新規取引先の実在確認が必要になるのは、こんな場面です。初めての取引先から、請求書が届きました。会社の名前は初めて聞きます。住所にも覚えがありません。ふだんは気にならないのに、金額が大きいときだけ急に不安になるのが、人情です。
じつは、その請求書に、確認の入口がもう載っています。「T」で始まる登録番号です。つまり、法人なら、「T」のあとの13桁は、そのまま法人番号になっています。そして、国税庁の2つの公式サイトに同じ数字を入れるだけで、名称と所在地を公的なデータと見比べられます。
この記事では、請求書の番号から確認する3ステップと、見つからないときの考え方をまとめます。また、確認できることと、確認できないことの線引きも書きます。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
新規取引先の実在確認、先に結論:請求書の13桁が入口になる
法人の登録番号は、「T」と法人番号の組み合わせです。つまり、請求書に番号があれば、そこから2つの公式サイトにつなげます。では、手順は次のとおりです。
- 1請求書で、「T」で始まる登録番号を探す
- 2インボイス公表サイトに、「T」を除いた13桁を入れて、法人名と本店の所在地を見る
- 3法人の場合は、同じ13桁を法人番号公表サイトにも入れて、名称と所在地が請求書や名刺と合うかを見る
なお、この記事は、令和8年10月時点の国税庁の公式ページで確認した内容です。
ただし、これは「名前と住所が公的なデータと合うか」を見る作業です。支払い能力や、窓口の人が本物かどうかまでは分かりません。ここは次の見出しで整理します。
また、届いた請求書そのものの保存ルールは、別の記事にまとめています。
メールで届いたPDFの請求書、「印刷して紙で保管」はじつはNGです
ステップ1と2:インボイス公表サイトに登録番号を入れる
まず、登録番号の作りを押さえます。国税庁の説明では、次のようになっています。
- 法人番号を持つ課税事業者:「T」と法人番号(13桁)
- 個人事業者や人格のない社団など、それ以外の課税事業者:「T」と13桁の数字
ただし、後者の13桁には、マイナンバーは使われません。法人番号とも重複しない、事業者ごとの番号です。
次に、インボイス公表サイトでは、「T」を除いた13桁の半角数字を入れて検索します。また、一度に10件まで調べられます。出てくる情報は、事業者の種類によって違います。
- 法人:法人名、本店または主たる事務所の所在地、登録番号、登録年月日、登録取消(失効)年月日
- 個人事業者:氏名、登録番号、登録年月日、登録取消(失効)年月日(住所は公表されません)
新規取引先の実在確認の仮の例
たとえば、初めて頼む小さな印刷会社(仮の例)から請求書が届いたとします。登録番号の「T」を除いた13桁を入れたところ、法人名と本店の所在地が出ました。請求書の会社名と住所に一致していれば、まずは一安心です。一方、一致しないときは、入力ミスのほか、社名の変更や移転も考えられます。決めつけず、取引先に聞いてみましょう。
別のサイト(おまかせ係長)のコラム「免税事業者への支払いと消費税|10月からの7割控除」では、取引先が登録しているかどうかの確かめ方として、公表サイトで調べられること、「T」を除いた13桁の数字を半角で入力すること、一度に最大10件まで調べられることが書かれています。
出典:おまかせ係長「免税事業者への支払いと消費税|10月からの7割控除」
ステップ3:法人番号公表サイトで、名称と所在地を見比べる
まず、法人番号は、株式会社などの法人が持つ13桁の番号です。なお、国税庁は、利用範囲の制約がなく、誰でも自由に利用できると説明しています。
法人番号公表サイトでは、法人番号の指定を受けた法人の「基本3情報」を検索できます。基本3情報とは、商号または名称、本店または主たる事務所の所在地、法人番号のことです。また、名称と所在地から探す方法と、法人番号から探す方法があります。
さらに、名刺、契約書、請求書の3つで、会社名と所在地がそろっているかも見ておきます。どれか1つだけ違う場合は、社名の変更や移転の途中かもしれません。そのまま進めず、理由を聞いてから進めましょう。
そして、ここで効くのが、さきほどの13桁です。名前だけで探すと、似た名前の会社が何社も出てきます。つまり、番号で入れれば、1社に絞れます。
公表サイトには、「公表以後の変更履歴を検索対象に含める」という選択肢もあります。古い名刺と今の請求書で社名が違うときは、これを使うと、名称や所在地が変わった経緯をたどれます。
ただし、注意点が一つあります。個人事業者の13桁は、法人番号ではありません。その場合、個人事業者の取引先は、法人番号公表サイトでは出てきません。なお、個人の取引先は、インボイス公表サイトで氏名を見るところまでが入口です。
見つからないとき、分かること・分からないこと
請求書に登録番号がなかったり、公表サイトで見つからなかったりしても、すぐに怪しいと決めつけないほうが安全です。登録を受けていない事業者は、請求書に登録番号を書けません。理由はさまざまです。
そこで、番号が見つからないときは、取引先に今の登録状況をたずねます。聞き方の例は、次のとおりです。
「請求書の登録番号を公表サイトで確認したところ、見つかりませんでした。いまの登録の状況を教えていただけますか。番号の記載に誤りがあれば、お知らせください。」
責める言い方にしないのがコツです。実は、番号の書き間違いは、意外とよくあります。返事の内容と、確認した日は、台帳にメモしておきます。
新規取引先の実在確認で分かること、分からないこと
このやり方で分かることと、分からないことを分けておきます。
分かること:
- 法人名と本店の所在地が、公的なデータと合うか
- インボイスの登録があるか、取り消されていないか
- 社名や所在地が変わった履歴
分からないこと:
- 支払い能力や、事業の中身
- 窓口の人が、本当にその会社の人か
- 契約の内容に問題がないか
登記事項証明書という次の手
もう一歩進みたいときは、登記事項証明書があります。法務省の案内では、会社・法人の登記事項証明書は、どなたでも、所定の手数料を納めて請求できます。取引の金額が大きいときや、契約書を交わす前に検討してみてください。
なお、ここまでの確認は、取引先を疑うためのものではありません。「確認しました」と言える状態にしておくための、ふだんの手続きです。
今日の一歩は、取引先の台帳に「確認日」の列を足すこと
営業の現場では、新規の取引先が増えるほど、確認が後回しになりがちです。そこで、取引先の台帳に、次の項目を足します。
- 会社名と本店の所在地
- 登録番号(「T」から始まる番号)
- 公表サイトで確認した日
新規取引先の実在確認、取引前の5項目
取引を始める前の確認は、次の5項目で足ります。
- 1請求書、名刺、契約書で、会社名と所在地がそろっている
- 2登録番号をインボイス公表サイトに入れて、法人名と所在地が出る
- 3法人は、同じ13桁を法人番号公表サイトに入れても、同じ名称と所在地が出る
- 4見つからないときは、取引先に登録状況を聞いて、返事をメモする
- 5確認した日を、台帳に書く
そのため、一度書けば、次に請求書が届いたとき、番号が同じかどうかを見るだけで済みます。
一方、逆の立場も同じです。新規の相手に営業するときは、自分の請求書や名刺の登録番号も、相手に確認される側になります。番号と社名と所在地がそろっているだけで、初めての相手にも信用を渡しやすくなります。
さらに、紹介で来た相手も、同じ手順で確認しておくと安心です。紹介営業の進め方は、こちらの記事にあります。
紹介営業の型。信用を借りる側が守る5つと、頼む前にそろえる3点セット【保存版】
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お金の学び(ウハウハ高等学校):開業資金の公的な相談先・融資制度4つ|借りる前に窓口で聞けること
営業・販路のコラム:コミッターズ コラム
筆者の記事:川口忠大のnote
蓄電池を知る(ENERGY BANK):系統用蓄電池の低圧・高圧比較|法人が費用と接続条件で選ぶ方法
導入先を比べる:系統用蓄電池メーカー比較|法人が製品・導入支援・保守を同じ条件で見る方法
お金の面を読む:系統用蓄電池の充電コストを読む|調達契約と託送料金
情報サイトのトップ:ENERGY BANK(系統用蓄電池の情報サイト)
運営元:コミッターズ
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参考(外部サイト):国税庁、国税庁(2)、国税庁(3)、国税庁(4)、国税庁(5)、法務省
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
会社の現場の工夫や取り組みは、みんなの企業新聞の記事「利用規約で必ず確認すべきポイント」でも紹介しています。あわせてご覧ください。