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2026.10.24

口コミのお願いに特典を付けたらステマ?「星5で割引」はアウト、内容を指定しない割引は通常セーフ

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地図アプリで店を探すお客様は、星の数と口コミを見て決めます。サービス業の社長なら、身にしみている話です。そこで受付に貼り紙をしたくなります。「口コミを書いてくれた方は、次回10%オフ」。さらに欲が出て、「星5をつけてくれた方は」と書き足したくなる瞬間があります。そこが分かれ道です。

2023年10月1日から、景品表示法でステルスマーケティング(ステマ)が規制されています。消費者庁の「よくある質問」によると、口コミを書くことを条件に割引をするだけなら、内容を指定していない限り、通常はステマに当たりません。ところが「星5をつけること」を条件にした瞬間、その口コミは「お店自身の広告」として扱われます。広告だとわかる表示がなければ、違反です。実際に、地図アプリの星5投稿を条件に割引をしたクリニックへ、措置命令が出ています。

この記事では、個人のお客様を相手にするサービス業の会社が、口コミをお願いするときの線引きを、消費者庁の「よくある質問」と公表事例で整理します。2026年10月時点で消費者庁が公表している告示、運用基準、「よくある質問」にもとづく内容です。

野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。

先に結論

お願いしてよいのは「感想を書いてください」まで、と覚えておくと迷いにくくなります。

消費者庁の「よくある質問」で見る、セーフとアウトの境目

消費者庁の「よくある質問」には、サービス業にそのまま当てはまる問いがあります。問6は、「サービスを利用したあとに予約サイトへ口コミを投稿することを条件に、割引価格で提供してよいか」という相談です。

答えは2段に分かれています。

  1. 1内容の指示がない場合:口コミを促す目的で割引をする程度の関係で、割引程度の対価であることも踏まえると、表示の内容の決定に関与しているとはいえない。だから通常は「事業者の表示」に当たらない、という考え方です
  2. 2「星5」を条件にした場合:事業者が投稿の内容を決めているといえるので、「事業者の表示」に当たります。品質や内容、価格などを推奨するコメントを条件にする場合も同じです

問7では、レビューを書いた人に次回使えるクーポンを渡す場合も、問6と同じように考えられる、とされています。

仮の貼り紙の文面で並べると、次のようになります。

口頭でも同じです。受付で「できれば星5でお願いしますね」と添えるのは、条件を付けているのと変わらない、と考えておくのが安全です。

実際に措置命令が出た例

消費者庁は、令和6年6月に、東京都内で内科クリニックを運営する医療法人に措置命令を出しました。インフルエンザワクチンの接種に来た人に、Googleマップのクリニックの口コミ欄へ星5か星4の投稿をすることを条件に、接種費用を割り引くと伝えていた事案です。割引を受けた人の口コミは事業者の表示と認められ、広告だとわからない表示として、景品表示法違反とされました。命令の内容は、表示をやめること、違反だったことを一般消費者に知らせること、再発防止策をとることなどです。

令和7年3月にも、歯列矯正の医療機関に措置命令が出ています。Googleマップに星5の評価と感想を投稿することを条件に、5,000円分のクオカードを渡すか、治療費から5,000円を割り引くと伝えていた事案です。

どちらも、割引や謝礼そのものより、「星5」という中身の指定が決め手になっています。小さな医院でも対象になる、という点も覚えておきたいところです。

ほかにも、うっかり踏みやすい3つの場面

口コミの依頼以外にも、「よくある質問」には小さな会社がやりがちな例が載っています。

  1. 1悪い口コミの書き直しを頼む:事実と違う内容や、他社の名誉を傷つける内容を直してほしいと頼むだけなら、事業者の表示には当たりません。一方、お客様の感想を自社に都合のよい内容に改めるよう頼むと、直したあとの口コミは事業者の表示になります(問9)
  2. 2「お客様の声」をサイトに載せる:アンケートの回答を無作為に選んでそのまま引用するなら問題ありません。好意的な回答だけを選んだり、「良い点」だけを抜き出したりすると、事業者の表示になります(問10)
  3. 3社員が自社のサービスを投稿する:社員が感想を書いただけで、ただちに違反になるわけではありません。ただし、役員や管理職、販売促進の担当者などが宣伝する場合は、事業者の表示に当たるとされています。所属を書くだけでは足りないこともあります(問3・問12)

事業者の表示に当たる場合でも、「広告」「PR」「○○社から依頼を受けて投稿しています」など、広告だとはっきりわかる形にすれば、ステマ規制の違反にはなりません。

ただし、もう一つの関門があります。法律でセーフでも、口コミを載せるサイトの規約は別です。たとえばGoogleは、ヘルプページで、報酬に基づく口コミや評価を重く受け止めているとし、ポリシー違反があったビジネス プロフィールでは、一定期間新しい口コミを受け付けられなくする、既存の口コミを非公開にする、警告を表示するといった制限があり得ると案内しています。特典を付ける前に、投稿先の規約を読んでおきます。

広告の言葉選びで景品表示法に触れる話は、別の角度からこちらの記事でも扱っています。

「環境にやさしい」と書く前に。SDGsウォッシュと景品表示法の、ゆるくて怖い関係

今日からできる最初の一歩

今日やることは、口コミのお願いに使っている言葉を、全部書き出すことです。

書き出したら、「星の数」「ほめ言葉の指定」「良い点だけ」の3つが入っていないかを確かめます。入っていたら、「率直なご感想をお聞かせください」に差し替えます。

口コミは、頼み方より、頼む相手とタイミングで集まり方が変わります。サービスに満足してくれた直後のお客様に、短く、内容を指定せずにお願いします。この進め方は、紹介をお願いするときの考え方とよく似ています。紹介営業の頼み方は、こちらの記事にまとめています。

紹介営業の型。信用を借りる側が守る5つと、頼む前にそろえる3点セット【保存版】

個別のキャンペーンが規制に当たるかどうかは、中身と見せ方で変わります。迷うときは、消費者庁や都道府県の景品表示法の窓口、弁護士に確認してください。

運営元:コミッターズ

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参考(外部サイト):消費者庁、消費者庁(2)、消費者庁(3)、消費者庁(4)

※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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