クリスマスと出産祝いの季節に向けて、木のガラガラや布の絵本を店に並べようとしている雑貨店があるとします(仮の例です)。海外の展示会で見つけた、色のきれいな歯固めもあります。パッケージは英語だけですが、品はいいので、そのまま売るつもりでした。
ところが、3歳未満向けのおもちゃは、2025年12月25日から、国の「子供PSCマーク」と日本語の対象年齢の表示がないと、売ることも、店に並べることもできなくなっています。しかも、自分で輸入した店は、そのマークを付ける側の事業者になります。仕入れて並べるだけのつもりが、届出から始める話になるということです。
この記事では、マークが必要な品と要らない品の線引き、輸入して売る店がすること、2026年7月に加わったベビーカーなどの経過措置、年末の仕入れで見る3点を整理します。2026年10月時点のルールです。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
先に結論:マークと日本語の表示がない3歳未満向けは並べられません
改正された消費生活用製品安全法が、2025年12月25日に施行されました。新しく「子供用特定製品」という枠ができ、最初に指定されたのが、3歳未満向けの「乳幼児用玩具」と「乳幼児用ベッド」です。
経済産業省の説明では、乳幼児用玩具の決まりは次のとおりです。
- 2025年12月25日以降に国内で製造・輸入された乳幼児用玩具は、子供PSCマークと警告表示がある品しか販売・陳列できません
- それより前に製造・輸入された品は、マークがなくても販売できます
- 表示は、対象年齢(「対象年齢1歳〜」のように日本語でわかる形)と、保護者が見守ってほしいという内容です。数字や記号、外国語だけの表示では足りません
- マークを付けるのは、製造または輸入した事業者です
冒頭の歯固めのように、英語だけのパッケージで、2025年12月25日より後に輸入した品は、このままでは並べられません。販売する店は、マークと表示を確認してから売る立場です。同じ法律のPSマークについて、経済産業省の販売事業者向けの資料では、表示のない対象品を事業として販売・陳列した場合の罰則として、1年以下の懲役(2025年6月からは拘禁刑)か100万円以下の罰金、または両方が示されています。子供PSCマークの品で迷ったときの罰則や扱いは、経済産業省の製品安全課などで確認できます。今回の改正では、違反した事業者の名前などを国が公表する制度もできました。
対象になるおもちゃ、ならないもの
対象は、主に家庭で、生まれてから36か月未満の子どもの遊びに使うために設計されたおもちゃです。病院や保育所だけで使う専用品は外れます。経済産業省の資料にある線引きを、雑貨店の品ぞろえに当てはめると、次のようになります。
- 対象になりやすい品:ガラガラ、歯固め(遊び用のもの)、布のおもちゃ、乳幼児向けの乗用玩具、乳幼児向けのビニールボールやお風呂のおもちゃ、触ったり音が鳴ったりする仕掛けのついた絵本
- 対象外の例:3歳以上向けの人形やぬいぐるみ、ビー玉、凧、本格的なパズル、三輪車や自転車、おしゃぶり、単純な塗り絵や折り紙、家具、生活雑貨、インテリア雑貨
ここで落とし穴があります。対象外のはずの品でも、「0歳から」と表示したり、赤ちゃんの写真を使って広告したりすると、対象に入ることがあります。たとえば、3歳以上向けとして仕入れたぬいぐるみを、ネットショップで「出産祝いに」「0歳の赤ちゃんに」と書いて売る場合です。商品ページの言葉で、扱いが変わるかもしれないということです。
また、対象年齢は、売り手が自由に決めてよいものではありません。似た商品の下限の年齢より上にしない、見た目から一般の人が思う年齢より上にしない、といった基準があります。マークを避けるために「3歳から」と書く、という逃げ方はできないと考えてください。
自分で輸入して売る店がすること
海外から自分で仕入れる場合は、店が輸入事業者になり、次のことを行います。
- 1事業の届出:氏名や名称、住所のほか、おもちゃの「型式の区分」(可動部があるか、磁石や音の出る仕組みがあるかなど)を届け出ます。電子の届出システム「保安ネット」を使うには、「gBizIDプライム」の取得が必要です
- 2技術基準に合わせる:小さな部品の誤飲、ひもによる首の圧迫、鋭い縁などについての国の基準です。経済産業省の資料に挙がっている国際規格や欧米の規格に合っていれば、適合とみなされます
- 3表示:子供PSCマーク、日本語の対象年齢と注意、届出事業者の名前を、本体か容器包装の見やすい場所に、消えない方法で付けます
1つ目の届出には時間がかかることもあります。12月に入ってから動いても、クリスマスの売り場には間に合わないかもしれません。国内の問屋から仕入れる場合は、マークを付けるのは輸入した問屋側なので、店は表示があるかを確かめれば足ります。
例外と、2026年7月に加わったもの
まず、中古品の特例です。パッケージがなく表示が確かめられない中古の子供用特定製品は、経済産業大臣の承認を受けた場合に販売できます。承認には、リコール品でないことの確認、破損や劣化の点検、毎年度の販売実績の報告などの条件があります。リサイクル品をついでに並べる、という気軽さでは扱えません。
次に、対象の追加です。2026年7月8日から、乳幼児用ベッドガードとベビーカーが子供用特定製品に加わりました。経過措置があり、マークのない品も、ベッドガードは2027年7月7日まで、ベビーカーは2028年7月7日まで販売・陳列できます。ベッドガードには、生後18か月未満の子どもに使わないよう警告する表示が必要で、その月齢の子の睡眠に使うような広告もできません。ベビー用品のコーナーを持つ店は、「いつまで売れるか」の日付を在庫の札に書いておくと安心です。
最初の一歩:年末の仕入れ前に見る3点
クリスマスの仕入れは、10月から11月が勝負です。発注の前に、3歳未満向けになりそうな品ごとに、次の3点を確認します。
- 1子供PSCマークがあるか(ない場合は、2025年12月25日より前の製造・輸入かを、仕入れ先に確かめる)
- 2日本語の対象年齢と、保護者の見守りの表示があるか
- 3自分で輸入するなら、届出と基準の確認が終わっているか
この3点は、営業の材料にもなります。出産祝いを探すお客様は、安全かどうかをいちばん気にしています。「この品は子供PSCマークつきです」と一言そえるだけで、店員の説明に安心感が出ます。売り場のポップや商品ページに、確認した内容を短く書いておいてください。マークのない在庫を抱えると、売れないまま残ることになります。仕入れた商品が売れるまでのお金の動きは、こちらの記事にあります。
仕入れた商品は「売れるまで」経費にならない。売れ残り在庫のホントのルール
運営元:コミッターズ
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参考(外部サイト):経済産業省、経済産業省(2)、経済産業省(3)、経済産業省(4)、経済産業省(5)、経済産業省(6)
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。