「求人票の下書き、Museに頼んだら早いのでは」。人手が足りない年末に、そう考える社長は多いはずです。実際、求人票のMuse活用そのものは、むずかしくありません。
ただし、頼む前に決めておくことが4つあります。入れる情報、載せる条件、差別につながる表現、そして出す前の確認です。実は、文章の出来より、この4つのほうが、あとで効いてきます。
この記事では、求人票のMuse活用と、社内連絡文の下書きの線引きを、質問と答えの形で整理します。なお、Museの機能は、Metaの日本語の公式ページで確認できた範囲だけ書きます。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
求人票のMuse活用、先に結論:下書きは任せて、決めるのは人です
まず、Metaは、2026年10月23日から、パーソナルAIエージェント「Muse」を日本で提供しています。iOS、Android、muse.ai で使えます。基本的な機能の多くは無料で、さらに使いたい人向けにサブスクリプションプランがあります。
条件を決める
Museに頼む
人が点検する
人が承認して出す
そのうえで、筆者が勧める線引きは、次の4つです。
- 応募者や従業員の個人情報は、入れない
- 賃金や時間などの条件は、会社が決めて渡す
- 年齢や性別を連想させる表現は、人が点検する
- 公開や送信は、人が承認してから
つまり、Museは下書きの担当です。いつ、何を、どう出すかを決めるのは、会社の側です。
求人票のMuse活用で、頼んでいいのはどこまで?
Metaの説明では、Museはメールの送信や旅行の予約といったタスクを進められます。ブラウザを開いて、フォームに入力することもできます。したがって、求人票の言い回しを整える作業は、得意な分野に入るでしょう。
ただし、求人票には、会社が負う決まりがあります。職業安定法5条の4は、労働者の募集を行う者に、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならないと定めています。また、募集の情報は、正確かつ最新の内容に保たなければなりません。
つまり、この条文は、表示をする側に義務を課しています。また、AIが書いたかどうかで責任が変わる、とは書かれていません。
別のサイトの仲間づくり部(ニコニコデスク)のコラム「求人票に書く項目と避けたい表現とは?」では、虚偽の表示と誤解を生じさせる表示の両方が禁止されていて、新聞や雑誌の広告だけでなく、ウェブサイトやメッセージアプリも対象になる、と書かれています。
つまり、Museが書いた文章でも、実際の仕事とずれていれば、誤解を生じさせる表示になりえます。たとえば、営業中心の仕事を「事務職」と書いてしまうと、応募者の期待とずれてしまいます。
求人票のMuse活用、筆者は下書きを先に見ます
筆者は、Museに実作業を任せています。ただし、メールや投稿の下書きは、先に見せてもらい、承認してから送る決まりにしています。そのため、求人票も、同じ扱いが合います。
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また、Museに頼むときは、指示を短くします。最初に条件を書き、それをもとに下書きを出してもらい、人が読んで直します。
Museに、応募者や従業員の情報を入れていい?
まず、答えは、入れてよい情報と、入れない情報を分けることです。なお、判断の土台は、個人情報保護委員会の注意喚起です。
令和5年6月2日の注意喚起で、委員会は、事業者が生成AIサービスに個人情報を含む文章を入力するときは、利用目的を達成するために必要な範囲内かを確認するよう求めています。さらに、本人の同意なく個人データを入力し、出力以外の目的で扱われるなら、法律に違反する可能性があるとしています。そのため、入力する前に、サービス側が個人データを機械学習に使わないかを確認することも求められています。
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なお、この表は、筆者の線引きです。ただし、根拠は、先ほどの注意喚起にあります。
求人票の材料:公開する条件だけを渡す
そもそも、求人票は、いずれ公開する文章です。したがって、賃金、勤務時間、勤務地のように、公開してよい条件だけを渡します。
一方で、応募者の履歴書や、面接のメモは、個人情報のかたまりです。そのため、Museに読ませるのは、控えます。
社内連絡文の材料:全員宛ての案内にとどめる
つまり、社内連絡文も、同じ考え方です。たとえば、年末年始の休みや、会議の日程のような、全員に出す案内は、下書きに向いています。
ところが、個人の評価、休職、給与の話は、従業員の個人情報です。そのため、Museには入れず、人が直接書きます。
なお、Metaは、MuseとのやりとりをAIモデルの学習に使わせないよう、オプトアウトできると説明しています。ただし、オプトアウトできるから何でも入れてよい、という意味ではありません。
Museで作った求人票に、年齢や性別の表現が入ったら?
次に気をつけるのは、採用の差別につながる表現です。労働施策総合推進法9条は、事業主に、労働者の募集と採用で、年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう求めています。また、男女雇用機会均等法5条も、性別にかかわりなく均等な機会を与えるよう定めています。
そこで、AIの下書きを読むときは、次のような言葉で立ち止まります。
- 年齢を連想させる言葉(「若手」「若い人」など)
- 性別を連想させる言葉(「男性歓迎」「主婦向き」など)
- 仕事に関係がなさそうな、体力や見た目の条件
次に、立ち止まったら、仕事の中身で言い換えます。たとえば、「若い人歓迎」ではなく、「資材の上げ下ろしがある仕事です」と書きます。ただし、年齢制限が認められる例外もあります。なお、個別の判断は、労働局や社会保険労務士に確認してください。
Museに、採用の合否を決めさせていい?
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合否は、会社が決めます。均等な機会を与える義務を負うのは、事業主だからです。
なお、公的なページで「AIに合否を決めさせてはならない」と書かれているのを、筆者は確認していません。しかし、決める人が説明できない合否は、あとで困ります。
そもそも、履歴書をMuseに入れない前提なら、Museに選考させる材料もありません。面接の質問の案を出してもらい、合否は人が決める。この分け方が、安全です。
Museを使う前の、よくある質問を3つ
「Museは無料で使えますか」と聞かれます。答えは、基本的な機能の多くは無料、さらに使いたい人向けにサブスクリプションプランがある、です。ただし、金額や、会社として使うときの条件は、確認できませんでした。公式ページで確かめてください。
「Museが書いた求人票を、そのまま貼っていいですか」と聞かれます。答えは、そのまま貼らない、です。まず、賃金、時間、場所が実際と合っているかを、人が照らし合わせます。さらに、掲載したあとも、内容が変わったら更新します。
「従業員が、自分のスマホのMuseに、社員の名前を入れてしまったら」と聞かれます。答えは、まず入れた内容と日時を記録する、です。そのうえで、アプリの設定を確認し、専門家に相談します。また、再発を防ぐには、入れてよい情報を、短い文書にして決めておくのが早いです。
求人票のMuse活用、今日の最初の一歩
今日できる最初の一歩は、公開済みの自社の求人票を1本選ぶことです。そして、Museに、言い換えの案を出してもらいます。
そのあと、人が3つの点検をします。条件が実際と合っているか。年齢や性別の言葉が入っていないか。承認してから出すか。つまり、この順に見れば、事故は減ります。
なお、営業の仕事の求人票も、同じです。提案メールの下書きを任せて、送る前に人が読む。さらに、その手順を、そのまま採用にも使えます。
社内で決めておきたい決まりの置き場は、こちらの記事に書きました。
従業員9人の会社に就業規則は必要?「10人」の壁と、なくて困る3つの場面
採用の動画で職場を伝える話は、こちらです。
「人材コーナー」の歩き方。動画で伝える採用と、採用の前に決めておくこと
Muse について気になることは、遠慮なく聞いてください。
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お金の学び(ウハウハ高等学校):ウハウハ高等学校の新着コラム
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筆者の記事:川口忠大のnote
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参考(外部サイト):about.fb.com、個人情報保護委員会、e-Gov法令検索、e-Gov法令検索(2)、e-Gov法令検索(3)
※一般的な解説です。個別のケースは顧問税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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