年末年始の休みを、もう少し長くできないかと考える社長がいます。そのときに使える仕組みが、有給の計画的付与です。会社の休みに有給を組み合わせると、まとまった休みを作れます。
ただし、有給は本人が時季を選ぶのが原則です。そのため、会社が勝手に休みの日を決めることはできません。決め方には、労使で話し合う手続きと、残す日数の決まりがあります。
この記事では、有給の計画的付与の仕組みと、年末年始に組み合わせる進め方、決めるときの注意を整理します。小さな会社でも進められる順番で書きます。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
有給の計画的付与、先に結論
まず、結論から言います。有給の計画的付与は、付与された日数のうち5日を超える部分について、労使協定の定めにより、会社が取得日を割り振れる仕組みです。つまり、全ての日数を会社が決める仕組みではありません。
また、手続きの土台は労使協定です。労働者の過半数で組織する労働組合がない会社では、労働者の過半数代表との書面による協定を使います。そのため、社長の宣言だけで始めることはできません。
さらに、年末年始との組み合わせが、この仕組みの使いどころです。会社の休みに計画的付与の日を並べると、連休を長くできます。現場が一斉に止まる建設業などでは、仕事の段取りも組みやすくなります。
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有給の計画的付与は、どこまで決められますか?
まず、原則を確認します。年次有給休暇は、労働基準法第39条の仕組みです。原則として、本人が指定する時季に与えます。会社が一方的に日を動かす話ではありません。
次に、例外の部分を見ます。同条は、労使協定による計画的な付与も認めています。対象になるのは、付与日数のうち5日を超える部分です。残す日数は、本人が病気や家の都合で使えるように残します。
有給の取得を会社の義務として扱った記事でも紹介しましたが、有給の計画的付与も、休みを計画に入れる考え方の仲間です。義務の確認と、休みの設計は、同じ台帳の上で進みます。
残す日数の考え方
まず、残す日数は人数ごとに数えます。付与日数が多い人ほど、割り振れる部分は大きくなります。逆に、付与日数が少ない人は、割り振れる部分が小さくなります。
また、繰り越した日数がある人もいます。その場合は、繰り越し分も含めて数えます。台帳で一人ずつ確かめることが、先の作業です。
つまり、会社全体で同じ日数を割り振る前に、一人ずつの残りを見る必要があります。ここを省くと、年末になって日数が足りない人が出ます。
また、台帳の確認は、休みの設計だけに使うものではありません。誰がいつ休むかが見えると、仕事の引き継ぎの相手も決めやすくなります。特に、担当が一人しかいない仕事では、休みの予定が引き継ぎの予定になります。そのため、残りの確認は、年末の仕事の組み立ての確認でもあります。
さらに、確認した残りは、本人にも見せます。本人が自分の残りを分かっていると、残した日数の使い方を自分で考えられます。会社が割り振る日と、本人が選ぶ日が、同じ台帳の上で並ぶ形です。
年末年始に組み合わせる進め方
まず、会社の年末年始の休みを決めます。次に、その前後に計画的付与の日を置くかを決めます。さらに、現場や取引先の動きを見て、止められる日と止められない日を分けます。
手順は、次のとおりです。
- 1まず、一人ずつの付与日数と残りを確認します
- 2次に、年末年始の休みの並びを決めます
- 3次に、過半数代表と話し合い、書面の協定を結びます
- 4最後に、割り振る日を早めに知らせます
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別のサイトの仲間づくり部のコラム「年次有給休暇の付与日数と年5日の義務を質問で整理」では、「年末年始の休みを決めるこの時期は、付与日数と年5日の取得義務を確かめておくのによい機会です」と書かれています。
出典:仲間づくり部「年次有給休暇の付与日数と年5日の義務を質問で整理」
なお、進め方は一斉付与だけではありません。班ごとに交代で割り振る形や、一人ずつの計画表で決める形もあります。小さな会社では、仕事の止まり方に合う形を選ぶことが大切です。
たとえば、建設業の会社を考えます。現場が止まる年末年始は、一斉に割り振りやすい時期です。一方、設備の保守などで出勤が要る会社では、交代の形が合います。形は、業種ではなく仕事の動きで決めます。
また、休みの並びは、取引先への知らせにも使います。年末年始の対応日を早めに伝えると、相手も段取りを組みやすくなります。休みの設計は、社内の話であると同時に、取引の段取りの話でもあります。そのため、決めた並びは、社内と社外の両方へ、同じ内容で知らせます。
有給の計画的付与、決めるときの注意
まず、協定を結ぶ相手の選び方に注意します。過半数代表は、投票などの民主的な手続きで選ぶことが前提です。会社が指名した人を相手にすると、手続きとして認められません。
次に、知らせる時期にも注意します。割り振る日は、年末が近づいてから急に伝えるものではありません。本人にも予定があります。そのため、早めに知らせて、都合の悪い日がないかを聞く場を持ちます。
また、残した日数の扱いも伝えます。本人が選べる日数が残っていることを伝えると、仕組みへの受け止めが変わります。休みを取らせる制度ではなく、休みを設計する制度だと伝えることが大切です。
よくある質問
まず、「社長の一声で決めてよいですか」と聞かれます。答えは、いけません、です。労使協定という手続きを通すことが、仕組みの土台です。
次に、「休みの日を全て割り振れますか」と聞かれます。答えは、割り振れません、です。対象は、付与日数のうち5日を超える部分に限ります。
最後に、「パートの人も対象ですか」と聞かれます。答えは、付与日数がある人は対象になりえます、です。日数の数え方は一人ずつ違うため、台帳で確かめます。
有給の計画的付与、今日からできる一歩
まず、一人ずつの有給の残りを台帳で確認しましょう。具体的には、付与日数と、すでに取った日数を並べます。次に、年末年始の休みの並びを置きます。さらに、過半数代表との話し合いの日を決めます。
なお、協定の書き方に迷うときは、管轄の労働基準監督署や顧問の専門家に確かめます。個別の事情で進め方が変わることがあるためです。
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このように、休みの設計は、残りの確認から始まります。休み方が決まっている会社は、年明けの仕事の誘いにも、無理のない答えを返せます。
また、決めた並びは、記録として残しておきます。来年の年末年始を考えるとき、その記録が最初のたたき台になります。割り振ってよかった日と、動きにくかった日を書き添えておくと、次の設計が速くなります。休みの設計も、営業の段取りと同じで、記録が型を作ります。
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参考(外部サイト):厚生労働省
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