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公開日:2026.10.21 | 更新日:2026.11.04
契約・法務・ルール

代理店に売値を指示していい?分かれ道は「危険と費用」。2026年7月に公取委の指針が改正

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代理店に売値を指示したいと考えて、契約書に「売値は当社が指定する」と書く社長は、少なくありません。「安売りされたら、商品の値打ちが下がってしまう」という心配があるからです。

実は、代理店に売値を指示してよいかどうかは、「代理店」という名前だけでは決まりません。独占禁止法は、売る会社が取引先の売値を決めて守らせることを、原則として禁止しています。ただし、取引先が「単なる取次ぎ」で、実質的に売る会社が自分で売っていると言える場合は、通常は問題にならないとされています。分かれ道は、売れ残りなどの危険と、かかる費用を、誰が負うかです。

公正取引委員会は2026年7月8日に、この部分の指針の改正を公表しました。通常は違法とならない場合の該当例と具体例が、追加されています。そこでこの記事では、仮の3パターンに当てはめて、線引きを整理します。

野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。

代理店に売値を指示していいか、先に結論:見るのは危険と費用を誰が負うか

答えを先に並べます。

売値を「守らせる」範囲は広い

「守らせる」の範囲は、思ったより広いものです。公正取引委員会の指針では、契約で義務づけるだけでなく、従わない取引先への出荷停止や出荷量の削減、リベートの削減、売値の報告を求めること、店頭の価格を見張ることなども、拘束にあたる例として挙げられています。拘束される価格も、確定した価格だけではありません。下限価格や、希望小売価格の一定割合以内といった指示も含まれます。

代理店に売値を指示できる条件になる「危険」と「費用」

通常は問題とならない場合の条件になるのが、危険と費用の負担です。公正取引委員会の指針と、よくある質問のページには、次の内容が示されています。

危険として挙げられているもの:

費用として挙げられているもの:

費用を先に示す3点

さらに、費用の全部は、売る会社が把握しきれないことがあります。そこで指針は、次の3点を、売る会社が取引先に先に示す方法を挙げています。

  1. 1消費者に売るまでの費用を、売る会社が負担すること
  2. 2費用の項目と、負担の方法
  3. 3項目に足りないものがあれば、取引先が協議を申し出られること

つまり、申し出があれば協議に応じて、確認した費用を売る会社が負担すれば、通常は負担したと考えられます。ただし、一部でも取引先に負担させるなら、負担したことにはなりません。

なお、この考え方は、委託販売で、委託する側が危険を負うなら売値を指示してよい、という考え方と、基本的には同じ筋道です。

仕入れて売る型と代理・媒介型の代理店、取次店などを、契約の相手方や売れ残りのリスクを誰が負うかで比べた記事に、「販売代理店・取次店・紹介・フランチャイズの違い」があります。売値を供給元が指示する契約では、自分が危険を負う売買の当事者なのか、委託販売に近いのかを見る点にも触れています。

出典:代理店ってなんぼのもん?「販売代理店・取次店・紹介・フランチャイズの違い」

代理店に売値を指示できるか、仮の3パターンに当てはめる

従業員4人の雑貨メーカー(仮)が、代理店に雑貨を売ってもらう場面で考えます。内容はすべて説明用の仮のものです。

まず、パターン1は手数料型の代理店です。お客様との契約はメーカーが結び、代理店は商談を取り次いで、成約ごとに手数料をもらいます。代理店は商品を仕入れません。売れ残りも、代金の回収も、メーカーの負担です。売値はメーカーが決めて、代理店はその価格でお客様に案内します。

パターン2:買取り型の代理店に売値を指示する場合

買取り型の代理店です。代理店が雑貨を仕入れて、自分でお客様に売ります。売れ残りの在庫も、代金の回収も、代理店の負担です。メーカーが「この価格より安く売らないこと」と指示して、守らなければ出荷を止めます。

パターン3:メーカーが危険と費用を負う代理店の場合

買取り型だが、メーカーが危険と費用を負う代理店です。売れ残りは返品でき、返品の費用もメーカーが負担します。在庫の傷みや代金の回収不能の危険も、メーカーの負担です。保管、輸送、広告の費用も、項目と負担の方法を文書でメーカーが示して、代理店からの協議の申し出にも応じます。

例外・注意:代理店に売値を指示するとき、足をすくわれる点

次の5点は、見落としやすいところです。

「代理店契約」のはずが、中身は「販売店」だった?契約の3つの型と、決めておくこと

希望小売価格と、サービスの代理店

この記事は、公正取引委員会が公表した指針の一般的な考え方の整理です。個別の取引が問題になるかどうかは、具体的な事実関係で判断されます。迷う契約は、弁護士などの専門家や、公正取引委員会の相談窓口に確認してください。

代理店に売値を指示する前の、今日からできる最初の一歩

まず、自社の代理店契約書で、売値の条項を探して、次の3つの質問に答えてみてください。

  1. 1お客様と契約を結ぶのは、誰か
  2. 2売れ残りと、代金の回収不能と、在庫の傷みを負うのは、誰か
  3. 3保管、輸送、広告の費用を払うのは、誰か

このとき、3つとも売る会社なら、売値を決めることと相性がよい形です。ひとつでも代理店が負っているなら、売値は「参考価格」にして、代理店が自分で決められるようにしておきます。

代理店にとって、在庫や代金回収の危険を負わないことは、手数料型のいいところです。その代わりに、売値は売る会社が決める。この交換が成り立つ形かどうかを、契約書の1枚で確かめておくと、あとで揉めません。

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参考(外部サイト):公正取引委員会、公正取引委員会(2)、公正取引委員会(3)、e-Gov法令検索

※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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