社長個人の話で、年末に慌てるのがふるさと納税の手続きです。慌てる原因は、寄附そのものより後の手続きにあります。寄附は済んでも、申請の締め切りを過ぎると、控除の受け方が変わるからです。ふるさと納税の手続きは、寄附の日と申請の日を分けて見る必要があります。
実は、締め切りは1つではありません。寄附の締め切り、ワンストップ特例の申請の締め切り、確定申告の締め切りが、それぞれ別の日にあります。つまり、年末に見る日は、寄附の日だけでは足りません。
この記事では、ふるさと納税の手続きの締め切りと、ワンストップ特例と確定申告の選び方を整理します。令和8年分の寄附を前提に書きます。個別の判断は、顧問税理士に確かめる形にしています。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
ふるさと納税の手続き、先に結論
先に結論です。ふるさと納税の手続きで年末に残る締め切りは、寄附、申請、申告の3つです。
- 寄附は12月31日までに済んだ分が、今年の分の寄附になります
- ワンストップ特例の申請は、翌年1月10日までに届く形が目安です
- 確定申告で受ける場合は、翌年3月15日までが申告の期限です
寄附をする
控除の受け方を選ぶ
申請か申告をする
控除を受ける
つまり、先に決めるのは「いくら寄附するか」より「どちらの受け方にするか」です。受け方で、出す書類と締め切りが変わります。この順番が、ふるさと納税の手続きの土台です。
ふるさと納税の手続き、控除の中身と上限
まず、控除の中身です。ふるさと納税は、自分で選んだ自治体に寄附をすると、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税と個人住民税から控除を受けられる仕組みです。
控除は、所得税、個人住民税の基本分、個人住民税の特例分の3つに分かれます。所得税では、対象になる寄附額は総所得金額等の40%が上限です。個人住民税の基本分は、寄附額から2,000円を差し引いた額の10%です。特例分には、住民税所得割額の20%という限度があります。
上限を超えた分の扱い
ただし、上限を超えて寄附をした分は、控除の計算に入りません。超えた分は、そのまま自分の負担になります。そのため、年末の駆け込みでは、金額を先に決めるよりも、今年の所得の見込みから上限の目安を先に置きます。
社長の家賃を会社が持つ話は計算式で考える、という記事でも紹介しましたが、ふるさと納税も同じです。個人のお金の話は、個人の数字で組み立てます。会社の経費の話と混ぜると、締め切りも受け方もずれてきます。
別のサイトの控除さがし探偵団のコラム「ふるさと納税、ワンストップ特例と確定申告の選び方」では、ワンストップ特例が適用されると所得税からの控除は行われず、その分も含めて翌年度の住民税から控除されると書かれています。
出典:控除さがし探偵団「ふるさと納税、ワンストップ特例と確定申告の選び方」
控除のされ方が受け方で変わる点は、ここでも同じです。特例では住民税に寄り、確定申告では所得税の還付と住民税の控除に分かれます。
ワンストップ特例と確定申告の選び方
次に、受け方の選び方です。ワンストップ特例を使えるのは、確定申告が不要な給与所得者等で、寄附先が5団体以内の人です。申請は、寄附先ごとに自治体へ出す形です。期限は寄附先の案内で確かめる形で、翌年1月10日必着とする案内が目安になります。
確定申告をすると特例の申請は無効になります
一方で、医療費控除などを受けるために確定申告をする場合は、話が変わります。確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。そのため、申請を済ませた分も含めて、寄附金控除を申告書に書き入れます。
また、寄附先が5団体を超える場合も、特例は使えません。この場合も、確定申告で寄附金控除を受ける形です。寄附の回数ではなく、寄附先の団体の数で数える点が、数え方の注意点です。
なお、確定申告の土台になるのは、寄附先から届く寄附金の受領の証明です。年末に寄附をした分は、証明が届く時期も年明けに寄ります。そのため、証明の置き場を先に決めておくと、申告の時期に探し回る形にはなりません。
個人事業主の社長は確定申告が土台です
さらに、社長の立場でも選び方は分かれます。法人の役員として給与を受けている社長は、給与所得者として特例の側を検討できます。一方で、個人事業主の社長は、事業の確定申告をする立場です。そのため、寄附金控除も申告書の中で受ける形が土台になります。
つまり、特例を使えるかどうかは、寄附の金額ではなく、本人の申告の立場で決まります。立場の確かめは、金額を決める前に済ませます。ここを後回しにすると、申請を出した後に、申告で出し直す形になります。出し直し自体は道が残る話ですが、手間は増えます。そのため、年末の寄附の前に、立場と受け方を顧問税理士と一度だけそろえておきます。
ふるさと納税の手続き、今日からできる最初の一歩
よくある質問
まず、「年末に寄附をすれば、手続きも終わりですか」と聞かれます。答えは、寄附の後に申請か申告が残ります、となります。受け方を決めていない寄附は、締め切りの管理から外れやすくなります。
次に、「ワンストップ特例の申請が間に合わなかったら、控除はなくなりますか」と聞かれます。答えは、確定申告で寄附金控除を受ける道が残ります、となります。特例の期限を過ぎた分は、申告の側で受けます。
最後に、「会社の分と一緒に考えてよいですか」と聞かれます。答えは、個人の寄附は個人の手続きで進めます、となります。会社が払う形にすると、扱いそのものが変わります。そのため、払う名義の段階で分けておきます。
今日できることは、今年寄附した自治体の数を数えることです。まず、寄附先を書き出して、5団体以内かどうかを確かめます。次に、特例の申請を出したかどうかを、寄附先ごとに印を付けます。最後に、来年の申告でほかに申告する話があるかどうかを、顧問税理士への質問に残します。
受け方と締め切りが決まると、年末の寄附は慌てる作業ではなくなります。逆に、受け方を決めずに金額だけを増やすと、年明けの手続きで迷います。そのため、ふるさと納税の手続きは、寄附の前に受け方を決める形で残します。
なお、証明の集め方にも、まとめる方法があります。寄附をした窓口の事業者が、年間の寄附をまとめた証明を出す形です。この証明を使うと、寄附先ごとの証明を集める手間が減ります。一方で、窓口を通さずに自治体へ直接寄附をした分は、その証明には入りません。そのため、寄附の経路ごとに、証明の出どころを分けて記録します。記録の分け方が決まっていると、申告の時期に、どの寄附がどの証明に載っているかをすぐ確かめられます。
合わせて読みたい
社長の家賃を会社が持つ話を、計算式で整理した記事です。個人のお金と会社のお金を分けて考える土台になります。
社長の家賃、会社に払ってもらえる?社宅は「魔法」ではなく「計算式」でできている
ほかのコラムも、あわせてどうぞ
お金の学び(ウハウハ高等学校):副業で確定申告するなら、ふるさと納税のワンストップ特例はどうなる?
営業・販路のコラム:コミッターズ コラム
筆者の記事:川口忠大のnote
蓄電池を知る(ENERGY BANK):系統用蓄電池の充電コストを読む|調達契約と託送料金
導入先を比べる:系統用蓄電池の低圧・高圧比較|法人が費用と接続条件で選ぶ方法
お金の面を読む:系統用蓄電池メーカー比較|法人が製品・導入支援・保守を同じ条件で見る方法
情報サイトのトップ:ENERGY BANK(系統用蓄電池の情報サイト)
運営元:コミッターズ
令和の総合商社では、有形無形問わずに大手商社が行わないマーケティングで貴社の販路を開拓します。本気で販路を拡大したい方には60分間無料で相談に乗らせていただきます。
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
税理士選びで迷ったら、無料の診断から
決算や経費の進め方は、今の税理士との付き合い方で結果が変わります。まずは無料の「税理士・士業マッチング診断」で、顧問の見直しどきかどうかを整理してみてください。
会社の現場の工夫や取り組みは、みんなの企業新聞の記事「マッチングサイトで反応を取る課題・ニーズの書き方」でも紹介しています。あわせてご覧ください。