年末の採用面接は、年明けの現場に向けた大事な場面です。聞いてはいけない質問を知らないまま雑談のつもりで家族のことを聞くと、応募者に「この会社は大丈夫か」と思われる入口になります。
ただし、悪気のない質問ほど、線引きが見えにくいものです。世間話に見える一言が、本人の適性や能力と関係のない事項にかかっている場合があります。
この記事では、聞いてはいけない質問を、厚生労働省が示す公正な採用選考の考え方で整理します。避ける事項の並びと、仕事の適性を見る質問への置き換え方を書きます。この記事は、公開時点の法令と公的な案内にもとづいています。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
聞いてはいけない質問、先に結論
まず、結論から言います。聞いてはいけない質問は、応募者本人に責任のない事項と、本来自由であるべき事項にかかる質問です。家族の仕事、本籍や出生地、宗教や支持政党などが並びます。
また、採用選考の物差しは、本人の適性と能力です。応募者に広く門戸を開き、適性と能力に基づいた基準で選ぶ形が、公正な採用選考の土台です。
さらに、質問だけでなく、選考の方法にも線引きがあります。身元調査の実施や、適性と関係のない事項を含んだ応募書類の使用も、避ける並びに入ります。
なお、年末の面接は、現場の忙しさで雑談が長くなりがちです。忙しい時期ほど、質問の型を先に決めておく置き方が効きます。
聞いてはいけない質問の並び
まず、本人に責任のない事項を見ます。具体的には、本籍や出生地、家族の職業や健康、住宅の状況、生活環境などです。生まれた場所も、家族の姿も、本人の腕前とは別の話です。
次に、本来自由であるべき事項を見ます。宗教、人生観や生活信条、思想、支持政党、尊敬する人物、購読新聞や愛読書などです。考え方の置き場は、本人の自由の側にあります。
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また、数字の実感も見ます。令和6年度にハローワークで把握した、適性と能力以外の事項を把握されたという指摘は854件あり、そのうち家族に関する質問が多くを占めています。家族の話題は、現場でいちばん滑りやすい場所です。
なお、求人票の書き方にも同じ線引きは出ます。別のサイトの仲間づくり部のコラム「求人票に書く項目と避けたい表現とは?」では、「年齢は、原則として不問にしなければなりません」と書かれています。面接の場でも、書く場でも、物差しは同じです。
建設の面接で滑りやすい言い回し
たとえば、「ご家族は建設の仕事ですか」という一言を考えます。現場の雰囲気をつかむ雑談のつもりでも、家族の職業を聞く形になっています。
また、「実家はこの近くのですか」も似ています。通勤の話に見えて、出生地や生活環境に触れる置き方です。聞きたい中身が通勤の可否なら、通勤そのものを聞く形に直します。
さらに、「尊敬する職人さんはいますか」という聞き方もあります。仕事への姿勢を聞くつもりでも、尊敬する人物は避ける並びに入ります。代わりに、現場で大事にしてきた段取りを聞く形に置き換えます。

年末の面接で起きやすい場面
まず、応募者の緊張をほぐす場面です。場を和ませるつもりの雑談が、家族や住まいの話題に寄りやすくなります。和ませる役目は、現場の一日の流れの説明に置き換えられます。
次に、長く続けてほしいと願う場面です。家庭の事情を先に知りたくなる気持ちは出ます。ただし、続けられるかどうかは、本人の希望と条件のすり合わせで見る話です。家族の姿から読み取る形にはしません。
また、面接官が複数いる場面も見ます。一人が避けていても、別の担当が雑談で触れる場合があります。質問の型は、面接官の全員でそろえる置き方が要ります。
さらに、年末は面接の件数が寄ります。件数が増えるほど、一件ごとの型が崩れやすくなります。質問票を一枚に決めておく会社ほど、年末でも線引きが保てます。
聞いてはいけない質問を仕事の質問に置き換える
まず、聞きたい中身を仕事の言葉に直します。家族の話は、本人の経験と段取りの話に置き換えます。
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次に、置き換えの型を作ります。たとえば、家族の職業は「この仕事に興味を持ったきっかけ」に、住まいの話は「通勤の時間と方法」に、尊敬する人物は「現場で大事にしてきた段取り」に直します。
手順は、次のとおりです。
- 1まず、今の面接で使っている質問を一枚に書き出します
- 2次に、家族・本籍・住まい・考え方にかかる質問に印を付けます
- 3次に、印の質問を、経験と段取りと通勤の質問に置き換えます
- 4最後に、面接官の全員で置き換えた型を共有します
たとえば、従業員が十人ほどの工務店を考えます。年末に技能者を迎える面接では、聞く話は現場の経験、持っている資格、段取りの進め方、通勤の形に絞ります。雑談の入口は、現場の道具や作業の話に置きます。
なお、置き換えた型は、面接の記録にも残します。どの質問で何を確かめたのかが残ると、合否の話し合いも適性と能力の土台に戻れます。
実は、応募書類の側にも同じ話があります。応募用紙に、適性と関係のない事項の欄が残っている会社があります。年末の採用を始める前に、面接の質問と応募書類の欄を、同じ目で見直す順番が合います。片方だけ直しても、もう片方から同じ質問が戻ってくるためです。
一方で、仕事に必要な範囲の確認は、遠慮なく聞く話です。たとえば、現場の作業に必要な資格や、健康面で配慮が要る作業の有無は、職務との関係を示して確かめます。避けるのは関係のない事項で、仕事の確認そのものではありません。この境目を面接官でそろえておくと、面接の場も締まります。

聞いてはいけない質問、今日からできる一歩
まず、次の面接の質問票を開きましょう。具体的には、家族・本籍・住まい・考え方にかかる一言が残っていないかを見ます。次に、残っていたら仕事の質問に置き換えます。
なお、個別の判断に迷うときは、ハローワークや顧問の専門家に確かめます。公正な採用選考の案内は、厚生労働省の特設サイトにもまとまっています。
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このように、線引きは、面接の空気を固くするものではありません。聞く話が仕事に絞れている面接ほど、応募者も自分の腕前を話しやすくなります。
また、決めた質問の型はメモに残しておきます。次の採用も、同じ物差しで面接を始められます。型の記録は、引き継ぎと同じく、残した分だけ次を助けます。
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参考(外部サイト):厚生労働省
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