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2026.10.22

鮮魚の「解凍」表示は必要?冷凍マグロを冷蔵ケースに出すと、札に書くことが1つ増えます

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冷凍で仕入れたマグロのさくを、朝のうちに解凍して、冷蔵ケースに並べるとします。値札には「本マグロ 中トロ」。切り口はきれいで、色もよく、いい仕上がりです。この札で、よいのでしょうか。

じつは、国の基準では、冷凍したものを解凍して売る魚には、「解凍」と表示することが決まっています。ケースに入れた直後はまだ凍っていたとしても、同じです。ケースの中では凍った状態を保てないから、というのが消費者庁の考え方です。

この記事では、2026年10月20日時点の食品表示基準で、鮮魚の札に書くことを整理します。名称、産地、解凍、養殖の4点です。産地を水域名で書く方法と、書かなくてよい例外もあわせて見ていきます。

野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。

先に結論

消費者に売る生鮮の魚には、次の表示が必要です(食品表示基準 第18条、第19条と別表第24)。

産地には、細かい決まりがあります。国産の天然魚は、水域名を書きます。水域名の表示が難しいときは、水揚げした港の名前か、その港がある都道府県名で代えられます。国産の養殖魚は、主たる養殖場がある都道府県名です。

かば焼きや刺身の盛り合わせのような加工食品は、別のルールです。この記事の対象は、切る前後の生の魚介です。凍ったまま冷凍ケースで売る魚の話でもありません。

運用の考え方は、消費者庁の食品表示基準の質疑応答集(第3章 生鮮食品)で確認しました。

売り場で見る、魚ごとの札

たとえば、従業員3人の魚屋さん(仮の例)のケースを見てみます。

3つ目のブリのように、水揚げされたままの魚は、札がいちばん簡単です。いちばん見落としやすいのは、1つ目と2つ目です。仕入れたときは冷凍でも、売り場に出すときは「解凍」の札が要ります。

質疑応答集には、マグロのさくの例が載っています。凍った状態のさくを冷蔵ケースで売る場合は、ケースに入れた直後が冷凍でも、凍結状態を保てないので、解凍の表示が必要です。

朝の作業の流れは、こうなります。

  1. 1納品書で、冷凍かどうか、産地、養殖かどうかを確認します
  2. 2冷凍で届いた魚を解凍したら、札に「解凍」を足します
  3. 3札を、ケースの中の魚の近くに立てます
  4. 4納品書は、札の根拠として、すぐ出せる場所に置いておきます

産地は水域名。例は「三陸沖」や「日本海西部」

国産の天然魚の産地は、原則として水域名です。水産庁のガイドラインでは、実際の生産水域を表し、かつ一般に理解される水域名を書くとされています。例として、次のようなものが挙がっています。

水域名の表示が難しい場合は、水揚げした港名か、水揚げした港が属する都道府県名で代えられます(第18条)。質疑応答集は、難しい場合の例として、水域をまたいで漁をする場合を挙げています。

水域名に港名を足して書く方法もあります。たとえば「日本海西部(○○漁港)」のような形です(仮の例です)。水産庁のガイドラインは、港名や都道府県名を、水域名に添えて使えるとしています(第18条にも、水域名に港名や都道府県名を併記できるとあります)。

産地のまとめは、次のとおりです。

この産地を、売り場で毎回調べる必要はありません。仕入れ先の納品書や送り状に、水域名、養殖の別、解凍の別が書いてあれば、札は書き写すだけです。水産庁のガイドラインでも、生産者や卸の側は、送り状や伝票に水域名を書いて、販売先に伝えるとされています。

札を立てる場所と、お店向けの扱い

食品表示基準は、表示の場所も決めています(第22条)。

3つ目は、飲食店や小売店に魚を卸す側の話です。納品書に、名称、産地、解凍・養殖の別を書いておけば、受け取る店は、メニューや売り場の札を書きやすくなります。仕入れ先に選ばれるときの条件については、こちらの記事にまとめています。

仕入れ先をもう1本持つ。飲食店と、選ばれる売り手の条件

ただし、例外と注意

まず、表示が要らない場合です。食品表示基準の第18条は、容器包装に入れないで、かつ、生産した場所で販売する場合を外しています。水産物でいう「生産した場所」とは、生産者が、水揚げした場所で、自分で消費者に売る場合のことです(質疑応答集)。

注意したいのは、「生産」の意味です。水産物の「生産」は漁ろうそのものを指し、切断や冷凍は含まれません。小売店で魚を切り身や刺身にしても、表示の義務がなくなるわけではありません。

次に、飲食店で食べてもらう場合です。食品表示基準は、設備を設けて飲食させる場合には適用されません(第18条)。メニューの「天然」や産地の書き方は、景品表示法の問題になります。

3つ目は、「天然」の書き方です。養殖に当たらない魚が、そのまま「天然」と書けるわけではありません。質疑応答集では、事実として天然であれば表示は可能とされています。ただし、実際より著しく優良だと誤認させる用語や、品質を誤認させる文字・写真は、表示してはならないとされています(第23条)。産地や天然の根拠は、納品書で確認できるようにしておきましょう。

4つ目は、刺身用のさくや切り身です。一度も凍らせていない、生食用の切り身やむき身をパックに入れて売るときは、別表第24により、表示の項目が増えます。主なものは、次のとおりです。

ふぐなど一部の魚介には、別表第24に専用の項目もあります。刺身を扱うときは、保健所にも相談して、表示と衛生の両方を確認しておくと安心です。

今日からできる最初の一歩

営業の目線で見ると、鮮魚の札は、お客様への最初の説明です。「冷凍を解凍した魚です」「○○沖の天然です」と、札に正直に書いてある店のほうが、お客様は安心して買えます。

最初の一歩は、売り場の札を、ケースの前で1枚ずつ読み直すことです。解凍した魚の札に、「解凍」の文字があるかを見ます。そのうえで、仕入れ先に、納品書へ水域名と、解凍・養殖の別を書いてもらえるか聞いてみます。この1回の確認が、年末の忙しい時期の札づくりを、ずっと楽にします。

このフロア全体の案内は、こちらにまとめています。

「B1F 農産・水産フロア」の歩き方。産地を見て選ぶ売り場と、食まわりのお金のルール

運営元:コミッターズ

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参考(外部サイト):e-Gov法令検索、消費者庁、農林水産省、農林水産省(2)

※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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