10月は、1年の後半戦の入り口。4月から数えて半年がたち、ルールが変わったり、見直しの区切りが来たりする時期です。今回は、0〜10人くらいの小さな会社が、10月に一度チェックしておきたいことを5つに絞りました。
全部やる必要はありません。「うちに当てはまりそう」なものだけ、拾ってください。
1. 4月に入社した社員の、有給の「基準日」
4月1日に入社した社員は、ふつう入社から6か月後の10月1日に、有給が10日付与されます(出勤率が8割以上の場合)。ここが、「年5日を取らせる義務」のカウントの出発点です。期限は、1年後の9月30日まで。
- やること:基準日をカレンダーに入れて、本人に取得の希望を聞く日も決めておく。
- 詳しくは → 社員が1人でも、有給5日は会社の義務
2. 輸出がある会社は、10月1日からの追加ルール
海外に売ると消費税は免税ですが、令和8年10月1日以後は、代金を「取引相手からの支払いであることが明らかでない方法」で受け取る場合、輸出許可書などに加えて、相手国の輸入許可書なども保存が必要になりました。
- やること:代金の受け取り方を確認し、該当しそうなら国税庁の案内で確認する。
- 詳しくは → 海外に売ったら消費税は0円。ただし証拠を7年
3. ランチ補助、上限が月7,500円になりました
令和8年4月1日以後の食事から、給与にならない会社負担の上限が、月3,500円から月7,500円に引き上げられました(税抜)。本人が食事の価額の半分以上を負担することが条件です。すでに補助を出している会社も、これから始める会社も、一度計算し直してみる価値があります。
- やること:現在の会社負担額が月7,500円以下か、本人負担が半分以上かを確認する。現金で渡していないかも見る。
- 詳しくは → ランチ代の補助は月7,500円まで
4. メールで届いたPDFの請求書は、フォルダに入っていますか
電子取引のデータは、印刷だけでは保存したことにならず、データのまま残すのが原則です。半年分たまっていると、探すのが大変。10月に一度、まとめてフォルダに入れておくと、年末年始が楽になります。
- やること:メールの添付PDFを、月ごとのフォルダに整理する。クラウドにバックアップも。
- 詳しくは → メールで届いたPDFの請求書、印刷して紙で保管はNG
5. 決算が近い会社は、利益の見込みと「備え」を
決算まで数か月になったら、そろそろ今期の利益の見込みを出す時期です。利益が出そうなら、倒産防止共済のような「経費にできる備え」が選択肢に入ります。ただし、解約して戻る分は所得になるので「消える」のではなく「先送り」。40か月以上掛けないと、全額は戻りません。
- やること:今期の利益の見込みと、手元の現金を確認する。掛金を払える額かを考える。
- 詳しくは → 倒産防止共済は「経費になる貯金箱」
- 15つのうち、当てはまるものに印をつける
- 2いちばん期限が近いものから、1つだけ手をつける
- 3迷う項目は、顧問の専門家に質問を書き出して渡す
ここで紹介したのは、2026年10月時点の内容です。細かい要件や数字は、国税庁・厚生労働省などの公式情報で、実際に使う前に確認してください。
業種・体制別:うちは、どれから見る?
- 1. 有給の基準日
- 3. ランチ補助の上限
- 2. 輸出の保存書類
- 4. 電子取引のフォルダ
- 5. 決算前の利益の見込み
両方に当てはまる会社は、まず1つだけ選んでください。全部を10月中に片づけようとすると、たいてい1つも終わりません。
なぜ、10月が「見直し」にちょうどいいのか
10月は、下半期のスタートです。3月決算の会社なら期末まで約半年あり、手を打つ時間がまだ残っています。12月決算の会社なら、年末調整や決算の準備が本格化する前の、最後の余裕のある時期です。「年末に慌てる」前に、仕組みだけ整えておきましょう。
15分で作る、やることメモ
- 15つの項目から、うちに関係するものに丸をつける
- 2丸をつけたものに、担当者と期限(今月中・今期中)を書く
- 3いちばん期限が近いものを、今日のカレンダーに予定として入れる
- 4終わったら、メモに日付を書いて保管する
メモは、紙でもスマホでも構いません。「いつ・誰が・何をやったか」が残っていることが、あとで自分を守ってくれます。
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放っておくと、どうなる? 5項目の「一言まとめ」
- 有給の基準日:年10日以上もらう人に、年5日を取らせるのは会社の義務です。足りないまま基準日から1年が過ぎると、義務違反になります。
- 輸出の追加ルール:証拠の書類がそろっていないと、免税が認められないおそれがあります。
- ランチ補助:条件を欠くと、会社が出した全額が給与として課税されることがあります。
- 電子取引:データで受け取った請求書を、印刷して紙だけで残すのは原則NGです。
- 決算前の備え:利益の見込みを知らないまま決算を迎えると、打てる手が減ります。
専門家に聞くときの、3つの質問
顧問の税理士さんや社会保険労務士さんに相談するときは、「何か変わりましたか」と聞くより、次のように聞くと答えが具体的になります。
- 「うちの会社で、今年から対応が必要な項目は、どれですか」
- 「今期のうちに終わらせたほうがいいことは、ありますか」
- 「記録として残しておくべき書類は、何ですか」
聞くのは10分、準備は3行のメモで足ります。年末に慌てるより、10月に一度だけ立ち止まるほうが、ずっと気楽です。
まとめ:10月に1つだけ片づける
ルールの見直しは、「全部やろう」とすると、続きません。10月は、いちばん自分の会社に当てはまる1つだけを片づける。それだけで、年末の慌ただしさが、ずいぶん違ってきます。
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士などの専門家にご相談ください。