信に取引の内容が書かれている場合は、保存の話も関係してきます。そのため、挨拶の送信と、返信の置き場は、並べて決めておきます。
署名の型を先に決めておきます
さらに、表示の抜けを防ぐには、署名の型を先に決める方法があります。型には、送信者の名称と、通知を受けるための連絡先と、住所と、問い合わせの連絡先を並べます。
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たとえば、担当者ごとに署名が違う会社では、連絡先の書き方がばらつきます。型を1つに決めておくと、一斉送信の文面でも抜けが出にくくなります。
なお、型は、年始の挨拶だけでなく、普段の案内メールにも同じ形で使えます。決める手間は、最初だけです。
また、配信の道具で一斉送信をする場合は、道具の側の設定も型に含めます。差出人の表示名と、返信を受けるアドレスと、配信を止めるための案内の出し方です。
たとえば、道具の初期設定のまま送ると、差出人が道具の名前で出る場合があります。テスト送信を自分のアドレスへ送り、受信した画面で表示を確かめる方法が確かです。
さらに、テスト送信では、スマートフォンでの見え方も見ておきます。署名が画面の途中で切れていると、通知を受けるための連絡先が読めない場合があります。
送信者情報を偽らない決まりもあります
また、第5条では、送信者は、送信者情報を偽って特定電子メールの送信をしてはならないと定められています。送信者情報には、送信に用いた電子メールアドレスなどが挙げられています。
たとえば、配信の道具を使う場合でも、送り主の表示が自社の名前と食い違う形は避けます。道具の設定で表示名が変わっている場合は、送信前に確かめます。
さらに、決まりを守っていない送信には、第7条で、送信の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる、と定められています。点検は、罰を避けるためだけの話ではありません。
実は、年始の挨拶は、会社の信用を運ぶメールです。相手と表示がそろっている送信は、そのまま信用の土台になります。

年始挨拶メールの確認、今日の最初の一歩
最初の一歩は、宛先の一覧を分けることです。まず、送る相手を、同意の記録がある相手と、アドレスを通知してきた相手と、取引関係にある相手に分けます。
次に、文面の末尾の署名を見ます。送信者の名称と、通知を受けるための連絡先が入っているかを確かめます。そして、断りの連絡があった相手が、宛先に残っていないかも見ます。
さらに、送信した記録は、宛先の一覧と一緒に残しておきます。なお、個別の宛先の当てはめで迷う場合は、弁護士などの専門家に確認する形が確かです。
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この見方ができると、年始挨拶メールの確認は、文面づくりではなく送信の段取りになります。その段取りが、年明けの営業の第一歩を支えます。
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