「代理店の契約書、文面だけAIに作らせてもいいですか」。契約書の下書きをAIに作らせる前に、決めておくことがあります。社長から、よく聞かれる相談です。
実は、危ないのは文章の出来ではありません。条件が決まっていないのに、文章だけが立派になることです。たとえば、解約の書き方が、相手に渡したあとで問題になります。
この記事では、人が決める項目と、任せやすい作業を分けます。さらに、そのまま契約に使わないための確認も整理します。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
契約書の下書きをMuseに作らせていい?先に結論です
- Museは、MetaのパーソナルAIエージェントです。日本では、2026年10月23日から使えます。
- また、下書きの土台づくりは、任せやすい仕事です。
- 一方、報酬や解約などの条件は、人が決めます。
- さらに、出来た文は、たたき台として扱います。そのまま署名する文書にはしません。
つまり、順番が大切です。まず条件を決めて、次に文章を作ります。順番を逆にすると、文章の勢いで条件まで決まります。
なお、たたき台には、よい面もあります。白紙から悩む時間が減り、抜けた項目に早く気づけます。ただし、速く出来ることと、そのまま使えることは別です。出来のよさに引っぱられず、条件の紙と並べて読みます。
また、筆者は、Museの報告も一次情報で裏を取ります。数字や原因は、元の記録で確かめてから採用します。推測だけの報告は、採用しません。契約の下書きでも、同じ姿勢が効きます。
契約書の下書きで、人が決める条件は何ですか?
まず、条件は文章より先に決めます。決める項目は、次の5つです。
- 1まず、報酬の決め方です。何をもって成約とし、いつ払うのかを決めます。
- 2次に、契約の期間と更新の扱いです。
- 3また、解約の言い方と、予告の時期です。
- 4さらに、担当する地域と、扱う商材の範囲です。
- 5最後に、契約が終わったあとの在庫や顧客情報の扱いです。
解約は、空白にすると別の決まりが出てきます
たとえば、代理商に当たる契約では、話が変わります。商法第30条では、期間を定めなかったときは、2か月前までに予告して解除できるとされています。
つまり、空白にしたつもりでも、空白にはなりません。なお、自分の契約が代理商に当たるかどうかは、弁護士に確認してください。
別のサイトの代理店ってなんぼのもん?のコラム「代理店・フランチャイズ契約前の確認項目(手数料・期間・解約)」では、「契約の期間、更新の条件と手続、解除の要件と手続、解除によって生じる損害賠償金の額または算定方法などを、開示書面の記載事項として挙げています」と書かれています。つまり、期間や解約は、文章を頼む前に人が決める項目です。
出典:代理店ってなんぼのもん?「代理店・フランチャイズ契約前の確認項目(手数料・期間・解約)」
報酬と地域は、数字と範囲を人が持ちます
次に、報酬の割合や金額は、Museに考えさせません。根拠のない数字が文に入ると、そのまま約束に見えるからです。
また、地域の書き方も同じです。全国なのか、県単位なのかは、会社の都合で決まります。
たとえば、小さな卸の会社(仮の例です)を考えます。社長が決めた条件を箇条書きで渡し、文章化だけを頼む形です。この形なら、あとから条件を直しやすくなります。
言い換えで強くなる言葉にも注意します
さらに、言い換えの途中で、言葉が強くなることがあります。「紹介します」が「優先的に紹介します」に変わるような変化です。
そのため、読み直しでは、約束に見える言葉を探します。見つけたら、決めた条件の言い方に戻します。
また、下書きの読み直しは、声に出すと進みます。耳で聞くと、約束に見える言い回しに引っかかります。読む役と、条件の紙を見る役を分けると、食い違いが見つかります。静かに眺める読み方では、通り過ぎてしまう場所です。
渡す前の紙は、箇条書きで十分です
一方、頼む前の準備は、立派な文書でなくて構いません。決めた5項目を、箇条書きで書いた紙があれば足ります。
むしろ、紙が短いほうが、条件の食い違いに気づけます。長い希望文を渡すと、どれが決定で、どれが迷いなのかが混ざります。
そのうえ、紙には、日付と版の印も付けます。あとで直したときに、どちらが新しい条件か分かるからです。小さな手間ですが、契約の場面では効きます。
契約書の下書きに、取引先の情報を入れていい?
まず、線引きは1つです。相手の未公開の条件は、入れません。
個人情報保護委員会は、令和5年6月2日の注意喚起を出しています。その中で、利用目的に必要な範囲かを確認するよう求めています。さらに、本人の同意なく個人データを入力する扱いにも触れています。
そのため、既存の代理店の名簿は貼りません。また、取引先との交渉中の価格も入れません。
一方、入れてよいのは、公開済みの自社紹介です。商品の公開情報や、決めた条件の箇条書きも渡せます。
なお、筆者は、秘密情報をチャットに貼らない前提で運用しています。下書きは先に見せてもらい、筆者が承認してから送る決まりです。
条件を紙に書く
公開情報だけ渡す
Museに文章化を頼む
人が読み直す
専門家に見せる
つまり、渡す情報を絞るほど、下書きは安全に使えます。迷う情報は、名前を外した見本に替えてから試します。
契約書の下書きを作る作業では、渡す情報の絞り方が、そのまま出来を決めます。公開情報だけで頼んだ下書きは、あとから直す場所も少なくなります。逆に、未公開の条件を混ぜた下書きは、公開の場に出す前の点検が増えます。
さらに、出来た下書きは、版を分けて残します。版を分けて残すと、古い文を相手に送る事故が減ります。送る前の確認では、版の印も見る項目に入れます。
契約書の下書きを使う人から、よくある質問を3つ
まず、「下書きをそのまま契約書にできますか」と聞かれます。答えは、そのままでは使わないでください、です。条件の確認と専門家の点検を経てから、署名する文書にします。
次に、「条件もMuseに考えてもらえますか」と聞かれます。答えは、案を出すところまでです。報酬や地域などの決定は、当事者である会社が持ちます。
最後に、「Museは無料で、会社の仕事に使えますか」と聞かれます。答えは、条件は公式ページで確認が必要、です。多くの基本機能は無料とされています。ただし、金額は確認できませんでした。
契約書の下書き、今日からできる最初の一歩
まず、決める5項目を、紙に書き出してください。次に、その紙だけを渡して、見出し案を頼みます。
出来た文は、条件と違う所に線を引いて直します。この確認は、販路を広げる前の手間です。あとで揉めるより、ずっと安く済みます。
契約書の下書きは、条件の紙が主役です。文章は、その紙を読みやすくする道具にすぎません。主役と道具を取り違えないことが、AIに下書きを頼むときの、いちばんの注意です。
なお、点検の相手は、弁護士や行政書士です。近くの専門家に、署名の前の段階で見せます。費用の心配より先に、まず相談の予約を入れます。その一歩で、下書きは安心して使える文書に近づきます。
代理店契約の型の違いは、こちらの記事に書いています。
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Museについて気になることは、遠慮なく聞いてください。
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参考(外部サイト):about.fb.com、個人情報保護委員会、官公庁
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