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2026.10.26

会社の備蓄食品、期限前にフードバンクへ寄附していい?食品寄附ガイドラインの合意書と、期限切れの扱い

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倉庫の棚の奥から、非常食の段ボールが出てきました。賞味期限を見ると、もう来年の春です。捨てるのはもったいないです。かといって、誰かに渡していいものなのか。社長の頭の中は、この二択で止まりがちです。

じつは、国の食品寄附ガイドラインは、災害用備蓄食品を出す会社も「食品寄附者」に含めています。備蓄食品の寄附は、最初から想定されているのです。ただし、渡す前に決めておくことがあります。中心になるのは、「合意書」と「期限の線引き」です。

この記事では、消費者庁と農林水産省の資料をもとに、備蓄食品をフードバンクへ寄附するときの条件、合意書に入れる項目、寄附先の探し方、事務所での入れ替え手順を整理します。確認した資料の日付は、本文の中に書いておきます。

野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。

備蓄食品の寄附は、出せる。ただし「合意書」と「期限の線引き」が先

食品寄附ガイドライン(正式名称は「食品寄附ガイドライン~食品寄附の信頼性向上に向けて~」)は、食品寄附等に関する官民協議会が、令和6年12月25日に公表したものです。農林水産省のページで確認できます。法律そのものではなく、官民で決めた基準と留意事項です。

このガイドラインの定義では、食品寄附者には、余剰食品を出す事業者のほか、災害用備蓄食品等を提供する事業者も入っています。備蓄食品を持っている会社は、対象に含まれます。

押さえる点は3つです。

3つ目の「先に伝える」は、地味ですが大事です。ガイドラインには、寄附先が決まったあと、食品寄附者は食品の情報(名称、数量、保存の方法や保存上の注意点、消費期限又は賞味期限、アレルゲン等)を事前に提供する、と書かれています。箱を渡してから説明するのではなく、渡す前に表にして見せる、という順番です。

備蓄食品の消費期限と賞味期限は、切れたあとの扱いが別物です

ここがいちばん勘違いされやすいところです。

消費期限については、ガイドラインははっきり書いています。保管中の食品が消費期限を過ぎた場合や、汚れ・破損などで食品衛生上の問題が出た場合は、食品を提供しない、という扱いです。備蓄食品でも、この点は同じです。

賞味期限は、少し事情が違います。ガイドラインは、賞味期限を「定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限」と説明し、過ぎたからといって直ちに安全性を欠き、食べられなくなるわけではない、と書いています。そのうえで、賞味期限までの期間に余裕がない場合(期限切れを含む)も、食品ロス削減の観点から、寄附先との合意のもとで寄附を検討することが望ましい、としています。

ただし、条件があります。

この2つを満たさないものは、提供すべきではないとされています。つまり、箱がつぶれている、水に濡れた跡がある、直射日光の当たる窓ぎわに何年も置いていた、というものは、賞味期限の日付以前の問題で対象外です。

もう一つ大事なのは、「出せる可能性がある」と「受け取ってもらえる」は別だという点です。賞味期限が過ぎた食品を受け取るかどうかは、寄附先が合意するかどうかで決まります。会社の側から「期限が切れていても食べられるはず」と押し通すものではありません。

備蓄食品の寄附で、合意書に入れる8つの項目

寄附は、気持ちだけで渡す話ではなく、あとで「言った、言わない」にならないよう、書面にしておく話です。

別のサイトのちょいエコ部のコラム「食品ロスを減らす事業者向けの選択肢の比較」では、食品寄附について、「事前に寄附先と協議して合意書を結び」、品目や数量、期限、保存方法などを共有することが求められる、と書かれています。

出典:ちょいエコ部「食品ロスを減らす事業者向けの選択肢の比較」

ガイドラインが、契約書または合意書に書くよう求めている事項は、次の8つです。

  1. 1食品寄附者が寄附食品の品質をどう確保するか(加工品は、保存の方法、期限、アレルゲンなど)
  2. 2寄附先が転売などをしないこと
  3. 3寄附先での、寄附食品の品質管理
  4. 4寄附先での取扱いの記録・保存と、寄附者への結果の報告
  5. 5寄附食品の品質に関わる責任の所在
  6. 6寄附食品に事故が起きたときの対応
  7. 7提供先の範囲
  8. 8合意書の有効期間

継続して寄附する予定があるなら、最初の段階で、包括的な合意書を作ることもできるとされています。単発の入れ替えのつもりでも、毎年やるなら、最初から包括的に決めておくほうが、次の年が楽です。

記録についても書かれています。食品寄附者は、寄附食品の取扱いや提供に関する情報を記録し、これを1年以上保存するとともに、寄附先などから求められたら開示・報告する、というものです。合意書、品名と数量の表、受け取りの書類を、ひとつのフォルダにまとめておくと迷いません。

寄附先の探し方と、仮の事務所での入れ替え手順

寄附先は、ガイドラインの手続き例の中で、次のように書かれています。社会福祉協議会などに相談すること、農林水産省のホームページで公開されているフードバンク活動団体の一覧を参考にすること、の2つです。

認証フードバンクという目印

もう一つ、目印になるのが、「認証フードバンク」です。フードバンク認証制度によるものです。消費者庁のページによると、この制度は、食品寄附ガイドラインに示された遵守事項に合っているかを、第三者が評価する仕組みです。申請の受け付けは、令和8年4月1日(水曜日)から随時行われています。審査は、書面審査のあと、現地での活動状況の確認まで行われ、合格すると認証フードバンクとして認証されます。

認証を受けたフードバンクは、「認証フードバンクリスト」にまとめられています。令和8年7月28日時点では、4団体です。数はまだ多くありません。ですから、近くに認証団体がなければ、寄附できない、という話ではありません。認証の有無は、寄附先を選ぶときの材料の一つ、くらいに考えると無理がありません。

寄附先を選ぶときは、次の点も確認します。ガイドラインでは、寄附食品の種類(常温保存品、冷蔵・冷凍品、生鮮食品、災害用備蓄食品のどれか)や量に応じて、その食品を適切に扱える寄附先かを確認して選ぶことが望ましい、とされています。食品の種類、量、引き渡し場所、日時、引き渡し方法は、寄附先の受け入れ体制しだいです。先に連絡して、条件をすり合わせます。

仮の事務所での入れ替え手順

寄附先の探し方が分かったところで、入れ替えの流れを仮の例で並べてみます。たとえば、従業員が数人の事務所に、アルファ米と缶詰と乾パンの箱が、棚に並んでいるとします(仮の例)。入れ替えの手順は、次のとおりです。

  1. 1棚卸しをして、品名、数量、期限、保存状態(開封、破損、水濡れがないか)を表にする
  2. 2消費期限が切れているもの、破損や汚れがあるものは、寄附に回さない(処分する)
  3. 3期限が切れる前に、寄附先へ連絡して、受け入れられる種類・量・引き渡し日を確認する
  4. 4合意書を結び、品名、数量、期限、保存方法、アレルゲンを事前に伝える
  5. 5受け取りの書類をもらい、合意書や表と一緒に保存する(記録は1年以上)
  6. 6空いた棚に、新しい備蓄を補充する

手順の3番、「期限が切れる前に」が肝心です。賞味期限が切れたあとでも、寄附先との合意があれば検討はできますが、受け取るかどうかは寄附先しだいです。残り時間に余裕があるうちに動くほうが、選べる寄附先が増えます。

備蓄食品の置き場所の点検

備蓄の置き場所も見直したいところです。ガイドラインは、食品衛生法の営業者でない場合(災害用備蓄食品を提供する事業者などが例にあたります)に、保管施設とその周辺を定期的に清掃すること、採光・照明・換気を十分に行うこと、ねずみや害虫が入らないようにすることなどを、衛生管理の留意点として挙げています。備蓄棚のある部屋の点検項目として使えます。

ただし:気をつけたい3つのこと

1つ目は、寄附する前の品質は、寄附する側の責任だという点です。ガイドラインは、食品寄附者は寄附するまでは原則として食品の品質を保証し、寄附前の原因による品質や食品衛生上の問題は、原則として食品寄附者の責任になる、としています。「寄附だから、多少のことは大目に見てもらえる」とは考えないでください。

2つ目は、税金の扱いです。ガイドラインによると、法人が食品を寄附した場合は、一般には寄附金として、限度額までの損金算入になります。食品の提供が、実質的に自社の「商品廃棄」として行われるものであれば、提供に要する費用を損金に算入して差し支えない、という整理も紹介されています。農林水産省が公開している、国税庁確認済みの資料にも、同じ考え方が載っています。ただし、これは「商品廃棄」の話です。会社の備蓄食品は、売り物の商品ではありませんから、そのまま当てはまるのかは、これらの資料だけでは分かりません。ガイドラインも、詳しい税務上の取扱いは、税理士または所轄の税務署に確認するよう書いています。決算に関わるので、寄附する前に、顧問税理士へ相談してください。

3つ目は、断られることもある、という点です。寄附先には、保管場所や運ぶ人手の都合があります。種類や量によっては、受け入れられないこともあります。1か所に断られたら、別の団体に聞けばよいだけです。

また、ガイドラインが示しているのは基準と留意事項です。自社のケースへの当てはめに迷うときは、寄附先のフードバンク、保健所、顧問税理士などの専門家に相談してください。

備蓄食品、今日からの一歩:棚卸し表を一枚つくる

まず、備蓄食品の棚卸し表を一枚つくります。品名、数量、期限、置き場所の4つの列があれば十分です。これができると、期限の早い順に並べられ、「いつまでに寄附先を探せばいいか」がひと目で分かります。

作った表を見ながら、次の備蓄の入れ替え時期を、手帳やカレンダーに入れておくと、来年の同じ迷いを防げます。事務所の年末の見直しは、こちらのチェックリストも参考になります。

10月に見直したい、小さな会社の5つのチェック(2026年版)

棚卸しは、営業でも同じです。見込み客のリストも、放っておくと、期限が切れた案件が棚の奥で眠ります。連絡が止まって久しい相手を一覧にして、「まだ動かせるか」「そっと閉じるか」を決めるだけで、次の一手がはっきりします。

なお、SDGsコーナー全体の歩き方は、こちらにまとめています。

「SDGsコーナー」の歩き方。SDGsで事業がどう変わるかと、事業に合う取り組みの選び方

ほかのコラムも、あわせてどうぞ

お金の学び(ウハウハ高等学校):家の屋根の太陽光は、電気をいくらで売れる?2026年度の住宅用の買取価格

営業・販路のコラム:コミッターズ コラム

筆者の記事:川口忠大のnote

蓄電池を知る(ENERGY BANK):系統用蓄電池メーカー比較|法人が製品・導入支援・保守を同じ条件で見る方法

導入先を比べる:系統用蓄電池の低圧・高圧比較|法人が費用と接続条件で選ぶ方法

お金の面を読む:系統用蓄電池の充電コストを読む|調達契約と託送料金

情報サイトのトップ:ENERGY BANK(系統用蓄電池の情報サイト)

運営元:コミッターズ

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参考(外部サイト):消費者庁、消費者庁(2)、農林水産省、農林水産省(2)

※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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