年末が近づくと、通帳の残高が気になります。お金の置き場所の比べ方を知らないまま、増えた分を全部ひとつの口座に寄せている社長は少なくありません。
ただし、置き場所には、それぞれ役割があります。すぐに払うお金と、しばらく動かさないお金と、社長自身の将来に備えるお金は、同じ箱に入れるものではありません。
この記事では、お金の置き場所の比べ方を、普通預金と定期預金と小規模企業共済の三つの仕組みで整理します。優劣や順位は付けません。年末の点検の順番まで書きます。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
お金の置き場所の比べ方、先に結論
まず、結論から言います。お金の置き場所の比べ方は、利回りの高さから入るものではありません。比べる順番は、使う時期、引き出しやすさ、守られ方、税金の扱いの順です。
また、普通預金は、日々の支払いに使うお金の場所です。さらに、定期預金は、使う時期が決まっているお金を預ける場所です。なお、小規模企業共済は、会社の口座ではなく、社長個人が自分の退職金づくりに使う仕組みです。
つまり、三つは競い合う商品ではありません。役割の違う棚です。年末は、その棚に合ったお金が入っているかを見る時期です。
普通預金と定期預金、比べる軸は引き出しやすさです
まず、普通預金を見ます。普通預金は、入金と支払いの受け口です。建設会社なら、元請けからの入金も、職人さんへの支払いも、この口座を通ります。そのため、残高の増減そのものが、資金繰りの体温計になります。
次に、定期預金を見ます。定期預金は、期間を決めて預ける預金です。たとえば、来年の設備の頭金や、納税のために分けておくお金が向きます。一方で、途中で解約すると、約束した利息の扱いが変わります。使う時期が読めないお金は、定期預金に寄せすぎないほうが無難です。
また、守られ方の軸もあります。預金保険制度では、利息のつく普通預金や定期預金は、金融機関ごとに合算され、元本1,000万円までと破綻日までの利息が保護されます。なお、利息のつかない決済用の預金は、全額が保護される扱いです。
別のサイトのコツコツおかね村のコラム「お金の置き場所を選ぶチェック項目(預貯金・保険・投資)」では、「ローリスク・ハイリターンの金融商品はありません」と書かれています。
出典:コツコツおかね村「お金の置き場所を選ぶチェック項目(預貯金・保険・投資)」
そのため、預金の比べ方も、利息の数字だけでは決まりません。支払いの速さと、守られる範囲を先に見ることが、会社の預金では大切です。
建設会社の年末に起きやすい偏り
たとえば、年末は工事の入金が重なります。すると、普通預金の残高が一時的に膨らみます。ただし、その中には、年明けの外注費や材料費として出ていくお金が混ざっています。
さらに、納税の予定額まで同じ口座に眠っていると、残高の見た目と、自由に使える額がずれます。筆者としては、まず出ていく予定のお金を書き出すことを勧めます。次に、残りを置き場所ごとに分けます。この順番なら、比べ方はぶれません。
小規模企業共済は、会社の預金とは別の棚です
次に、小規模企業共済を見ます。これは、中小機構が運営する、個人事業主や会社の役員のための積み立てによる退職金の仕組みです。会社の預金とは違い、掛金は社長個人の名義で積み立てます。
掛金の月額は、1,000円から7万円まで、500円単位で決められます。また、払った掛金は、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象です。ただし、これは所得から差し引く扱いです。会社の経費に入る話ではありません。
なお、引き出しの扱いには注意が要ります。納付月数が12か月未満で任意解約した場合は、解約手当金は出ません。さらに、納付月数が240か月(20年)未満で任意解約した場合は、解約手当金が掛金の合計を下回ります。
つまり、共済は、近いうちに使うお金の置き場所ではありません。社長の将来の受け取りに向けた、長い棚です。年末の比べ方では、会社の資金繰りの表とは別の紙に書くことが大切です。
小規模企業共済そのものの仕組みは、こちらの記事にまとめています。
社長の退職金は自分で作る。小規模企業共済は「全額所得控除」で、受け取るときも優遇される
なお、置き場所ごとの線引きで迷う場面もあります。その場合は、コミッターズの60分の無料相談でお答えします。
年末の点検で迷いやすい場面
たとえば、社長個人の定期預金と、会社の普通預金が、同じ銀行に並んでいる場面です。見た目は一つの残高に見えます。ただし、守られ方の数え方も、使える目的も、持ち主ごとに分かれます。そのため、通帳を並べるときは、名義で分けることが先です。
また、利息の小さな違いで、支払い用の口座まで動かす場面もあります。なお、会社の預金では、振込や引き落としの段取りが崩れるほうが、よほど大きな手間になります。比べる軸の順番を守ることが、結局は近道です。
さらに、共済の掛金を、会社の口座から直接払っているつもりになる場面もあります。共済は社長個人の契約です。お金の出どころと名義がずれていないかも、年末に確かめる点です。ずれに気づいたら、顧問の税理士に早めに伝えます。
お金の置き場所の比べ方、年末の点検の順番
まず、手元の口座と契約を書き出します。次に、それぞれのお金が、いつ出ていく予定かを見ます。さらに、守られ方と税金の扱いを確かめます。最後に、棚と中身がずれている場所だけを動かします。
手順は、次のとおりです。
- 1まず、会社の口座と、社長個人の契約を分けて書き出します
- 2次に、年明けの支払いと納税の予定額を、普通預金から差し引いて見ます
- 3さらに、使う時期が決まっているお金を、定期預金の棚で確かめます
- 4最後に、小規模企業共済の掛金が、無理のない額かを見直します
また、点検は令和8年の年末の制度で確かめます。制度は見直されることがあるため、契約先の最新の案内もあわせて見ます。なお、個別の判断は、顧問の税理士や、加入先の窓口で確かめます。
お金の置き場所の比べ方、今日からできる一歩
まず、通帳と契約書を並べることから始めましょう。具体的には、口座ごとに、役割を一言で書きます。次に、出ていく予定のお金に印を付けます。
さらに、その印の付かないお金だけを、次の棚の候補にします。この一手間が、営業の入金を守りの形に変える入口になります。書類の置き場を決めることも、立派な資金繰りの仕事です。
このように、比べ方は、商品選びの前にあります。役割が見えている社長は、年末の残高にも慌てません。また、決めた役割はメモに残しておきます。来年の年末も、同じ物差しで点検を始められます。
なお、点検の結果を、取引先への提案に生かす場面もあります。たとえば、手元の資金に余裕の時期が見えていると、値引きの相談にも落ち着いて応じられます。逆に、出ていく予定が多い月は、無理な約束を避けられます。
つまり、置き場所の点検は、守りの作業に見えて、営業の判断の土台にもなります。年末の一度の点検が、年明けの動き方まで決めます。そのため、面倒な事務として後回しにせず、予定表に入れておくことが大切です。
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運営元:コミッターズ
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参考(外部サイト):預金保険機構、預金保険機構(2)、中小機構、中小機構(2)、www.reiwa-sogoshosha.com
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