年末は、大掃除の代行や不用品の回収を、自宅でそのまま契約する場面が増えます。訪問販売のクーリングオフは、こうした場面で効いてくる仕組みです。実は、契約した日ではなく、書面を受け取った日から数える点でつまずく例が少なくありません。
訪問でサービスを売る会社にとっては、書面の渡し方と起算日の説明が、そのまま年末の問い合わせの数に跳ね返ります。一方、頼む側にとっては、考え直す時間が法律で用意されているかどうかが分かれ目です。つまり、訪問販売のクーリングオフは、売る側と頼む側の両方が先に知っておく話です。
この記事では、訪問販売のクーリングオフの数え方を整理します。さらに、対象にならない場合と、通知の出し方、通販の返品との違いもまとめます。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
訪問販売のクーリングオフは、先に結論
まず、結論です。東京都の消費生活の案内では、訪問販売のクーリング・オフの期間は8日間で、根拠は特商法第9条とされています。数え始めは、契約書面を受け取った日です。その日を含めて数える点が、実務の分かれ目です。
たとえば、年末に自宅で大掃除の代行を契約し、その場で契約書面を受け取った場合は、その日が数え始めです。次に、書面を受け取っていない場合は、数え始め自体が始まっていない扱いになります。なお、東京都の案内でも、法定書面を受け取っていない場合は起算が始まっていない、と説明されています。
そのため、訪問で契約を取る会社は、書面を渡した日を自社の記録にも残します。一方、頼んだ側は、書面を受け取った日を手元に控えます。つまり、訪問販売のクーリングオフは、日付の記録から始まります。
訪問販売のクーリングオフの数え方
まず、期間は、契約書面を受け取った日を含め8日間です。次に、通知は、その期間内に発信すれば間に合います。さらに、通知の方法は、書面のほか、電磁的方法も使えます。
まず、起算日では、契約した日と書面を受け取った日がずれる場面に注意します。たとえば、口頭で話がまとまった日と、書面が届いた日が違う場合は、書面の日で数えます。次に、期限では、年末年始の休みが入っても、数え方は暦どおりに進みます。
また、通知は、発信した日に効力が生じます。そのため、届く日ではなく、出す日で間に合うかどうかを見ます。なお、東京都の案内では、期間以内に通知を発信すれば、発信した日に効力が発生する、と説明されています。
さらに、令和3年の改正で、通知は電磁的方法でも出せるようになりました。たとえば、電子メールで出す場合は、送信の記録を残します。一方、売る側は、契約のときに使った連絡手段での通知を不合理に絞らない案内が求められます。
書面を渡す側の点検は、年末前に済ませます
訪問で契約を取る会社は、年末の繁忙期の前に、契約書面の渡し方を点検します。まず、書面に、クーリング・オフに関する事項が書かれているかを見ます。次に、渡した日を記録する欄を、自社の控えにも用意します。
さらに、担当者ごとに渡し方が違う状態は、直しどころです。たとえば、書面を渡しても控えに日付が残らない会社では、起算日の問い合わせに答えられません。つまり、訪問販売のクーリングオフへの備えは、現場の書面運用そのものです。
また、個人に仕事を頼むときの条件の書き方を扱った記事でも紹介しましたが、条件は文章で残す形が基本です。訪問の契約でも、口頭の説明だけで終わらせず、書面と控えで残す形が向いています。
訪問販売のクーリングオフにならない場合
まず、すべての訪問の契約に、この仕組みが当てはまるわけではありません。東京都の案内では、営業や仕事のために契約した場合や、代金が3,000円未満の現金取引などが、対象にならない例として挙がっています。
次に、期間が過ぎた場合も、原則として対象になりません。ただし、契約書面の不備や、事業者による妨害があった場合などは、8日間を過ぎてもクーリング・オフが可能な場合がある、と東京都の案内では説明されています。そのため、過ぎたから終わり、と自社だけで決めつけない対応が要ります。
さらに、自分から店に出向く店舗での購入や、画面を見て申し込む通信販売は、訪問販売のクーリングオフの対象ではありません。なお、通信販売には、別の返品の仕組みがあります。
別のサイトのポチっと雑貨店長のコラム「ネットショップの返品特約の書き方、年末商戦前の5手順」では、通信販売の返品について「商品の引渡しを受けた日から数えて8日以内であれば、広告に返品特約が表示されていない場合、消費者は送料を負担して申込みの撤回や解除ができると説明されています」と書かれています。
出典:ポチっと雑貨店長「ネットショップの返品特約の書き方、年末商戦前の5手順」
同じ8日という数字でも、起算する出来事と、費用の負担が違います。つまり、訪問販売のクーリングオフと、通信販売の返品は、名前を分けて案内する話です。一方で、どちらも、条件を先に示す点では同じです。
年末の場面で分けて考える例
たとえば、大掃除の代行を自宅で契約した場合は、訪問販売の場面です。一方、回収の申込みを画面だけで完結させた場合は、通信販売の場面に近くなります。さらに、不用品の買い取りを自宅で頼んだ場合は、訪問購入という別の取引の形になります。
そのため、年末の案内では、取引の形ごとに窓口の返事を分けておきます。なお、形の判定に迷う問い合わせは、自社の決めつけで閉じず、消費生活センターへの相談も案内します。つまり、分けて考える型が、年末の窓口を守ります。
訪問販売のクーリングオフでよくある質問
起算日は、契約した日ですか、と聞かれます。答えは、契約書面を受け取った日です。書面を受け取っていない場合は、起算は始まっていません。
通知は、相手に届く日が期限ですか、という質問もあります。答えは、期間内に発信すれば、発信した日に効力が発生します。出す方法と、発信の記録を残すことが大切です。
作業が始まっていても、対象になりますか、とも聞かれます。答えは、期間内であれば、工事が始まっている場面でも対象になり得ます。個別の扱いは、契約の形と書面の内容で変わるため、窓口で確認します。
訪問販売のクーリングオフ、今日からできる最初の一歩
まず、自社の訪問契約の書面を、年末の前に取り出して読み直します。次に、クーリング・オフの事項と、渡した日を残す欄があるかを見ます。最後に、窓口の返事の型に、起算日の説明を足します。
さらに、頼む側の場面では、受け取った書面の日付を、その日のうちに控えます。その積み重ねで、訪問販売のクーリングオフは、年末の慌ただしさの中でも、日付で話せる仕組みになります。なお、浮いた時間は、大掃除そのものの段取りに回します。
また、点検のあとは、起算日にまつわる問い合わせの内容を見直します。次に、質問が集まった場所だけ、書面と案内を直します。そのため、備えは、作った日ではなく、質問の減り方で育っていきます。
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運営元:コミッターズ
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参考(外部サイト):自治体
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