「提案書が、一晩でできました。しかも、文章がきれいです」。そんなとき、社長は少し安心します。ただ、提案書をMuseで作るとき、そのまま契約や募集の場面に出していいのか、迷うところです。
じつは、AI の下書きで事故が起きやすいのは、文章のうまさではなく、中身です。数字の取り違えと、書きすぎた約束がその代表です。なお、どちらも、きれいな文章の中にまぎれて、見つけにくくなります。
この記事では、Meta の日本語の公式ページ、AI事業者ガイドライン、民法の条文で確認できた範囲で、出す前の確認の流れを、質問に答える形で整理します。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
提案書をMuseで作るとき、そのまま出していい?先に結論:下書きは任せて、人が3点を見ます
- Muse は、Meta のパーソナル AI エージェントです。日本では、2026年10月23日から、iOS、Android、muse.ai で提供が始まりました。
- また、Meta は、メールの送信や商品の購入など重要な操作の前には、利用者本人に確認すると説明しています。
- さらに、AI事業者ガイドライン(第1.2版、令和8年3月31日)は、生成 AI の利用に人間の判断を介在させる対策を求めています。
- 出す前に見る点は、誤記、約束のしすぎ、契約書とのずれの3点です。
つまり、下書きに使うこと自体は止めません。ただし、出す前に人が読む工程を、先に決めておきます。
人が条件を決める
Museに下書きを頼む
原本と照合する
約束を点検して承認
提案書をMuseで作るとき、出やすい誤記は?1点目は数字・日付・社名です
提案書の誤記は、目立たない場所に出ます。たとえば、手数料の率、契約の開始日、相手の社名、条項の番号です。いずれも文章としては自然なので、つい読み流してしまいます。ただし、ここが事故のもとです。
数字・日付・社名は、原本と照合します
まず、照合の相手は自社の記録です。料率表、見積書、前の契約書、相手の名刺などを手元に置いて、1つずつ見比べます。
- 数字:料率、金額、期間、数量が、料率表や見積書と同じか
- 日付:開始日、更新日、解約の予告日が、カレンダーと合うか
- 社名・宛名:会社名、部署、肩書が、名刺や登記と同じか
- 条項の番号:本文で引いた番号が、契約書の実物と合うか
なお、見つけた誤記は、Muse に直させるだけで終わりにしません。直した箇所を一覧にしてもらい、その一覧も人が見ます。
筆者は、実データで裏を取ります
実は、筆者は Muse の報告を、そのまま採用しません。自動投稿が止まった日は、原因の候補を1つずつ潰してもらい、シートの実際の行と、投稿済みの行のパターンで裏を取りました。推測だけの報告は、採用しない決まりです。
また、提案書も同じ考え方です。AI が出した数字は、自社の記録で裏が取れたものだけを載せます。
下書きに入れる情報にも線があります
次に、頼むときの線引きです。
- 入れない:既存の代理店の名簿、取引先の未公開の価格、お客様のリスト
- 入れてよい:公開済みの商品説明、ホームページの会社紹介
- 迷うとき:名前や連絡先を外した見本にして試す
Meta は、Muse とのやりとりを AI モデルの学習に利用させないよう、オプトアウトできると説明しています。ただし、会社の情報を入れてよいかは、利用規約を読んで、自分で確認します。
提案書をMuseで作るとき、「約束のしすぎ」は契約になる?
まず、民法第522条は、契約を、契約の内容を示して締結を申し入れる意思表示(申込み)に、相手方が承諾をしたときに成立する、と定めています。また、同じ条文は、法令に特別の定めがある場合を除き、契約の成立には書面の作成その他の方式を必要としないとしています。
そのため、ハンコを押す前でも、提案書やメールの条件が、相手の承諾で約束になる場合があります。ここは筆者の読みです。当てはまるかどうかは、やり取り全体で決まるので、迷うときは弁護士に聞いてください。
約束に見える言葉を、先に洗い出します
Muse に文章を整えてもらうと、言い回しが強くなることがあります。特に、次の3種類は、人が見つけて直します。
- 保証:「保証します」「間違いなく」「常に」
- 独占や範囲:「独占で任せます」「エリア専属です」
- 見込みの数字:「月に何万円は見込めます」
たとえば、従業員が数人の備品卸の会社(仮の例です)が、提案書の「強み」の段落を Muse に整えてもらったとします。そこに「在庫は常に確保します」という一文が加わりました。すると、相手は、その一文を読んで、契約に進みました。
では、後日に欠品が出たとき、この一文はどう扱われるでしょうか。答えは、筆者には決められません。そのため、書く前に消します。
別のサイトの代理店ってなんぼのもん?のコラム「代理店とフランチャイズ、始めるならどちらか」では、最初の営業の手順として、「契約書と資料で、自分が説明してよい範囲(価格、条件、できること)を確かめる」と書かれています。
出典:代理店ってなんぼのもん?「代理店とフランチャイズ、始めるならどちらか」
このように、代理店になる人は、受け取った資料を読んで、説明してよい範囲を決めます。提案書に書いた言葉は、その範囲のもとになります。
契約書はMuseに作らせていい?提案書とのずれを見ます
契約書の下書きに Muse を使うことについて、Meta の公式ページで確認できたことは、ありませんでした。ただし、使うなら、AI事業者ガイドラインのとおり、人間の判断を挟みます。最終の文言は、弁護士に見てもらいます。もちろん、ここは個別の判断です。
そのうえで、3点目の「ずれ」を見ます。提案書と契約書を並べて、次の3つを確かめます。
- 1まず、手数料や期間の数字が、両方で同じか
- 2次に、解約や更新の条件が、提案書の説明と合うか
- 3最後に、提案書にあって、契約書に無い約束がないか
さらに、ずれが見つかったら、提案書を直すか、契約書に入れるかを、人が決めます。
提案書をMuseで作る人から、よくある質問を3つ
まず、「提案書を丸ごと Muse に作らせて、契約に使っていい?」と聞かれます。答えは、下書きまでなら任せやすい、です。つまり、数字、約束にあたる言葉、契約書とのずれは、人が見てから出します。
次に、「Muse で作った資料だと、相手に伝える必要がある?」と聞かれます。答えは、筆者には決められない、です。今回確認した公式ページと条文には、書かれていませんでした。ただし、取引先との取り決めがあれば、それに従います。
最後に、「出したあとで誤記に気づいたら?」と聞かれます。答えは、早めに相手へ伝えて、直した版を書面かメールで渡す、が基本です。そのうえで、どの版が正しいかを残します。
提案書をMuseで作る、今日からできる最初の一歩
まず、いま手元にある提案書を1通選んで、数字・日付・社名に線を引いてください。その後、自社の記録と見比べます。もちろん、Muse に頼む前に、同じ照合を人の手で試すと、確認の手順が見えてきます。
契約の型の選び方は、こちらの記事に書いています。
「代理店契約」のはずが、中身は「販売店」だった?契約の3つの型と、決めておくこと
Muse について気になることは、遠慮なく聞いてください。
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情報サイトのトップ:ENERGY BANK(系統用蓄電池の情報サイト)
運営元:コミッターズ
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参考(外部サイト):about.fb.com、経済産業省、e-Gov法令検索
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