チラシを刷り直したい。さらに、ホームページも古いまま。そんなときに「持続化補助金なら、費用の3分の2が補助される」と聞けば、心が動くのは自然です。「持続化補助金の締切は12月15日。年末のバタバタが終わってから考えよう」。ここまでは、よくある流れです。
ところが、持続化補助金の締切には、申請より先に来るものがあります。商工会議所や商工会に発行を頼む「事業支援計画書」は、受付が2026年12月4日で終わります。しかも、公募要領には、締切のあとは「いかなる理由があってもできません」と書かれています。つまり、申請の締切より、だいぶ早い日です。
もう一つ、年末商戦に合わせて今月刷ったチラシは、補助の対象になりません。つまり、補助の対象になるのは、交付が決まった日からです。この記事では、第20回の日程、対象になる会社の線引き、チラシや看板の扱い、動き出す順番をまとめます。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
持続化補助金の締切、先に結論:書類は12月4日まで、申請は12月15日17時まで
第20回の公募は、小規模事業者持続化補助金の「一般型・通常枠」です。まず、日程は次のとおりです。
- 1申請受付の開始:2026年11月5日
- 2事業支援計画書(様式4)の発行受付の締切:2026年12月4日
- 3申請受付の締切:2026年12月15日17時
申請は電子申請システムだけで受け付けられ、郵送は使えません。ただし、日程は変更されることがあります。この記事は、2026年10月23日までの公式サイト(商工会議所地区)の掲載にもとづいています。持続化補助金の締切を考えるときは、最新の掲載を確認してください。
なお、補助率は3分の2、補助上限額は50万円です。特例の対象になると上限が上乗せされますが、特例には満たすべき要件があります。また、採択審査があり、不採択になる場合もあります。
従業員5人以下?20人以下?対象の線引き
まず、補助の対象は「小規模事業者」です。業種ごとに、常時使用する従業員の数で決まります。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):5人以下
- 宿泊業・娯楽業:20人以下
- 製造業その他:20人以下
さらに、数え方にも決まりがあります。会社役員、同居の親族の従業員、試用期間中の人は、従業員の数に入りません。パートさんを数えるかどうかは、働き方の契約によって変わります。
たとえば、お店を一人で切り盛りする雑貨店(仮の例)は、商業・サービス業にあたりますので、人数の面では対象になりやすい形です。逆に、パートさんを何人も抱える飲食店だと、人数のところで引っかかることがあります。そのため、迷うときは、窓口で聞くのが近道です。
もう一つの条件が、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組むことです。そして、ここで出てくるのが、冒頭の「事業支援計画書」です。
補助の対象になるチラシ、ならない名刺
まず、補助の対象になる経費は、次の8種類に決まっています。
- 機械装置等費
- 広報費
- ウェブサイト関連費
- 展示会等出展費
- 旅費
- 新商品開発費
- 借料
- 委託・外注費
たとえば、チラシや看板は「広報費」に入ります。パンフレット、ポスター、チラシ、インターネット広告、SNS広告などをつくったり、広報媒体を使ったりするための経費です。公募要領には、次のような例が並んでいます。
対象になる例:
- チラシ・カタログの外注や発送
- 看板の作成・設置
- 商品・サービスの宣伝のための画像や動画の作成
- インターネット広告の実施
対象にならない例:
- 名刺
- 会社案内パンフレット
- 求人広告
- 金券・商品券
- 配っていないチラシ(未配布・未使用分)
つまり、分かれ道は、「商品やサービスの宣伝のためか、会社の営業活動に使うだけか」です。たとえば、名前や宣伝文句がないチラシは、単なる会社の宣伝とされて対象外になります。
ただし、注意点が二つあります。広報費だけでは申請できず、ほかの経費と一緒に出す必要があります。また、広報費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。ウェブサイト関連費も、同じ条件です。
販促品を配るときの経費の考え方は、別の記事にまとめています。
ノベルティは経費?「広告宣伝費」と「交際費」の分かれ道は、配る相手です
交付決定の前に発注すると、年末チラシも対象外
特に、ここが、いちばん見落としやすい点です。公募要領には、補助事業の流れが次の順で書かれています。
- 1申請(2026年12月15日が締切)
- 2採択発表(2027年3月ごろの予定)
- 3見積書などの提出
- 4交付決定
- 5補助事業の開始
なお、交付決定には、採択発表から概ね1〜2か月かかる場合があるとされています。補助の対象となる発注・契約・支払いは、交付決定通知書に書かれた交付決定日からです。採択通知書だけでは、補助事業は始められません。交付決定日より前に行った発注・契約・支払いは、補助の対象外です。
たとえば、12月の予約を集めるためのチラシを11月に刷ってしまうと、補助金の申請を出していても対象になりません。そのため、年末商戦のチラシは、補助金なしの自己資金で刷ります。補助金は、来春以降の販促に使う計画にします。つまり、この切り分けが現実的です。
なお、例外が一つあります。展示会などへの出展は、申込みが交付決定の前でも構いません。ただし、請求書の発行が交付決定日以後でないと対象外です。
補助事業の期間は、第20回の場合、交付決定日から2028年3月31日までです。また、補助金が入るのは、事業を終えて実績を報告し、金額が確定したあとです。そのため、それまでの支払いは、いったん自分で立て替えます。
持続化補助金の締切(12月4日)から逆算する動き方
では、動く順番は、次のとおりです。つまり、締切の日付から、さかのぼって決めます。
- 1事業所の場所が、商工会の地区か商工会議所の地区かを確認する(窓口もサイトも違います)
- 2GビズIDプライムのアカウントを取る(取得に数週間程度かかります)
- 32026年11月5日の受付開始後、電子申請システムに経営計画と補助事業計画を入力して印刷する
- 4商工会・商工会議所に、事業支援計画書(様式4)の発行を依頼する(12月4日の受付締切まで)
- 5発行を受けたら、必要な書類をそろえて12月15日17時までに申請する
なお、別のサイト(はじめて商店街)のコラム「持続化補助金の申請手順は?第20回の流れと準備」では、事業支援計画書について「受付が始まってから依頼する書類で、即日では発行されません」と書かれています。締切の直前に動くと間に合わなくなるため、日程は発行受付の締切から逆算する、という考え方です。
出典:はじめて商店街「持続化補助金の申請手順は?第20回の流れと準備」
さらに、もう一つ、注意したいことがあります。公式サイトには、補助金事務局を名乗って補助金を案内したり、紹介したりする事案が出ているという注意が載っています。つまり、事務局が個人に個別に補助金を紹介することはない、と書かれています。また、公募要領には、事業計画づくりで第三者の支援を受けたときは、その相手と支援の金額を申請書に書くことも定められています。書かないと、不採択や交付決定の取消しになることがあります。
今日の一歩は、チラシの宛先を紙に書くこと
補助金の話になると、書類づくりに目が行きます。ただ、補助金で刷るのは「商品やサービスを知ってもらうための」チラシです。誰に、何を、いつまでに伝えるのか。つまり、ここが決まっていないと、計画書も書けません。
実は、筆者は、名刺を山ほど配っても売上がほぼゼロだったことがあります。チラシも同じで、刷る枚数より、渡す相手と、書く一行のほうが結果を左右します。
では、今日できることは、次の三つです。
- チラシで売りたいものと、渡したい相手を、紙に一行ずつ書く
- 事業所が商工会か商工会議所の地区かを調べて、相談の予約を入れる
- 年末商戦に使う分は、補助金に頼らず予算を決める
営業の数字を振り返るときの見方は、こちらの記事にあります。
10月に営業の数字を見直す5つの視点。後半戦の売上を作る保存版
ほかのコラムも、あわせてどうぞ
お金の学び(ウハウハ高等学校):開業資金の公的な相談先・融資制度4つ|借りる前に窓口で聞けること
営業・販路のコラム:コミッターズ コラム
筆者の記事:川口忠大のnote
蓄電池を知る(ENERGY BANK):系統用蓄電池の低圧・高圧比較|法人が費用と接続条件で選ぶ方法
導入先を比べる:系統用蓄電池メーカー比較|法人が製品・導入支援・保守を同じ条件で見る方法
お金の面を読む:系統用蓄電池の充電コストを読む|調達契約と託送料金
情報サイトのトップ:ENERGY BANK(系統用蓄電池の情報サイト)
運営元:コミッターズ
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参考(外部サイト):r6.jizokukahojokin.info、r6.jizokukahojokin.info(2)、中小機構、官公庁
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。